内容証明書の作成 - 事例①消滅時効の援用

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法律・税務・士業全般
こんにちは ベル行政書士事務所です。

前回に例示で挙げました、各事例ごとの検証をしていきたいと思います。
クーリングオフについては省かせてもらいます(メジャーな制度ですし、ググるとたくさん出てきますから)💧


本日は、『借入金等における消滅時効の援用』について書かせてもらいます。
(ちなみに、本記事は令和2年4月1日の改正民法を軸に書かせてもらっております。)

時効の援用をするには、時効が完成した後に「援用」という意思表示をしないといけません。

つまり意訳すると、「お金を借りてから、時効が完成するまでに必要な期間が経過しておりますので、私は消滅時効が完成した旨をあなた様に主張し、返済の義務を免れさせて頂きます。」という意思表示のことなんですね。

これは、「権利の上にあぐらをかく者を保護しない」という法律上の考えからきております。

そのため、債権者(この場合、お金を貸した側)が裁判上の手続きをしたか、または債務者(この場合、お金を借りた側)から債務が存在しているという承認を取り付ける等のアクションを起こしておく必要があります。

ちなみに、新民法では原則5年(債権者がお金を貸したことを知った時が起算点になります)で消滅時効にかかることになっています。
また、客観的起算点として10年で時効にかかる場合もありますが、お金を貸した方が、特に金融機関がお金を貸したことを忘れるなんてことはほぼあり得ないと思いますので、大抵のケースで5年で消滅時効にかかると考えて差し支えがないと思いますね(^^)/

実際、内容証明でこの消滅時効の援用を債権者に対して行う場合、一番ネックになるのが援用する側である債務者が自身の債務状況を把握していないことなんですね。

つまり、お金を借りた側の人間が自分が
「いつ借りたのか?」
「いくら借りたのか?」
「債権者が裁判所に時効の更新手続きしていたのか?」
「利息はどれくらいなのか?」
・・・を把握できていないことが結構あります。

当然、手元に借入に関する資料が乏しい状態で、消滅時効の援用通知を相手に送ってしまうと逆に”債務の承認”に該当してしまうことがあり、この時から時効が振出しに戻ってしまうという悲惨な結果になることがあります。

つまり、「時効が完成しているかどうかの判断ができない!」ために知らずに債務の承認をしてしまったということがあり得ます💦

ここでも証拠資料の有無というのは大きなポイントになります。


消滅時効の援用通知書に記載する内容としては・・・

・債権者から送られてくる借入金の特定情報
 (金融機関ならば、会員番号等になります)
・借入者の氏名住所(これは通知人としても記載しますね)
・借入元金
・最終借入日(最終借入日から起算して時効完成に必要な期間が経過している
   という旨と併せて記載)
・消滅時効を援用するという旨

↑これらは必須の記載事項になります。

他に記載しておいた方がよろしいと思われる文言が、次の・・・
※信用情報機関での事故情報について、登録抹消する旨
※当該内容証明書は債務の承認ではないという旨

になります。


次回は、退職届を内容証明として送付する場合について書いていきます。



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