気楽に読んでください、呼吸のおはなし ~その20~

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心配しなくても、呼吸に伴ってお腹もちゃんと動いています。←(※急に始まりました)
体が空気を取り入れる時に、横隔膜も多かれ少なかれ機能します。この横隔膜は、肺とか心臓があるエリアと、胃とか腸とかその他消化器系の内臓が収まっているエリアの境目にあって、空気を体内へと迎え入れる際には体の下部・消化器系の臓器が詰まっている方へと下がるというか凹むというか、そんな動きをします。
なのでその下がった分だけ胃とか腸とかも押し下げられるので、お腹が出っ張る形になるのだとよく言われていますし、僕もそうなんじゃないかと感じます。
そうです、何かを迎え入れる為にはそれ相応の空間を作ってあげなければなりませんよね。
“横隔膜、はい、下がりますぅー、で、内臓も、はい、下がりましたぁー、はい、お腹、動いてますねぇーーー”(※すみません、馬鹿にしてる訳じゃないんです)
ここまでなんですよ、世間一般で追跡してるのは。
その後はどうなってんの、その後のことが物凄く重要なのに。
内臓は横隔膜に押されるのに、内臓は何も押さないんですかってことです。
この横隔膜から始まった押圧のエネルギーは、内臓が吸収したり、膨らんだお腹の外側へと逃がして雲散霧消となってしまうのでしょうか。
そんなことは絶対にないです。
前回のラストで皆さんの感覚に問い掛けたのはこの事だったんです。
それは発信元の横隔膜の動きに比べたら遠くへ離れる程かなり減衰はしますが、主に柔らかな組織で作られた人間の体は、その波のようなエネルギーを微細ながらも隣り合った部位から部位へと伝わらせている筈です。
なので、肺や横隔膜と言った呼吸器官が呼吸の主役であるのは認めますし、それをすぐ下で邪魔しないようにスペースを譲歩しているお腹が準主役といった位置付けも悪くはないでしょう。
しかし例えば、その直ぐ下部にある股関節に極度の緊張があったらどうでしょうか。
内臓は調子良く柔らかな態度で呼吸を助けてくれそうでしょうか。
また、股関節には問題が無いとして、大腿部の筋肉に過度の緊張があったら、膝関節に何らかの硬さがあったとしたら、その緊張や硬さは内臓が下がる能力を遺憾なく発揮させてくれるのでしょうか。
電車やバスなんかで、ちゃんと詰めて座らないとか、奥へ詰めないとかで、スペース確保に関して非協力的な人、否、奴をよく目にしますが、体の何処かにそんな状態が出来るだけ少ないことが自然な呼吸の要点です。
お腹の動きに拘ると、きっとその、もっと大事な事を見落としてしまうと思いますし、見落としている人がいっぱい居ます。
先程も言いましたが、人の体は骨と歯以外は軟組織で、しかも、骨と骨のジョイント部分もやっぱり軟組織です。
なので、呼吸器官が促した押圧は、体全体に柔らかく伝播します。
そこで今一度、前回あれだけ言ったにもかかわらずやってくれなかった人はさあ今から、呼吸で動く個所の代表と一応世間一般では言われているお腹とやらに手をあてて、呼吸の動きを感じてみてください。
お腹の膨らみの巧拙に気を取られて力みが出て壁を作り、その周囲のみでエネルギーが鬱滞しているのなら、その"やり方"に対して体は遅かれ早かれ“No!”の答えを出すと思います。
お腹への過度な拘りを持たずに居られたなら、きっと、手や足の指先にまで呼吸の波は到達している、その事実に気付けると思います。

つづく
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