ミラーレス(鏡がない)って何? メリット・デメリットは? 初心者が選んでいい? いまさら聞けない初歩的な写真の疑問

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レンズ交換式のデジタルカメラで、気にしないといけない区別のひとつに、「ミラーレス」と「デジタル一眼レフ」があります。

両者の使い勝手は大きく異なります。また、ボディーとレンズの間にアダプターを挟むことで、同じレンズが使えるものもありますが、あまり現実的ではありません。後から思い直して「ミラーレス」と「デジタル一眼レフ」の間での乗り換えると、かなりの大事になります。

同じメーカーの間でさえこれです。さらに他社製品に目移りしてしまうと、もっと面倒くさいことになるのは、いうまでもありません。最初に間違った選択をしないよう、十分に情報を収集して、自分に向いた方を選ぶようにしましょう。

鏡がない(ミラーレス)カメラとは

先にあったのは、デジタル一眼レフです。記録媒体がフィルムからイメージセンサーになったのと、背面に液晶がついたぐらいしか違いがなく、ほかはフィルムカメラとほぼ同じです。

一方、ミラーレスカメラの登場には、電子部品の進化が必要で、登場したのはようやく2008年になってからです。この最初のミラーレスカメラは、パナソニックのLUMIX DMC-Gでしたが、基本的な仕組みは現行製品と大差はありません。

・デジタル一眼レフの構造

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マウント(レンズとの接合部分)の奥に四角く見えているのがレフ用のミラー。斜め45度上方を向いていて、レンズを通り抜けた光はここで、カメラボディー上部に送られる。上の屋根型部分にペンタプリズムが組み込まれており、ここを「ペンタ部」と呼ぶ。
レフとは、「レフレックス(reflex)」の略で、「光の反射」を意味します。映画のロケなどで使われる、光を反射せるための板を「レフ板」といいますが、同じ意味です。

デジタル一眼レフでの常の状態では、イメージセンサーの前に、斜め45度になったミラー(鏡)があります。これで「レフ」をさせるわけです。また、ボディー上部に、鏡の組み合わせである、「ペンタプリズム」があります。

このレフとペンタプリズムで何度か反射させ、レンズを通して入ってきた像を、ファインダーの中に映し出します。つまりは、「少し複雑にした合わせ鏡を使って、レンズの向こうの光景を見ている」と考えればいいでしょう。

この鏡だけの仕組みのファインダーを「光学式ファインダー(OVF)」といいます。

シャッターボタンを押すと、ミラーは上に跳ね上がって、イメージセンサーの前を開けます。その後で、シャッター幕が開かれ、レンズを通ってきた光がイメージセンサーに当たり、それが記録されることで写真が撮れる仕組みです。

・ミラーレスカメラの構造

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緑色の部分がイメージセンサー。ミラーレスカメラでは、シャッター幕では覆われず、むき出しになっているのが通常の状態。レンズを通った光は、ここで受け止められ、いったん電気信号に置き換えられる。ファインダーや背面のモニターで見えている像は、その電気信号を再生したもの。
ミラーレスカメラには、レフもペンタプリズムもありません。

シャッター幕も開けられたままが基本的な状態です。そのため、イメージセンサーには、常にレンズを通ってきた光が当たっています。また、その光は、スイッチが入っている限り、ずっと電気信号に置き換えられ続けていいます。ファインダーの中や背面のモニターに映っている映像はその電気信号を再生したものです。

距離はごく近く、電波を使うわけでもはありませんが、「生中継」を見ているのと同じイメージで考えればいいでしょう。こちらのファインダーは、「電子ビューファインダー(EVF)」といいます。

シャッターボタンを押すと、開ける役のシャッター幕(先幕)と閉じる役の幕(後幕)が動いて、指定した時間(シャッタースピードの長さ)だけイメージセンサーに光が当たり、画像データが保存されます。

ミラーレスカメラのメリット・デメリット

ミラーレスとでデジタル一眼レフの違いは、単純にいえば「ファンダーの仕組みにミラーを使っているか・使っていないか」です。しかし、より大きくデジタル技術を使っているのはミラーレスです。そのため、今の時代なりの使い勝手ではミラーレスに軍配が上がります。

