刑法の攻略法~司法試験予備試験受験生必見~

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刑法の答案の書き方


さて、今回は、刑法のポイントを押さえましょう!
刑法は、学説の対立が激しく、その説が難解であることも多いです。
そのため、司法試験・予備試験の受験生に対して無駄に苦手意識を持たせる厄介な科目だと思います。

ですが、逆に考えると、基本的なことが出来ているだけで他の受験生に大きく差をつけることができるおいしい科目とも言えるかもしれません。
ポイントは、「どう書くか」です。

まず最初のポイントは、「TB→R→S」です。
TB=構成要件、R=違法性、S=有責性を意味します。
この順番を守らないと100%合格答案にはなりません。
犯罪の成立は、この順番で検討することで初めて認められるからです。
なぜこう考えられるかと言うと、「TB(「刑法第二編罪」以下で定められて
います)を満たす行為は、全てRとSを満たす」という前提で刑法が作られて
いるからです。

そもそもの考え方がこうなのです。
これは、絶対に変えられない刑法思考の大前提です。
ちなみに、刑法第一編総則でRやSを否定する根拠となる条文があります(刑法第35条以下)。
これは、上記の考え方が前提にあるためRやSを肯定する根拠条文としてではなく、否定する根拠条文として定められています(法律の構造を体感しましょう)。

次にTBを検討する際のポイントとして「客観→主観」があります。
これは、客観的構成要件を先に検討し、その後に主観的構成要件を検討するという意味です。
こう考えるのは、そもそも客観的な法益侵害行為がなければ、犯罪の成否を検討する余地すら生まれないという理解があるからでしょう(「あいつ、殴りてー」と思っているだけなら別に罰する必要はないですよね。思想の自由(憲法第19条)にも関わります)。

次に多くの受験生が悩むポイントととして共犯成立の書き方があります。
「実行行為者の犯罪認定(単独犯の場合と同様)→それ以外の共犯者の認定(共同正犯・教唆犯・幇助犯)」の形で書いていきます。
こう考える根底には、共犯は「他人の行為に刑責を負う特殊類型である」との理解があると思います。

そもそもの話ですが、法的責任は、自分がしたことについてのみ負うのが原則です。
その点から考えると刑法も単独正犯がもっとも基本的な犯罪類型ということになります。
刑法上、多くの犯罪が単独正犯の形で規定されているのもその表れだと思います。
で、共犯の話に戻ります。

例えば、共同正犯については、一部実行全部責任の原則が当たり前のように語られます。
これは、犯罪の一部を実行しただけでもその全てに刑責を負うという原則ですが、そのポイントは「他人の行為にも責任を負う」ということです。

その正当化根拠として、犯罪の一部に加担していることを挙げています。
この理論構造が何も共同正犯のみならず狭義の共犯にも通用する話だと分かれば、上記のポイントもスッと理解できるはずです。
ちなみに「実行共同正犯と共謀共同正犯で書き方が変わるのでは?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、私は特に変える必要がないと考えています。

確かにその犯罪態様は異なりますが、「他人の行為に責任を負う」という本質に違いはなく、共犯の思考枠組みが同じように妥当するからです。

いかがでしたでしょうか。
上記のポイントが分かれば、あとはたくさん答案を書きながら練習するのみです。
刑法は定義を正確に書くというポイントもありますが、それはどの科目でも同じです。
刑法の添削指導も随時受け付けております!!

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