レコーディングの基本2「なぜノイズが入る?」

記事
音声・音楽
レコーディングの基本1では3つの約束事を紹介しました。

1,音割れが無い事
2,音が小さすぎない事
3,最高のテイクを出す事

まだ読んでない方はどうぞ。レコーディングの基本が理解できると思います。
「とにかく音割れが無ければOK」という認識の人はそれなりにいると思います。しかし、2の「音が小さすぎない事」

これが何故だかわからないという人もいるでしょう。

ノイズに関わる重要なところですし、音質向上にも繋がりますので、

自身でミックスをやる人も、人にミックスを依頼する人も憶えておいてください。音割れが無いように無いようにと入力ゲインを下げて録音する方がたまにいらっしゃいます。

音割れ回避を最優先した事によって起こる事だと思いますが、

実は音が小さすぎる事、つまり録音時の入力ゲインが低すぎると波形が非常に小さくなります。



小さい波形のデータを適正なボリュームに引き上げる事は簡単




ですので、音割れが出ない程度に音量を上げたとしましょう。

歌唱部分はもちろん音量が上がります。

ですが、無歌唱部分の音量も上がります。これによってノイズが目立つ事になります。「じゃあ無歌唱部分のノイズを消せば良いじゃない。」

と思われるかもしれませんが、確かにその通りで、ノイズゲートというエフェクトの使い方さえわかれば簡単に無歌唱部分のノイズを消す事が出来ます。

ですが、ノイズゲートに関しては小さい音の時、ゲートを締めて無音にするという動作をするので、

歌唱部分のノイズを消そうものなら、歌唱部分ごと消えてしまいます。

iZotopeのRXという有料プラグインを使えば、歌唱部分のノイズに関してもある程度対応できますが、特に初心者の方はRXを持っていないでしょう。

あまりにひどい場合はRXを使ったとしてもどうしようも無いです。ですから


ノイズはレコーディングの段階で対処する。





歌唱部分のノイズと向き合う事が大切になります。

録音時に冷房なり暖房、もしくは換気扇などの空調を入れていればマイクが収音します。デスクトップPCを使っている方でしたら、PCもそれなりにCPUファンの音が鳴りますよね。

こういった物理的なノイズも出来るだけ無い状態で録音する事が望ましいですが、物理的な空間以外にもノイズの発生源があります。

それはケーブルなり、機材なり、電気になります。

ハムノイズですとか、ホワイトノイズとか、ピンクノイズとか、どれかは聞いた事があるかと思います。

普通に録音している限りそうしたノイズはあまり問題にはなりませんが、データの音量を上げたり、エフェクトでコンプレッサーやリミッターなどで音圧を稼ぐ時にノイズ事大きくしてしまう為、後々問題になる事があります。

ちなみに


僕らが普通にコンセントから取っている電気もノイズの発生源です。




それはなぜか?

一般に使われている電源は電柱からきて、

分電盤(ブレーカー)に来て、そこから洗濯機やら冷蔵庫やらなにやら色々な場所に電気が回ります。

そうして家庭内で様々な場所に電源供給される事によって電圧が一定にならないのです。この電圧変動が電源ノイズ、つまりハムノイズの原因になります。

ちなみに電源というのは音と密接な関係があり、ノイズだけでなく、出る音にもダイレクトに影響します。

エフェクターを使うエレキギターを弾く人ならよくわかると思いますが、

エフェクターの電源はACアダプターで取るより、乾電池で取った方がのノイズが少ないです。これは聴覚上あきらかに違います。

もっと言えばギタリスト電源とも言われているアイソレーション電源トランスという特別なコンセントが世の中には存在します。

元々医療用の電源プラグなのですが、

これがめちゃめちゃエレキギターの音が良くなります。昔ギタリストに借りてアンプ直で弾いたら驚愕でした。

話が逸れましたが

「音割れが無い事」が当たり前になった人はステップ2で「音が割れない範囲の最大音量」で録音する事を癖付けてください。




録音時になるべくノイズが少ない状態にする





出来ればケーブルや電源にも気を遣う。

例えばあんまりタコ足配線をすると先ほど言ったような電圧変動の関係で音も変わってきます。ノイズだけでなく、音も変わってきます本当に。

結構劇的に変わるのでアイソレーション電源トランスを導入するのも手です。お金がある人は。

微小なノイズであっても、歌唱部分に被る部分は音量を上げたり、コンプレッサーやリミッターを使用した音圧稼ぎによって影響が出てきます。

明らかなノイズでなくても、歌唱部分がなんとなくぼやっとしたり、明瞭度に影響してきます。



ノイズと音声信号の比率をSN比と言います。




シグナルトゥノイズとも言いますが、

様々な機材にSN比というのがありますし、僕らが録音して出来上がったテイクにも意識すべき概念です。

なるべくノイズは少なく、音声信号の部分は大きく。許容範囲を超えると音が割れますが、出来るだけ音声信号は大きくという事です。

プロやアマチュアでもリフレクションフィルターと言って、マイクの周りを囲う機材を使っている人がいますが、あれは部屋の反響を阻止する目的です。

リフレクションフィルターに関してはぜひとも導入してくださいとまでは言いませんが、拘る人はそこまでやっているよとはお伝えしておきます。

オーディオの世界はあまり奥が深く、どこかのアメリカ人がオーディオの為にマイ電柱を購入したという話さえあります。

レコーディング時にSN比を良くする為に出来る事は例えば、

自然に歌っているとどうしてもサビの音量に比べてAメロやBメロの音量が落ちる事があるので

AメロやBメロなど落ち着いた部分では入力ゲインを上げて録音する。という事もSN比を上げる為に効果的です。

普通に録音出来ている人ならノイズが気になる事はあまり無いかと思いますが、上手にレコーディングをすると、

音量を上げたり、エフェクトを掛けた時に雑味が無く、綺麗に利くので、微細なノイズに対してもケアする癖を付けましょう。

次回はレコーディングの基本3「最高のテイクを出す」公開しました。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す