第46回:日本株相場の2023年振り返りと今後の見通し(2024年も宜しくお願い致します)

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第46回:日本株相場の2023年振り返りと今後の見通し(2024年も宜しくお願い致します)

この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。2024年も宜しくお願い致します。

さて、2024年がスタートしました。昨年は年初と年央の2回に分けて2023年の日経平均株価がどうなるか、コーポレート・ファイナンス(配当割引法)の考えを応用して分析しましたが、今年も引き続き考察してみたいと思います。

まず、2023年の振り返りです。前回のブログから引き続き、本ブログで紹介するのはあくまでもコーポレートファイナンスの学習のためのコンテンツであり、具体的に日経平均株価を予想するものではありません。あくまでも日経平均株価を”理論株価”と見立てた場合、その想定の前提となるような、例えば利益成長の期待といったことについて考察するもので、また、購入や売却等について勧誘するものでありません。

詳細なモデルの組み立て方や考え方については前回のブログ等を参考頂ければ幸いです。

【前回のブログ】

話を戻して、2023年の日経平均株価の終値は「3万3464円」でした。2023年年央(6月)時点にアップデートした分析は下記の通りで、実際に3万円前後をサポートラインとして推移した形かと考えています。

【第43回ブログ抜粋】
第43回ブログ抜粋.png

一方で、分析モデルとの差分もありました。具体的には、次の2点です:
①2023年のTOPIX EPS予想を160円に設定していましたが、実際は170円前後ともう少し上の水準で見るべきだったかもしれません。
②また、中期的なEPS成長率についても、元々私は5%で設定していましたが、もう少し高い水準とすべきだったかもしれません。例えば、トレーダーズ・ウェブ(2023年6月9日)によれば、「ゴールドマン・サックスでは、最新のマクロ予想や4~5月にかけて発表された2022年度業績を踏まえて、2023~2025年度のTOPIX収益予想を更新。2023/24/25年度のTOPIX EPSの予想成長率を8%/7%/7%」としたことが記載されています。これらを参考に、モデル上の設定を7.5%したいと思います。
⇒ ①②の前提数値をアップデートした上で、同じモデルから試算される2023年末時点の日経平均株価は33,600円となり、実際の着地とも概ね一致する水準になることが確認できます。見方を変えると、分析モデル自体の枠組みは大きく外れてはいなさそうな点を確認できたのは、振り返りとしてはよかったと考えています(もちろん、どのようなバリュエーション・モデルでも前提条件の設定が一番難しい、前提条件の設定が一番重要ではありますが。。。)。

(KPIを修正した2023年の分析モデル)
KPI修正後_2023年モデル.png

以上を踏まえて、次に、2024年年末に向けて考えていきたいと思います。上述の通り、分析モデル自体は大外しはしていなさそうなので、同じ構造で分析モデルのスタート地点を2024年にアップデートします。

あくまでも試算のために次のような前提条件を設定します:2024年EPS=185円(2023年EPS 170円から7.5%成長した水準)、リスクフリーレート=0.6%(直近の10年国債利回り)、一方でEPS成長率は7.5%と中期的な総還元性向も50%目線で変更なし。
⇒ ここから試算される日経平均株価は「35,600円」が目線に入る水準となります。

(2024年の分析モデル)
2024年モデル.png

また、EPSとリスクフリーレートが変化した場合のシミュレーション分析は以下の通りです。
2024年_感応度分析.png

日本経済新聞『日経平均株価、半数が「最高値を更新」 経営者20人予想』(2024年1月1日)によれば、高値予想の平均は約3万7900円ですが、リスクフリーレートが0.6%前提で、EPSが195円まで上振れる期待が高まった際に実現されるような水準感かもしれません。一方で、安値予想の平均は3万1250円となっており、仮にEPS 185円のまま、リスクフリーレートが1%まで上昇すると、31,100~32,000円といった目線感も見えてくることになります。ここから言えることを一つ上げると、リスクフリーレートに影響を及ぼすのは日銀の政策方針ですので、日銀の利上げなどが意識される局面では、リスクフリーレートの上昇につながる可能性もあり、2024年はこうした政策方針が注目の一つになるかもしれません。

こうした前提の変化については、状況に応じて適宜精査することになるかと思います。また、こうした想定が正しいかどうか、という点については、各々の投資家が判断することになりますので、私の分析としては以上までとなります。

最後までお読みいただき、誠に有難うございます!

本日は個社の企業価値評価のアプローチをマーケット全体に当てはめてみましたが、以下のような個社企業向けの企業価値評価のテンプレートを出品しています。どうぞ宜しくお願い致します。

【ディスクレーマー】
将来財務数値に関する予想並びに財務数値実績について、作成にあたって各種開示資料は参考にしていますが、内容や情報の正確性については一切保証しません。また、市場データ等についてもその完全性は保証しません。本資料はコーポレート・ファイナンスに関連する学習のための参考資料であり、便宜的な仮定や前提が含まれていることにご留意ください。また、特定の株式の購入や売却等を勧誘するものではありません。本資料の利用によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。


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