『ひろがるスカイ!プリキュア』分析【登場人物の役割】

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おはようございます。
鳳堂 志幻と申します。

今回は『ひろがるスカイ!プリキュア』を登場人物の役割という観点から解説していこうと思います。
過去の記事と同様に第一話のみの情報を使うので、矛盾や解釈の違いなどが発生する可能性がありますが、ご了承頂ければと思います。

また、私はプリキュアシリーズを観ていないので、お約束やテンプレの設定などは一切知りません。ですが、初めて観る視聴者も多いと思うので、私も同じ立場として物語を楽しませていただきました。

正直動画作るのに三日も費やしたので、このブログでは簡単に説明しますね。


1.今回のプリキュアは「空」×「ヒーロー」がテーマ

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「ひろがるスカイ!プリキュア」第一話 (c)ABC-A・東映アニメーション
プリキュアの動画を作るにあたって、簡単に調べてみました。一話以降の物語の展開などは知らないのですが、今回のテーマが「空」×「ヒーロー」であるという記事は確認しました。

今回は「ヒーロー」がテーマということは、これまでにヒーローをテーマにした作品はなかったと判断できます。
他にも「空」がテーマというのは舞台が空にあることからもわかりますね。厳密にいえば「空」というのはテーマというよりも題材、つまりモチーフになります。

テーマが「何を表現するのか?」なのに対して、
モチーフは「何で表現するか?」になるのです。

テーマは抽象的で、モチーフは具体的です。

今回のプリキュアでは「ヒーローはカッコ良い! 勇気は大事だ」というテーマを、空を使って表現するということになりますね。
主に心情描写などを空の描写でするのかな? と考えています。


2.主人公の「ソラ・ハレワタール」は既にポジティブな状態

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物語は主人公の成長によって、メッセージや感動を作り出します。なので、主人公は成長前の状態、つまりネガティブな状態からスタートすることが多いのです。
もちろん、主人公が変化しないパターン(常にネガティブ)もありますが、それはそれで効果的な狙いがあるのです。

今回の主人公の「ソラ・ハレワタール」は最初から勇敢で悪に立ち向かう正義の心を持っています。
つまり、精神的に成熟しているため伸び代が少ないと考えられます。この様に、「マインドファースト パワーセカンド」の主人公は意外と多くいます。

例えば、前に紹介した「僕のヒーローアカデミア」の緑谷出久(デク)も、第一話から正義の心を持っています。ただ、デクの場合は能力が弱く実力が伴っていないのにヒーローに憧れていたので、少し状況が違います。デクは「身の程知らず」のチキンでした。
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ソラはプリキュアに変身する前から実際に悪に立ち向かい、互角に戦っていたので「身の程知らず」ではありません。
ただ、能力がまだ高くなかったのでヒーローの「英霊」に該当します。

「英霊」は自分の命を犠牲にして、敵を倒す』です。
ソラは命を犠牲にしているわけではありませんが、プリキュアに変身できなければ、敵に倒されて、死んでいた可能性は高いでね。
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3.登場人物の役割 ドラえもんは主人公?

登場人物の役割10.png

動画では10種類の登場人物の役割を説明しました。
1.主人公
2.狂言廻し
3.協力者
4.敵対者
5.犠牲者
6.依頼者
7.援助者
8.対抗者
9.判定者
10.庇護対象
ここでは詳しく説明しないので、動画を確認してください。

『ドラえもん』の主人公はドラえもんでしょうか? のび太でしょうか?
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人によって主人公を判断する基準が違うので、誰もが納得できる答えはありません。しかし、精神的に成長するのが主人公であるという定義で考えれば、のび太が主人公となります。

「ドラえもん」では、のび太が問題を抱えて、ドラえもんが解決してくれます。数々の秘密道具は「ドラえもん」という作品の大きな売りであり、受け手はそれに期待して作品を楽しんでいるのです。

のび太→主人公
ドラえもん→狂言廻し

テーマを担当する主人公がのび太で、作品の娯楽性を担当するのがドラえもんといえば、わかりやすいでしょうか?

