気楽に読んでください、呼吸のおはなし ~その54~

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今日もお読みくださっている皆さん、誠にありがとうございます。
ここ最近の内容と来たら、もうブログのタイトルを変えた方が良い、そんな感じの、決して気楽では無いものとなっております。
長い年月を掛けてしょい込んだわだかまりと和解するように背中の緊張から解放された時、それまでの経験全てが現在を肯定し、未来へと進む推進力となる。
この話は、気楽では無いかも知れませんが、しっかり理解すると、暗い話では無く明るい話です。
今回はこれまでとはまたちょっと違う切り口で、骨盤のこと、背中が緩むこと、勿論それに添った呼吸のこと、書いてみます。
セルフケアやパートナーと行うケアをご紹介した回が幾つかありましたが、そこに書かれていたことも、これから書く内容に関してかなりの助けとなります。是非読み返して、実践して頂きたいと思います。
椅子に浅く腰掛けて、仙骨の辺りに片手の甲を当てます。
その手の甲に委ねるように、骨盤を後傾させます。
この時、上体が揃ってリクライニングシートにもたれ掛かるような動きになってはいけません。それだと腹筋を鍛えるような緊張を湛えてしまいます。あくまでも、骨盤が後傾するのです。なので、頭の位置は殆ど後ろには移動しません。こうすることで、腰の辺りから頭頂部に掛けて、緩やかな前傾曲線が形成されます。
椅子の天面・座面と接している坐骨は、ロッキングチェアやゆりかごの底のような形状で、この骨盤の動きを滑らかに助けてくれます。
背中の緊張からある程度解放されていれば、この骨盤の後傾=吸気、という状態が実現可能です。
昨日も書きましたが、本当に背中側の空気が自分の心身を包み込む極上のソファのように感じられる位の安心感と共に、体は空気をたくさん取り入れてくれます。
心が落ち着いて来ると、この動きが仙腸関節の柔軟性を促していて、その広がり(又は広がっている感覚)が全身の末端まで波及し、スポンジが水を吸収するように、恰も全身が空気を吸収するような感覚に目覚めて来ます。
それは骨盤の一部とも言える股関節の解放へと繋がり、本当にこの動きを体が深く理解し始めると、左右の膝と膝の間隔がほんの少し開くようになります。
電車で座って居眠りしている人の膝が見事に開いているのを見たことは無いですか。今やっていることはあんなにだらしない恰好では無いですが、何もかも拘りを捨ててリラックスするという意味では同じかも知れません。
そこまで骨盤や背中や脚がリラックスするとその後どうなるか。
背中という人体の中でも最も楽に大量の吸気が得られるエリアの特徴を最大限発揮して気持ち良さを味わったなら、今度はお腹側の鬱屈した状態を是正する為や、そもそも骨盤底から頭頂部までが伸びやかに垂直に立って重力と最も素直に対峙する元の姿勢への回帰を体は提案して来ます。
これを別の言い方で表現すると、遠慮なくリラックスした体の重みは、その時点で一旦は地球の中心点に向かって引き寄せらるがままになるのですが、ある時を境にV字回復の方向性を打ち出して来ます。これは思い切ってシンプルに言い換えると、生きている証でもあります。
これらのタイミングを信じて全てを任せ切ったなら、筋肉の働きで体が動くという概念が実は間違いでは無いのかと疑いたくなるような、緩やかで芯の強いジャッキのようなエネルギーに体を起こされる感覚に出会うこととなります。
はっきりと質量を持ったこの体を一旦緩ませてから復元する訳ですから、実際には何処かの筋肉は働いているのでしょうけれど、一般的な腹筋運動と言われるあの手の動きとは、一切関係の無い力で体は起き上がって来ます。
このような、深い深い処からV字回復、回帰して来た伸びやかな呼吸が声に変換されるのです。その声が、軽薄である筈がありません。そこに嘘が含まれる余地はありません。
背中の緩みは、こんな形で呼吸の深さを連れて来ます。
明日はここから、その深さに付いて、更に話を進めてみたいと思います。

つづく

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