初心者やカメラを初めて買う人がチンプンカンプンになりがちなカメラ・写真用語あれこれ カメラボディー偏

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ミラーレス一眼を使って撮影していたときに、その撮影相手に言われたことがあります。「スマホって、あんなにレンズが小さいんだから、きれいに撮れるわけないですよね」

それに対する私は、「いや、あれはレンズが小さいのではなくて、イメージセンサーが小さいんです。だから、画質に限界があります。レンズが小さいのは、イメージセンサーに合わせると自動的にそうなるんですよ」と答えました。

相手は、びっくりしていました。その様子を見て、「仕事で写真を撮る人間と、一般の人はこれぐらい知識に差がある」と確認させられました。

そこで今回は、私(柳本)たち側からすると「説明の必要のない常識」と思い込んでいる用語も含めて、ピックアップしてみました。レンズ編とカメラボディー編のうちの後者です。

デジタル一眼レフ・ミラーレス

先にあったのは、デジタル一眼レフです。これには鏡(ミラー)が組み込まれています。こちらが基準になっているので、「鏡がない」は特徴となりました。それで、「ミラーレス」の言葉が生まれました。

また、「一眼」とは、ファインダーのために別にレンズをつけている「二眼」との違いを明確にするための言葉です。ただし、二眼はクラシックカメラとしてしか残っていません。「ミラーレス一眼」と呼ぶことは多くありませんが、ミラーレスも一眼です。

・デジタル一眼レフ

レフとは、「レフレックス(reflex)」の略で、「光を反射する」の意味です。

デジタル一眼レフの内部には、斜め45度上を向いた鏡があります。「一眼レフ」の「レフ」とはこの鏡のことです。

レンズを通った像は、このレフで反射されてカメラボディー上部に送られます。ここにも角度を変えて組み合わせた鏡があり、そこでまた反射させて、像をファインダーの中に映し出します。つまり、「何組かの合わせ鏡を使って送られてきた像を見ている」と考えればいいでしょう。

シャッターボタンを押すと、この鏡が跳ね上がり、カメラボディー奥の突き当たりにあるシャッター幕が開かれ、イメージセンサーに光が当たります。

このデジタル一眼レフの仕組みは、フィルムカメラの一眼レフから変わっていません。フィルムがイメージセンサーに置き換わっただけです。

・ミラーレス(ミラーレス一眼)

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同じくレンズ交換式カメラでありながら、鏡とペンタプリズムをなくしたのが、ミラーレスです。「ならば、どうやってファインダーの中の像を見せているのか」が気になるところではないでしょうか。

実は、ミラーレスのシャッター幕は、普段から開いたままです。シャッターボタンを押したときだけ、シャッター幕が閉じたり開いたりの動作をして、イメージセンサーに画像を記録しています。

それ以外のときも、レンズを通して送られてきた光景は常に拾っていて、しかも、電気信号に置き換えています。その電気信号をファインダー内や背面モニターで再生しているのです。距離はわずか数センチで、電波も使っていませんが、「生中継をしている」と考えれば、いくらかはイメージがわくのではないでしょうか。

イメージセンサー

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イメージセンサーは、フィルムカメラのフィルムに当たる部分です。フィルムは薬品の化学反応で画像を記録していたのに対し、電気信号で記録します(と、書きはしたものの、ほとんどの人にとって説明不要だったでしょう)。

フィルムもいくつか種類がありましたが、一般の人が使うのは、「ライカ判」や「35ミリ判」と呼ばれる1コマが35ミリ×24ミリのものにほぼ限られていました。

一方、イメージセンサーは大小さまざまなサイズのものが、身近なデジカメに採用されています。ここでは詳述しませんが、このサイズの大小が、色合い・コントラストなどの画質を大きく左右します。

・フルサイズ=フィルムのライカ判と同じく、35ミリ×24ミリの大きさがある。ソニー・ニコン・キヤノンなどの高級機に採用されている。

・APS-C(エイピーエスシー)=メーカーによって多少の差があるが、おおよそ24ミリ×16ミリ。面積でいえば、フルサイズの9分の4になる。ソニー・ニコン・キヤノンなどの普及機、フジフイルムでは主力機に採用されている。

・フォーサーズ=18ミリ×13.5ミリで、面積ではフルサイズの4分の1。オリンパスとパナソニックが共同で開発した。

・1/2.7型=対角線で測って7ミリ弱の大きさ。面積でフルサイズの30分の1しかない。コンデジで最も一般的に採用されている。

ちなみに、スマホのイメージセンサーは1/2.7型よりもやや小さいものが普通でした。しかし、近年はこれよりも大きめのものを採用することも増えています。

ISO感度

ISOは「アイエスオー」、あるいは、「イソ」と読みます。ISO感度はもともとはフィルムの感光度(光に感じる能力)の指標でしたが、デジタルカメラにも転用されました。

