こころの不調と向き合う『うつ病治療』最近の話題Vol.3

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さて、今日は「こころの不調と向き合う『うつ病治療』最近の話題」の最終章として、HOLISTIC COLUMNの中から「心身医療の現場から」と題して、竹林直紀(ナチュラル心療内科クリニック院長)の手記から引用して、ご紹介させていただきます。

vol.7 心身医療の現場から


「うつ病」という病名は、アロパシー医学である近代西洋医学の精神科治療において、対症療法としての薬物療法をおこなうための疾患分類であり、抑うつ気分を初めとした様々な「症状」から診断基準が作られています。

従って、その治療目標は、原因ではなく結果として現れている「症状」を改善することであり、その手段としての薬物療法が用いられることになります。

「現代はうつ病の時代である」ということで、厚生労働省の気分障害患者数の推移のグラフでも増加していますが、これは実際にうつ病が増えているのではなく、「うつ病」という診断名が増えただけだと考えています。平成14年から急にうつ病の患者数が増加しているのはSSRIという抗うつ薬が平成11年から日本でも処方されるようになったからです。

それまでの三環系・四環系抗うつ薬と比べて副作用が少なく、精神科を専門としない一般臨床医でも使える新しいタイプの薬として、マスメディアなどを通じて大々的に当時宣伝されました。
そのため、精神科を専門としない一般臨床科の医師による処方量が急激に増加したのです。

すなわち、SSRIを処方するために精神科以外の医師も「単なる気持ちの落ち込み」に対しても、保険病名として「うつ病」をつけるようになったのです。
要素還元主義による近代西洋医学では、病気の原因や脳の細胞、遺伝子などの部分にあるとして原因探しの研究をしています。

しかし本当の原因は、身体内の部分にあるのではなく、社会や環境との関りの中でダイナミックに絶えず変化している「生命体システム」という視点から考えなければ、理解することはできないのではないでしょうか。
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(考察)

著者の竹林氏も述べておられるように、「うつ病」の原因というのは、単に要素還元主義による近代西洋医学での生理的・遺伝子的なことが病気の根源ではなく、社会や環境との関わりの中でダイナミックに、絶えず変化している、人間を有機的統合体として捉えた「生命体システム」の視点から治療をしていかなければ、延々と「対症療法」を繰り返すだけであり、いつまでたっても根本的な「治癒」には結びつかないと考えます。

あらゆるストレスから被った精神的ダメージが脳の偏桃体などの正常な働きを阻害し、気分障害といった表面上の症状だけで短絡的に「うつ病」と診断され、その原因は何かということを、病気の原因や脳の細胞、遺伝子などの部分にあると仮定して研究をしていったとしても、新薬の開発が進むだけに留まり、薬物抗体(薬物耐性)が強くなり、再び「リラプス(再発)」の状態を呈しまい、結局は「いたちごっこ」で、本当の回復・寛解に至るまでにはならないのではないかと思います。

「うつ病」は、闇雲に薬物療法に頼らなくても、環境やライフスタイルの改善、クライアント様の周囲の人間関係でメンターとなる人を見つけて、あるいは躊躇いなく職場を変えてみることや、会う人を変えてみるなどをすることで、ストレス軽減につながり、気分障害は自ずと改善していくことが可能です。

また、様々な「補完代替医療」を近代西洋医療と併せ、カウンセリングやセッション等を受けることで、潜在能力の開花につながり、その個々人に合った治療法を、クライアント様自ら、選択・統合し、主治医や治療家などのアドバイスを参考にして、継続的にポジティブでアクテビティなオリジナルの治療法を実践してみることが、「うつ病」だけでなく「不安障害」や「対人恐怖症」「適応障害」「強迫神経症」「パニック障害」などの症状も改善していくことが望まれると考えます。

しかしここで注意していただきたいのは、クライアント様自ら、治療法を選択・統合する上に於いて、先ほど述べましたように、まずは主治医や補完代替医療の治療家のアドバイスを受けて行うことが大切で、独断で判断しないことが重要になってきます。

その上で、自分に合った療法で、ご家族などの協力を得て、明確な目的意識をもって楽しみながら治療に励むことにより、より効果的な症状の改善を図れることが望まれます。

また、薬物療法にしても、SSRIを処方するために精神科以外の医師も「単なる気持ちの落ち込み」に対しても、保険病名として「うつ病」をつけるようになったことで、容易に薬物療法に偏りがちになってしまわないよう、できるだけナチュラルな自己療能力を活性化することを基軸として、抗うつ剤などの処方に関しては、よほど苦痛を伴う場合は、精神科を専門としない一般臨床科に処方してもらうことは控えるようにし、専門的な精神科医の指示や処方を受けるように心掛けていただくことが大切だと思います。

言わずもがな、化学薬品の精神安定剤は合法的な「麻薬・毒薬」です。保険診療の明細にもハッキリ書かれています。効果が強く、半減期までの血中濃度が高い薬物に於いては、副作用や依存性の強い薬がありますので、必ず用法・用量を守って、正しく服用するように注意していただきたいと思います。

最後までご高覧ありがとうございました。

メンタルヘルスナビゲーター  KOU


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