〈完全版〉原稿用紙の使い方 ~大学受験編~

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小論文の添削指導をしていて、初回の方には必ずと言っていいほど説明するのが「原稿用紙の使い方」です。小学校から親しんでいる「縦書き」の原稿用紙の使い方であれば身についている方が多いのですが、
「横書きの場合は何か縦書きとは違うルールがあるのか?」
「要約でも冒頭の一マスは空けないといけないの?」など、大学受験の場になって初めて迷うことも多いと思います。
この記事は、私が指導している方々にお伝えしていることを、視覚的にわかりやすくまとめています。

※ここで記載しているルールは絶対的なものではなく、指導する先生によって異なる場合もあります。ただしこの記事のルールに従っていただいて、少なくとも入試の場で減点になることはないかと思います。

横書き原稿用紙の使い方の基本

大学受験や志望理由書などの出願書類では、多くの場合に横書きの解答用紙が用意されます。横書きの原稿用紙の使い方の基本をまずはおさえておきましょう。
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①:アルファベットや数字(2ケタ以上)は、2文字で1マス使う

縦書きの場合は数字を漢数字に直しますが、横書きの場合は算用数字のままで書いても構いません。アルファベットや2ケタ以上の数字は、1マスにつき2文字を書くのが決まりです。

②:記号は基本的に1マス使う

句読点、かぎかっこなどの記号は、1つにつき1マス使うのが決まりです。なお、小論文では使ってよい記号と避けたほうが良い記号がありますので、下の内容も参考にしてください。

〈使ってもよい記号〉
、(読点)
。(句点)
「 」『 』(かぎかっこ・二重かぎかっこ)
(  )(かっこ)
・(中点)

〈避けたほうが良い記号〉
!(感嘆符)
?(疑問符)
…(三点リーダー)などの記号は原則として小論文では使いません。

③:句読点やとじかっこは行頭に書かず、前の行にいれる

句読点やかぎかっこが行頭に来る位置に来てしまった場合に、行頭に書いてはいけません。前の行の最後の文字と同じマスに入れるか、見本のように枠外に書くようにします。

意外と悩む・・・「要約は冒頭1マス空けるのか」問題

作文を書き出すときに、冒頭の1マスを空けて書き出すというのは、小学生の時からなじみのあるルールだと思います。ここで、よく「要約問題の場合も1マス空けたほうがいいのでしょうか?」という質問をいただきます。
確かに大学受験の問題では、小論文の前に、課題文の要約や、200字程度での説明問題が出される場合が多いですね。
結論としては、要約問題の場合は1字空ける必要は「なし」です。

まず基本的な考え方として、「1マス空ける=段落を設ける」であることをおさえておいてください。
例えば現代文の記述問題で「100字程度で説明せよ」と言われて方眼用紙が出てきたときに、冒頭を1マス空けて答えを書き出す人はいないと思います。
それは「段落を作らないから」です。100字の答案を1~2文くらいで書くので、段落という概念がありません。

実は要約問題も同じです。200字~400字程度の字数制限が多いと思いますが、それを複数の段落に分けて書くことはしないほうがよいでしょう。(段落を設けるということは、段落が変わるたびに改行が発生し、空白のマスも生まれるということです。ただでさえぎりぎりの字数制限で空白マスまで作ってしまったら、本来必要な要素を書く字数がなくなってしまいます)

段落に分けないということは、冒頭の1字を下げる必要はないわけです。

<要約の見本>
冒頭は1マス空けずに書き始める。改行もしない。これによって指定字数を最大限有効に使うことができる。
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<NG例>
冒頭を1マス空ける=段落を設けるということ。段落を変えるたびに改行も発生し、空白マスで指定字数をかなり無駄に使ってしまう。
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段落を設けない=句読点の位置を気にする必要はない

もう一つ、よく勘違いされているのが、「原稿用紙では、必ず句読点やとじかっこが行頭に来てはいけないんでしょ?」ということです。
段落分けした小論文の場合は・・・Yesです。
しかし、冒頭を1マス空けていない(=段落を設けない)要約問題の場合は、行頭だろうが行末だろうが、字数をカウントするためだけにある同じ「1マス」です。句読点やとじかっこが行頭に来ても問題ありません。

<段落分けしていない文章では句読点やとじかっこが行頭に来てもOK>
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逆に、冒頭を1マス空けていない(=段落を設けていない)のに、句読点やとじかっこを行末や枠外に書いた場合、本来1文字としてカウントすべき記号をカウントしていないことになります。これでぎりぎりまで文章を書いてしまうと、字数オーバーの判定になることがあるので注意しましょう。

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※これが最後の一行だとすると、「。」が枠外に書かれている分、字数オーバーとなってしまう

(反対に)小論文では必ず段落を設けよう

要約問題では段落分けも、冒頭の1マス空けも不要でしたが、小論文(自分の意見を論述する)問題の場合は、必ず段落を設けましょう。

段落を設けるということは
★段落の初めは必ず1マス下げる
★段落が変わる場合は、改行をする
この2つのルールをしっかり守りましょう。

<段落分けした小論文の例>
dannrakuari.png

大学受験の小論文は600字~800字ほどが多いですが、多い大学では2000字以上が課されることもあります。いずれにしても字数には関係なく、意見を述べる問題では、段落をきちんと設けて書くようにしましょう。

なお、段落はむやみに分ければいいというものでもありません。段落分けの考え方については、別の記事で追って紹介したいと思います。

原稿用紙の使い方は、大学受験で小論文や志望理由書を書く人なら誰しも不安に思うところです。独学で自信がないときは、添削のプロに見てもらって、誤りがあれば指摘してもらう機会を設けるとよいでしょう。

体裁面には自信を持ったうえで、内容面のトレーニングを重ねていけるとよいですね!

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