「ONE PIECE」の主人公、モンキー・D・ルフィも狂言廻しですね。第一話のみ少年時代の「主人公」でしたが。

ルフィは多くの仲間と出会い、彼らの内面的な問題を解決していきます。
ゾロ編・ウソップ編・サンジ編・ナミ編・チョッパー編と、各エピソードは彼らが主人公を担当し、ルフィが狂言廻しを演じます。

主人公が必要な理由は、感情移入して物語を楽しむためです。
キャラが内面の問題を抱えているからこそ、私たちが共感し応援する隙が生まれるのです。

よく物語創作において、主人公を「共感型」や「憧れ型」にするべきだという意見がありますよね。

共感型は、主人公の心情を描写して読者に同じ気持ちになって貰うことで、問題の大きさを共有し、解決することを望んで貰うという狙いがあります。

憧れ型は、主人公の魅力を伝えることで、応援して貰い、好きになって貰うという狙いがあります。
主に少年漫画やアクション映画に出てくる強い主人公が憧れ型になります。

経験の少ないプリキュアのターゲット層の児童の場合は、共感型から動機を作るよりも、憧れ型によって応援させる方が効果的かも知れません。
なのでソラは葛藤せずに、正義感を持ち、勇敢に立ち向かう存在として表現されたのでしょう。

あと、物語を見る時に注目すべきポイントの一つが、当事者は誰か? という観点です。
そう考えると、今回のプリキュアで一番困っているのは誰でしょうか?
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そうです。
異世界スカイランドの王女「プリンセス・エル」ですね。
悪党のカバトンに攫われて、親元から引き離されて、結果的に地上に落ちてしまいます。

エルは不思議な力を持っています。
正義の心を持つ人間をプリキュアに変える力です。他にも、空から落ちた際に超能力で浮かぶなどの魔法も使えます。しかしそれを除けば、か弱い赤ちゃんです。
物語で一番困っているのはこのエルです。天上のスカイランドに戻りたいはずです。

さて、この物語の構造が見えてきました。

ソラ・ハレワタールは「アンパンマン」ですね。
正義の心持っており、困っている子供を助けて、悪を倒す。
正義の心がソラ、困っている子供がエル、悪を倒すのがプリキュアです。

動画ではプリンセス・エルは庇護対象であり、援助者でもあると説明しましたが、一番の問題を抱えているという点では主人公という解釈もあるんですね。

そしてプリンセス・エルはプリキュアを視聴している幼女(もしくは、おっさん)でもあるんです。

「ぷいきゅあーがんばえー」

そう言ってヒーローを応援する。
勧善懲悪の物語なので、純粋に悪を倒すことを楽しめる作品です。

カバトンと戦っている最中に、何度も負けそうになるソラを応援する気持ちは、まるでヒーローショーでヒーローを応援している子供の気持ちと同じ様なものです。


4.今後のプリキュアの展開は?

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今後の展開はどうなるのでしょうか?
確実なのは、虹ヶ丘ましろが第二のプリキュアになることでしょう。
オープニングで既に4人のプリキュアがいるので、その中の一人だと思われます。

ソラが狂言廻しなので、ましろが主人公として描かれる確率も高いです。主人公ということで、内面の問題を抱えており、成長することで少し前向きになれる、といった展開があるはずです。

あとは、ソラの動機の説明があるかもしれません。
過去の経験か未来への憧れか、あるいはその両方か。

ちなみに誰かに憧れるという設定の場合は、憧れの人が闇墜ちする、もしくはしていたという展開とセットのことが多いです。
プリキュアは児童向けアニメなので、そんな暗い展開にはしないかも知れないですが……。

今後も不思議な力を持つプリンセス・エルを敵が狙ってくるという物語になると思います。

注目すべきポイントは、以下の三点。

1.ソラは自分の理想とするヒーローになれるのか?
2.ソラとエルは異世界スカイランドに戻れるのか?
3.敵がエルの不思議な力を狙う理由は何か?

