「下読み」のお話。

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ライトノベル作家・専門学校現役講師のひびき遊です。

ツイッターでも創作関連のお話をつぶやいているのですが……半年前に書いた「新人賞下読みの話」がなぜか、今頃になって再浮上しています。
読みやすいように、こちらにもまとめておきますね。

「下読み」というのは、応募原稿の一次選考の作業ですね。
二次選考から編集部内で読まれる、というのが一般的なんですが、それまでに「小説として問題がある作品」をはじくのが一次選考です。
(※各新人賞によってそのあたりの線引きは、多少変わっているようですが)

今回のまとめは、あくまで「ひびきが請け負った下読み原稿」の話であり――かつ、作品が特定できる部分を抜いた「感想コメント」です。
デキのいいものは当然、褒めて、二次選考に推しましたが……「どういうのが一次選考オチするの?」という参考に、指摘箇所をご確認ください。


■外見の描写が少なすぎで、ロボットのデザインも伝わってこないため燃えません。それ以前に視点がとにかくめちゃくちゃです。また読み直してないのか、文章がぐちゃぐちゃなところも。稚拙すぎます。

■台詞の少ない文体。書き慣れていますが、描写を省いてシーンを飛ばす悪い癖が身についています。さらに物語が進むにつれどんどん書き飛ばしていき、読めたものではありません。冒頭のみ丁寧。
(※「台詞の少ない文体」自体は問題ではありません。ただの解説ですね)

■小説になっていません。

■日本語はできていますがうまくはないです。緩急の付け方がわかっておらず、無駄な描写を続けたり、アクションで盛り上がりに欠けることも。映像作品の影響が強く、小説の視点での文章ではないです。

■日本語が雑。量が多い割に描写が稚拙で、必要な情報も足りません。主人公は女性であることしかわかりませんし、敵の姿や場所の詳細などももちろん伝わりません。

■必要な描写よりも、自分の書きたいことのみを書くので手一杯な印象。また話があちこちに飛ぶので読みにくく、追加のトンデモ設定もいきなり現れ、ついていけないまま物語だけが進んでいきます。

■軽い文体。朦朧とした意識の中で、詳細を観察する余裕があるのはちぐはぐです。また場所に関する情報が足りず、今どこにいるのかほとんどわかりません。地の文で、必要な台詞のやり取りを飛ばすのも×。
(※「軽い文体」自体は問題ではありません。ただの解説ですね)

■まともな日本語が書けていません。一文に同じ意味の言葉が出てくることがしばしば。句読点のリズムもおかしく、あまり本を読まない書き手という印象です。

■三人称の中に一人称が混ざる文章。視点も揺れます。また頻繁に地の文が塊で襲ってくるため、とても読みにくいです。場面転換の処理も下手で、とにかく未熟です。
(※「三人称の中に一人称が混ざる文章」自体は問題ではありません。ただし複数名の一人称が混ざるとまずいです)

■書きたい話に書き手の知識が追いついていません。

■はっきり言って下手。地の文での描写、盛り込むべき情報が不足しています。書き慣れていない印象。しばしばキャラクターが知るはずのないことを書く「神様視点」になりがちです。

■発展途上です。伝えたい情報が多すぎて、自分で整理できず一文がわちゃわちゃになることも。視点もいちいち揺れて気持ち悪いです。

■それなりに語彙は豊富なのですが、読者のことを考えない文章です。設定や情報を説明するのがとにかく下手です。

■てにをはは普通ですが、台詞を軽んじる傾向があり、地の文と混ざってぐちゃぐちゃになっています。小説としての形になっておらず、まともに読むこともできないレベルです。

■誤字多し。場所に関する描写が少なく、主人公が今どんなところにいるのかがわかりにくいのはダメですね。

■視点が揺れて、誰がメインのシーンなのかわかりません。また説明だけで手一杯になり、うまく「読ませる」形に処理できていません。描写も足りないです。

■日本語はできていますが、そもそも小説の文章になっていません。語彙も少なく、似たような言葉がぽこぽこ続きます。


――以上、すべて違う作品へのコメントでした。
詳細を説明すると作品特定にも繋がりますので、ここまででご容赦ください。

ともあれ、問題点のパターンは共通することが多いです。
胸に刺さるものがあれば、「これはやってはいけないんだな」と、ご自分に反映してくださいね。

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