宮崎駿監督の映画「君たちはどう生きるか」はなぜ難解なのか(ネタバレあり)

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   宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」はストーリーがとにかく難しいと感じる人が圧倒的に多いようだ。なぜ難しいと感じるのだろうか。
 戦時中の小学生の主人公は、空襲により病院にいた母を失う。そして、戦火を逃れるために父の再婚相手(主人公の母の妹)の田舎に引っ越すことになる。
 その田舎の屋敷はたいそう立派なものだったが亡き母が子供の時、しばらくの間、神隠しにあったことがある場所だった。
 ある日、ある奇妙な鳥が亡くなった母に会わせてくれるというので、近寄ってはいけないと言われていた奥の奇妙な屋敷に踏み込んだ主人公はそのまま異世界(霊界)に旅立ってしまう。
 その異世界で危機にあった主人公は亡くなったはずの母に助けられる。しかし、その母は子供の姿をしており、主人公を生む前の子供の姿の母だった。つまり異世界(霊界)では時間が止まっており、以前、神隠しにあった母がそこにいたのである。
 この映画を難しいと感じる人はまずこの設定に混乱するようだ。タイムトラベルものを知っている人でないと時空を超えた話と言うのは混乱しやすい。
 その後、この異世界(霊界)は崩壊するのだが、霊界自体がすべて崩壊するわけではなく、肉体を持ったまま入れる特殊な霊界だけが崩れていくのである。肉体を持ったまま入れる霊界はきわめて不安定な世界だったのだ。
 子供の姿をした母は、元いた時代に戻る扉を開き元の時代に戻っていく。
 そして、母はその時代で成長し、やがて主人公を生むのである。
 主人公もまた自分の時代の扉を開き、自分の世界に戻っていった。
 母はやはり空襲によりその後亡くなることになる。
 しかし、霊界が存在することを知った母子はいずれ霊界でまた会えることを知ったので死が絶対の別れを意味しないことに気づくのである。
 以上があらましだが、今までの宮崎監督の異世界ものと違い今回の異世界は霊界である。(生まれ変わりの描写がある)
 八十二歳になった宮崎監督が霊界を思い描くのは、人として自然なことだろう。


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