ISO100、ISO200、ISO1600と表し、感光度はこの数値に比例します。たとえば、ISO1600はISO100の16分の1の光で同じ明るさに写ります。また、「高感度」とはこの数値が高いことをいいます。

かつてフィルムでは、ISO100かISO400が標準とされ、ISO1600で十分に高感度でした。デジカメに置き換わった今は、ISO25600を超えるものも珍しくなくなっています。

高感度のものほど、シャッタースピードや絞り値の選択の幅が広がり、その分、写真表現の幅も広がります。

ファインダー倍率

多少はカメラに詳しい人に、「デジタル一眼レフ・ミラーレスの高いものと、安いものはどこが違うか」と尋ねると、「耐久性が違う(壊れにくい)」あたりが代表的な回答でしょう。

それも間違いではありません。しかし、もうひとつ、けっこうしっかりとした違いがあります。ファインダー倍率です。

ファインダー倍率とは、「イメージセンサーに映る像の大きさと、ファインダーで見える像の大きさの比率」をいいます。もう少しシンプルにいえば、「ファインダーをのぞき込んだときに、中に見える画面の大きさ」です。もちろん、大きいほど、撮ろうとするものをしっかりと目で確認できます。

「50ミリレンズを装着して、ピントは無限遠」で計測します。しかし、これには問題があって、イメージセンサーの大きさが考慮されていません。また、実際に多くのカメラメーカーがその考慮していないままの数字で、スペックのひとつとして公表しています。フルサイズを基準として条件をそろえるには、APS-C機の場合で、数字を3分の2にしなければいけません。

そうやって、Nikonがホームページに現在掲載しているフルサイズ機・APS-C機の6台を比較しました。すると、フラッグシップ機のD6(デジタル一眼レフ、フルサイズ)で0.72倍、普及機のD7500(デジタル一眼レフ、APS-C)は換算前で0.94倍、換算後では0.63倍です。面積でいえば、約1.3倍の差があります。

また、すでに現行商品ではありませんが、D7500よりもさらに下位のD3500(デジタル一眼レフ、APS-C)では、換算前で0.85倍、換算して0.57倍でした。面積でいえば、D6とは1.6倍の差があります。液晶モニターでこの数値を当てはめると、19インチモニターと24インチモニターの差です。「ファインダーの見え方に違いがある」と、いい切っていいいのではないでしょうか。

高級機は、ファインダー倍率以外の点でも見やすく作られています。「やはり、高いカメラと安いカメラでは差がある」といったところです。

デジタル一眼レフとミラーレスでは、ミラーレスの方が高めです。中でも、ソニーのフラッグシップ機のα1(ミラーレス、フルサイズ)が群を抜いていて、0.9倍あります。

また、似たような言葉に「ファインダー視野率」があります。ファインダーで見える範囲とイメージセンサーが記録する範囲の差をいいます。100パーセントならばピッタリと同じです。かつては、記録する範囲のほうが広い(見えていないところまで写る)、95パーセント前後の製品も見られましたが、今では、よほどの下位機・入門機に限られています。

RAWデータ

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デジタルカメラで撮影した画像データを、カメラボディー内に装着した記録メディア(SDカードなど)に保存するのには、JPGデータがもっとも一般的です。

これを、「自分が撮影したままのデータ」と考えていたら、間違いです。カメラボディーで自動的に、コントラストを高め、輪郭線を強調し、光源の差によって色合いが変わるのも調整しています。それらの効果は、不足かもしれないし、やり過ぎかもしれません。なによりもカメラ任せで、自分の撮影意図とは一致しているとは限りません。

JPGデータからも補正や加工はできます。しかし、より大きな幅、よりきれいな仕上がりでやるのならば、JPGデータになる前の「RAWデータ」が必要です。今のデジタル一眼レフやミラーレスならば、設定ひとつで、保存するのをJPGデータに切り替えたり、両方一緒に記録したりできます。

このRAWデータを扱うには、「現像ソフト」と呼ばれる専用のソフトが必要になります。その代わりに、さまざまな調整をより大きな幅で、より自然な仕上がりにすることが可能です。

初心者には無縁と思えるかもしれません。しかし、中級者・上級者にはこのRAWデータが扱えることが不可欠です。先の目標として覚えておいたほうがいいでしょう。

デジカメの電子機器化で覚えることが一気に増えた

フィルムカメラがデジタルカメラに置き換わって、便利になったことはたくさんあります。

しかし、その多くは電子部品を利用したおかげです。私のような、フィルムカメラ時代から写真になじんでいた者にすれば、登場した順番に理解していく時間的余裕も多少はありました。しかし、今から始める人にすれば、一気に押し寄せてくる感じでしょう。消化不良になるのも無理はありません。

また、今回紹介したのは、あくまで、カメラの種類やスペックを理解する上で必要な知識だけです。これらをマスターしても、上手な写真が撮れるわけではありません。おそらくは、「スタートに当たって、自分はどんなカメラを選んだらいいか」のご参考になる程度でしょう。

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