・ミラーレスのメリット

(1)レフとペンタプリズムがない分、構造を簡単・コンパクト・軽量にできる。

(2)同じ理由で、コストも下げることができる。

(3)デジタル一眼レフのミラーが跳ね上がるときも、戻るときも振動が発生する。これは手ぶれにつながる。しかし、ミラーレスはこの「ミラーショック」とは縁がない。

(4)「ファインダーの中や背面のモニターに映っている映像は、いったんイメージセンサーで電気信号に置き換え」ているために、さまざまなデジタル技術を容易に搭載することができる。

イメージがわきにくいのは、(4)でしょうか。デジタル技術の具体的な例を挙げると、「顔認識」と「瞳AF(瞳オートフォーカス)」があります。

カメラが人間の顔を識別して、ピントをそこに合わせる「顔認識」はいち早くミラーレスで普及し、デジタル一眼レフでは遅れ気味です。これが厳密になって、顔の中の目に自動的にピントを合わせる「瞳AF」はミラーレスは小売価格5、6万円の製品でも搭載しています。

一方、デジタル一眼レフでは、Nikonの最高機種で、2020年6月発売のD6で初めて搭載されました。今のところ、他社も含めてこれに続く製品もありません。やはり、光学式ファインダーとの組み合わせに技術的に高いハードルがあるようです。

また、「デジタル一眼レフのファインダーで見える像は、レンズの開放値でのもの。ミラーレスは実際に写真に写るときの露出」の違いも、ミラーレス側の大きなメリットです。

仕組みの説明は省きます。「デジタル一眼レフのファインダーを通して見える像は、シャッタースピードやレンズの絞り値とは連動していない。内蔵露出計で合わせることはできるが、実際のところは写してみないと、露出オーバー・露出アンダーがわからない。一方、ミラーレスのファインダーや背面のモニターに見える像の明るい・暗いは、そのまま画像データとして記録される」と覚えておけばいいでしょう。

・ミラーレスのデメリット

ミラーレスのデメリットは、あっても次の3つぐらいでしょう。

(1)電子ビューファインダーは電力消費が大きい。その上、コンパクトさもセールスポイントなのでバッテリーも小さい目のものが採用されている。これらのため、電池切れが早い。

(2)デジタル一眼レフに比べて歴史がないので、まだ十分にレンズのラインナップがそろっていない。

(3)ファインダーや背面のモニターで見る像は、いったん電子データに変えて、それを再生したもの。その分、タイムラグができる。スポーツ写真など動きのあるものには向かない。

ただ、(2)については、すでにかなり解消しています。それどころか、ニコン・キヤノンとも、軸足がどんどんミラーレスに傾いています。いずれ、「デジタル一眼レフ用のレンズラインアップは縮小し、ミラーレスのラインアップのほうが充実している」となる可能性もありそうな気がします。また、ソニーやフジフイルムはミラーレスしか作っていません。

(4)についても、電子ビューファインダーは日進月歩です。タイムラグもかなり縮小されました。たとえば、「東京2020オリンピック」の競技取材では、まだ一部とはいえ、ソニーのミラーレスを使うプロカメラマンもいたといいます。

スポーツ写真では長らく、キヤノンとニコンだけで独占しており、ほかのメーカーが入り込む余地はありませんでした。

激しい動きを撮るために、10分の1秒単位どころか、もう1ケタ下の単位のタイムラグも、シャッターチャンスに影響を与えます。「世界で最も大きく、注目も浴びるスポーツイベントでも使えるぐらい、ミラーレスも進歩した」とみていいかもしれません。

ずばり、初心者が選ぶべきはミラーレス!

結論をいえば、初心者向けはミラーレスです。理由は先に挙げたとおりで、コンパクト・軽量・安い・使い勝手がいいです。デジタル一眼レフに負けているのは、「ファインダーなどで見える画像がリアルタイムではない。少し遅れる」しかありません。それも、初心者にしたら、差にはまったく気が付かないでしょう。

ちなみに、画質のよし悪しはレンズとイメージセンサーで決まります。「デジタル一眼かミラーレスか」では左右しません。
実は、私自身、3、4年前に、ニコンのデジタル一眼レフから、フジフイルムのミラーレスに乗り換えました。「そろそろいい年代になってきて、この先の体力も気にせざるをえない。軽くて、バッグも小さくできるミラーレスの方がいい」と「視力も問題だ。瞳AFを使いたい」が大きな理由になっています。

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