今を生きるレジリエンス(シリーズvol.1)

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コラム
今日は、ホリスティック医学協会発刊のホリスティックマガジンから
「レジリエンス」について、シリーズに分けてピックアップしてみたいと思います。

そもそも、レジリエンスとは何か。
端的に言えば、「本質に戻るちから」

もともと、「弾性、回復力、復元力」を意味する物理学用語でした。

東日本大震災後の2013年12月4日、「国土強靭化基本法案」が成立しました。正しくは、「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法」、別名「ナショナル・レジリエンス」です。
防災・減災対策において今後さらに必要となるのが、ハード面の強化に加えて自助・共助を柱にしたソフト&ヒューマンウエアです。そこで重視されるのがレジリエンスなのです。

東京都市大学環境学部で教靭を執る枝廣淳子教授は著書『レジリエンスとは何か―何があっても折れないこころ、暮らし、地域、社会をつくる』の中で、レジリエンスの概念を「外的な衝撃にも、ぽきっと折れてしまわず、しなやかに立ち直る強さ」と記しています。枝廣教授によれば、このレジリエンスの概念は生態系の分野と心理学の分野でそれぞれ発展し、世界でその取り組みに関心が集まっているとのことでした。

「こころの強さ」とはなにか

2018年は一年を象徴する漢字に「災」が選ばれたほど、多くの自然災害に見舞われた年でした。ますますナショナル・レジリエンスの取り組みが加速することでしょう。一方で、心理学の分野、こころと健康においても近年、レジリエンスが注目されています。
その背景には鬱を含め、ストレスによる不調を訴える人の増加があると言われています。

企業のメンタルヘルス対策の一環としてストレスチェックが義務化され、心身の不調を未然に防ぐために何が必要か、企業でも模索し始めました。そこで「こころの強さ」に焦点をあて、米国で盛んに行われていた企業向けのレジリエンス研修などが、日本でも行われるようになったといいます。

しかし、これに対して前述の枝廣教授は「社員のレジリエンスを高めることは、どんな過酷な状況下でも会社のために働き続ける人をつくることではなく、また、いじめに対しても、いじめが起きる環境をそのままにして、いじめられてもめげない力を高めて解決しようというのでは、真の問題解決にはならない」と警鐘を鳴らしています。これはこころに留めておくべき指摘ではないでしょうか。

「立ち直る力」は誰もがもっている

私たちは誰しも立ち直る力、回復する力をもっています。
「私たちのからだには自然治癒力が備わっているように、こころにも問題を解決する力、困難を乗り越える力、幸福を感じる力として『立ちなおる力』(こころの治癒力、レジリエンス)が備わっている」とされています。

さらに、子どものレジリエンスを育てるワークブックにも「多くの人は困ったことが起きると、落ち込んでしまいます。でも、不思議なことに時間が立つと立ち直ることができます。そんな心の力(レジリエンス)を人はもっているからです」と書いてありました。そして、それを表したものが「立ち直り曲線(レジリエンスカーブ)」です。

ただし、立ち直りかけてはまた落ち込んだり、何となく直線的にすうっと立ち直れたり、立ち直りの過程は人によって違います。そのためレジリエンスカーブがきれいな曲線を描くとは限りません。それをワークブックではこの図とともに「立ち直った後の自分は、それまでの自分より少しだけ成長している」のだと説明しています。

図1.jpg

また、関連図書では従来のアプローチとレジリエンスを育てる教育の違いがわかりやすくまとめられていました。
レジリエンスというのは、「自分を信じる力」であり、「人に頼ることができる力でもある」といえるようです。 
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いかがだったでしょうか?今日はここまでにしておきます。
次回は【自然の中での調律と内在神】について取り上げてみたいと思います。(連載できるかどうかは分かりませんが)

                メンタルヘルスナビゲーター   KOU


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