実話怪談『地元の公園』

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小説
 地元に、とある公園がある。
 仮に、S公園とする。
 その公園の奥には神社があり、昼間でも、人気が無く不気味な印象を覚える。
 公園の神社に行く為には、途中、緩やかな坂道や階段を何段も登る必要がある。その坂道の途中に、奇妙な人影が見えたと聞かされた事は何度もある。深夜に公園内のトイレの中に入ると、首をくくった女の人の霊が見えるとか、奇妙な人物が奇声を上げ続けているなど、地元ではいわく付きの公園だった。
 私は大学時代の夏休みに、なんとなく一人でその公園の奥へと散策に行った事がある。友人の少なかった私は免許を取得して以来、遠くの本屋を探すドライブに行くのが趣味だった。また、地元の各地の小道などを車で回るのが好きだった。
 その公園の駐車場に車を停めて、公園の奥へと入り込んだ事を記憶している。
 財布を手提げバッグの中に入れて、公園内の自動販売機で購入した缶ジュースを片手に、公園の中を散策した。
 神社に着くまでの坂道は、何か不気味な感覚があった。
 神社が見えてくると、気のせいか、人の気配のようなものを感じる。
 私はその神社に礼拝をして、当時、安物のデジタルカメラを使い、神社内で撮影した事を記憶している。写真内に心霊的な何かが映っているわけではなかったが、何処か遠くで、奇妙な人の声のようなものが聞こえた事を覚えている。
 帰り道、沢山の人物達に睨まれたような感覚を覚えた。
 帰った後も、何かに見られている気配を感じた。
 デジタルカメラで撮影した写真には、霊感のある人間が調べたところ、首吊り死体が映っていると言われた。出来るだけ早く、データを処分した方が良いとも。
 二年程、経過して、知り合った女の子を連れて、その公園の神社へと誘った。
 女の子は霊が見えるらしく、坂道には沢山の者達が睨んで、こちらを見ているのだと言った。また、私は女の人の霊を、その神社から連れて帰ってきてしまったらしい。
 しばらく、鬱の症状に苛まれて、その年は災難ばかりが降り掛かってきていたのを覚えている。


※私が体験した実話怪談です。

※2021年頃に「怖い話の書く」サービスにてご依頼人様にご提供したテキストです。無断転載はおやめくださいませ。


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