「それだと、カメラを落っことしますよ」 写真を撮るよりも前に知っておきたいこと

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ほかの人がカメラを使っているのを見かけると、かなりの確率でドキッとします。「ストラップが体のどこにもかかっていない!」。手から滑り落ちると、一巻の終わりです。

まともな指導者が付いて写真を始めたのならば、「どこか体の一部にストラップを掛けるのを習慣にしろ」と口うるさくいわれます。少なくとも、私が指導者側ならばそうします。

今回は、カメラを手に入れたならば、ほとんど写真を撮り始める前からやらなければいけないことをご紹介します。すでにカメラを使っていても、もし、まだやっていないならば、今からでも実践しましょう。

ストラップを体に引っ掛ける習慣を

デジイチならば、ストラップをつけていない人はほとんどいないでしょう。そもそも、たいていは買ったときから付いてきます。しかし、活用しているでしょうか。

・手首に掛けるときは、一周ストラップを巻きつける

カメラは精密機器で、少し雑に扱うとすぐに壊れます。特に弱いのが衝撃に対してです。

私の経験でのもっとも極端な例では、リュックサックの一番上にミラー式のデジイチ(デジタル一眼レフ)を入れ、しり餅をついただけで、中のミラーが動かなくなりました。地面に当たったのは、私のおしりだけで、それも苦笑いで済む程度です。

手元から地面にでも落とそうものならば、外観も中身もほぼ確実にダメになります。

ストラップがあっても、片方の肩に引っ掛けるだけでは、そこからヒジまで滑り落ちることが珍しくありません。たまたま、わきにテーブルでもあれば、ガツンとやってしまう可能性があります。肩からの斜め掛けか、首から下げるのが最も安心できます。

置いてあったのを急に手にとって撮り始める際は、斜めがけしたり首から下げたりするのは面倒に感じるかもしれません。また、片方の肩に掛けるのが楽なのも確かなので、歩いているときなどは肩に掛け、撮るときになって肩から外す人もいるでしょう。

これらの場合は、ストラップに手首を通します。といっても、単に引っ掛けるのではなく、ぐるりと1回巻き付けます。これで、手首から抜け落ちる危険性は格段に低くなります。

・ストラップの取り付け方にも注意

ニコン巻き copy.jpg
上がストラップの普通の付け方。下が、ニコン巻き。普通の付け方では、アジャスターに対し、ストラップの先端を最後に左から右に通す。一方、ニコン巻きでは右から中に戻すようにして左に通す。長さの調整がすぐにできない半面、抜けにくい。
ストラップはあるだけで全く違うので、長さにだけ気をつけて選べばいいでしょう。短すぎて首などに掛けると使いづらいもの、長すぎて調整しても適切な長さにならないものがあります。

あえてこれに付け足すとすれば、ベルトの部分の柔らかいものがおすすめです。手首に巻いたときに、しっかりと絡みつきます。

ちなみに、ニコンがプロカメランに無償で提供しているストラップがありますが、どんな市販品よりも柔らかい布が使われています。やはり、実用から考えると、この選択肢になるのでしょう。

また、カメラボディーへの取り付け方にも要注意です。頼り切っているだけに、抜けでもしたらそのまま大被害です。おすすめは「ニコン巻き」です。抜け落ちにくいだけではなく、見た目もすっきりします。

室内に置いたままでは、レンズにカビが生える

防湿庫 copy.jpg
レンズにはカビが生えます。もし、保管になんら配慮をしていなければ数年もたてば確実に生えるでしょう。特に生えやすいのは、一番外のレンズ玉です。ガラスの上に貼り付くように生えるだけではありません。まず、コーティングがダメージを受け、やがて、ガラスまで侵食します。

カメラボディーは精密機器であるだけではなく、電子部品の塊で、湿気も大敵です。

対策には、防湿庫を使うのが確実です。20リットル程度の小さめのものならば、1万円しませんし、電気代も月100円程度とされています。写真を始めたばかりの人ならば、このサイズで十分でしょう。

防湿庫が大げさすぎると感じる人には、密閉できる容器に、乾燥剤を入れて保管場所にする手もあります。容器・乾燥剤とも写真用品としても販売されていますが、ホームセンターや100円ショップで手に入るものでも大丈夫です。湿度計も忘れないようにしましょう。40パーセント前後を保っているのを確認する必要があります。

ただ、密閉容器&乾燥剤での防湿は安定性に欠ける上、面倒です。やはり、カビを生やす前に、早く防湿庫を使い始めるのがおおすすめです。

小物類も利用する

レンズフィルターはお使いでしょうか。かつては、紫外線を吸収させて、青いはずの空が真っ白に写るのを防ぐ機能を持ったものが、レンズの保護を兼ねて常用されていました。今は、レンズが改良され、紫外線対策はほぼ不要になリました。ただ、レンズの保護の役割は残っています。

レンズそのものが傷になってしまうと大ショックです。修理代もばかになりません。むき出しのままでは、レンズを拭(ふ)くのも恐る恐るになってしまうのではないでしょうか。保護用のフィルターを使いましょう。万が一、傷になっても、フィルターならば気軽に買い替え・交換できます。

レンズフードは本来は、逆光で写真のコントラストが下がるのを防ぐためのものです。それだけではなく、レンズが壁などにぶつかりかけた際、クッションの役割を果たしてもくれます。

私の場合、底の部分だけのカメラケースも使っています。カメラボディーがもっとも傷になりやすいのが、底なのです。傷を防いでくれるだけではなく、中古カメラを買ったときはボロ隠しにもなります。

スペックは十分、これからも長く使える今のカメラ

撮影中やアングルを検討しているときは、周囲への注意が散漫になるのは、当然といえば当然です。ファインダーの中か、カメラボディー背面のモニターに集中しているのですから。周囲の物や人にぶつかったり、つまずいたりすることもありえます。ストラップも引っ掛けずに、カメラを持っていると、ぶつかった衝撃などで手から落としてしまいます。

今までなかったとしたら、ただの幸運です。やはり、体のどこかにストラップを引っ掛けるのは、習慣にしておきましょう。

また、「防湿庫を買って、大事にしても、カメラボディーやレンズはどのくらい使い続けるものか」と気になる人もいるかもしれません。次々に新製品が出ます。しかし、おそらくは、特に高級品ではなくても、ほとんどの人にとって今でもオーバースペック気味です。

「新しいカメラボディーとレンズでなければ、いい写真は撮れない」は、ほとんどありません。また、耐久性が問題になるほど使い込んでいる人も極々少数でしょう。よほど革新的な新技術が登場しない限り、長く使おうと思えば使えます。

そもそも、傷だらけになったり、カビが生えたりした道具を使っても、気分よく作業できないのは、カメラに限ったことではないでしょう。


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