虐待サバイバーの複雑性PTSD

記事
コラム
PTSDとは、心に大きな衝撃で傷を負い
トラウマになってしまい引き起こされる病気です。

◆衝撃的な体験をしてから、どう生きていいか
わからなくなった

◆些細なことで怒るなど、感情のコントロールが難しい

◆人を信じられず、怖く感じることが多い

◆自分の感じ方をまったく肯定できない

◆なかなか治らないうつ病や摂食障害などがある



このようなことに心当たりがあれば
トラウマを疑ってみるとよいと思います。


また、複雑性PTSDとは
「長期に渡って逃げられない状況で反復する」
ことによって起きたものであり
虐待や性被害などに多く見られます。


これは大変深刻なもので、トラウマの中でも
独立した診断基準となりつつあります。


私は幼児期から虐待を受けていました。
その頻度はいかほどだったのか定かではありませんが
私が母の身長を超えるまで続き(中学生くらい)
何も信じられなかった空白の長い時間があります。


母のヒステリースイッチが入ると
「憎い、可愛げがない、嫌いだ、醜い、こん畜生」
などと言われながら、母の気が済むまで殴られ
蹴られ、投げ飛ばされていました。


そうすることでしか自分を保てないほど
母も追い詰められていたことや
ストレスがあったことは理解できるのですが


暴行が終わるまで
「これは夢なんだ。本当のお母さんが助けに来てくれる。」
そう自分に言い聞かせながら顔をかばい
海老のように体を丸めて耐えたことは忘れられません。



家から逃げたい一心で10代で結婚し
結婚して子育てをする上で
多くのつまずきを経験してきました。


離婚をして再婚をしても同じような問題が
繰り返されました。


当時は、結婚生活にも子育てにも
悩みはつきものだと思っていましたが

幸せな生活を阻んでいたものは
虐待のトラウマでした。


自分の思っていることが言えない
幸せになることが想像できない
自分の価値を信じられない
相手を敵だと思ってしまう
周りを信じられない
いつも孤独だと感じる


心理学を学び
今では病気のことや症状を理解して
穏やかに過ごすことができるようになりました。

ですが、完全に良くなってはいません。

体調によりストレスに過剰反応したり
フラッシュバックすることもあります。


現在は近所に住む母の生活の支援をしていますが
長時間一緒に過ごしたり
わがままな要求をされると
いつも以上に疲れたり、笑顔になれず
「あなたはいつも冷たい」と文句を言われることもあります。


そのように
過去のショックな出来事は
自分では乗り越えたと思い
許せたと感じていても
本当は消化されていなかったり
身体が反応してしまうことがあります。


普通の心の傷は時間が経つにつれ
良くなったり、薄れていくものですが

PTSDは、自分が弱いせいだと責めてしまうことで
孤独や絶望に襲われてしまい、気づきにくいものです。


そのうえトラウマを治療せずに放置しておくと
人生の質が決定的に下がってしまうほどの
ダメージをくらってしまいます。


対人関係がうまくいかない
仕事が長続きしない
常に孤独を感じるなど…


また、PTSDに似た症状に
摂食障害や鬱病があります。

これらの病気にも対人関係面で現れる症状があり

それは一見
「単なる不適切な行動」
「人間としての未熟さ」
「性格的な問題」と受け取られ
その不和が、次なるトラウマ体験となって
本人をさらに傷つけることもあるのです。

気の持ちよう…
なまけもの…
お荷物…

あくまでも病気なのに
周囲の理解が足りないと
治りはどんどん遅くなり
症状は悪化するでしょう


もし、あなたの家族やパートナーが
パニックになったり
手に負えないほど攻撃的になるとしたら


それは攻撃や怒りではなく
何かに怯え「怖がっている」のかもしれません。


対処法として
そんなときに説得したり、押さえつけようとするのは
火に油を注ぐようなものです。


「落ち着いてからゆっくり話そうね」と
いったん安心させてあげるのが得策だと思います。


そして、もしも不安なことを相談されたなら
「時間が解決してくれるよ」
「大したことじゃないよ」
「自虐ネタにすればいいよ」
などとは言わないでください。


大切なのは
一番目にPTSDに気づくこと
二番目に、身近な人に話せるようになること
三番目に、繰り返し思い出して痛みや衝撃に慣れること


信頼できる人に話すことで
自分を信じることができるようになり
他人のことも信じられるようになり
社会にも信頼感を持てるようになります。


そんなふうに時間をかけて
少しずつ傷を癒していくものです。


心の傷は一生消えなくても
思い出す頻度は下がり、振り回される時間は
減っていきます。


中には何の感情も持てなくなる人もいます。
そのときは、感じる心を育てるところから始めます。


「たいしたことじゃなかった」と思っても
今の自分が、その出来事が起きる前の自分と違うと感じたら
誰かに打ち明けてみましょう。


もちろん心療内科やカウンセリングも有効です。
あなたの味方になってくれる人は必ずいますよ。



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