気が向いたら二話以降も観てみようかな?


5.ニコニコのコメント返しコーナー

「天才系の主人公とかそうよね 探偵とか」

コメントありがとう!
ソラが狂言廻しだろうか? という場面で頂きました。

天才系の物語は、能力は高いが性質は低いという状態が多いです。つまり、「パワーファースト マインドセカンド」です。外的問題を解決する能力に秀でている一方で、人間性などの性質には問題あり、というパターンです。
意外と思うかも知れませんが、天才系は主人公に向いています。主に、社会性が欠如した状態から、成長して周囲に評価されるという物語が多いですね。

あと、探偵モノの主人公は既に能力が高いことが多いです。何故なら、探偵モノというジャンルは謎解きを一番の魅力にしているからです。
もし、探偵役の能力が欠如していると、受け手は正解がわかっているのに、肝心の探偵がわかっていないという問題が生じるからです。
よって、探偵は成長しない狂言廻しであることが多いわけですね。
「シャーロック・ホームズ」が狂言廻しで、「ジョン・H・ワトスン 」が主人公だといえます。
天才の探偵に足りないのは「能力」でも「性質」でもなく、「情報」ですね。この情報を求めて試行錯誤するのが、探偵モノの面白さです。

ちなみに主人公も、必ずしも成長するわけではないので、私は「視点キャラ」と呼んでいます。視点キャラだと「物語を誰の立場で見ているか?」 という基準になるので、分類が楽になります。
ちなみに小説と異なり、漫画・アニメ・映画などは、場面場面で視点キャラが変わることがあります。
その場合は、物語全体を通して最も視点が強かったキャラを主人公だと判断しています。

視点の強さを判断する方法
1.どのキャラの立場で物語を見ているか、その時間が長さ(量)
2.物語の問題に最も影響を受けているキャラの立場、その重さ(質)

例、
今回のプリキュアでは大半がソラ・ハレワタールの立場で物語を見ていたので視点キャラといえます(1)。しかし、地上に降りてからの戦いでは、直接的な心情描写を省きましたね。これは、よりソラの感情を能動的に視聴者に受け取って貰いたいという狙いがあるからです。

物語上の大きな問題に苦しんでいるのはプリンセス・エルですね(2)。こちらも泣いている以上の情報はありませんが。

但し、ソラは内的な葛藤をしないため主人公らしくなく、エルは常に受け身なため主人公らしくありません。
なので、今作は感情移入しにくい登場人物ということになります。

こういった構造は勧善懲悪物に多く、悪役を倒して欲しいという感情を受け手に作り出し、それを主人公が叶えるという仕組みです。

つまり、キャラクターの誰かに強く感情移入して、問題点を共有するのではなく、視聴者が感じた「悪役を倒して欲しい」という感情を利用した構造ということになります。

ちなみにもっと「悪役を倒して欲しい」という感情を強めるには、犠牲者を出すか、主人公の内的な葛藤をもっと強く描写する必要があります。


○bgmがやかましい

コメントありがとう!
確かにうるさいですね。。。
教えてくれて助かりました。

次から気を付けます!


■おわりに

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今回は「ひろがるスカイ!プリキュア」と「登場人物の役割」について解説してみました。

やはり、動画だと伝えられる情報に制限があるのでブログの記事の方が簡単ですね。ですが、受け手からすれば動画の方が楽に理解できると思うので、今後もしばらくは動画に力を入れようと考えています。

アニメの記事を書いていて思うのですが、アウトプットを前提としたインプットは吸収率が10倍以上ですね。
やはり、人に教えることが一番学習になると改めて体感しました。


以上で、今回の記事はおわりです。
何か気になることがあれば気軽にメッセージをください。


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