~②からのつづき~
この先、どの方向に進んでいいのかすら見えなくなってしまいました。
早く元の身体に戻って仕事に行かないと…。
わたしの体に一体何が起こっているのだろうか?
その理由を知りたい、理由が分かれば治せるかもしれない。
ぐるぐると頭の中で考えが巡っていました。
焦りと不安の色をまとった重たい思考は脳内を占拠して、一秒もその考えから気をそらす事もできません。
どっぷりと居座ってしまった焦りと不安の感情に相反するように、身体に起こった異変は日を追うごとに強さを増し、また新たな不調が現れてきます。
数週間前の身体に戻りたいと願うわたしをまるで嘲笑うように、進攻の手を緩めない正体不明の異変。
それは恐怖心を抱かせ、もう一歩も進むことができない…。
真っ暗闇で何も見えない。
深い絶望と不安の中にいました。
「ほかに行ってください。」
とあっさり、放り出した呼吸器外科のお医者さん。
せめて、○○科に相談しては?
くらいのヒントでもくれれば違ったのかもしれません。
その時に思い出したのが、呼吸器外科で引っ掛かったあの珍しい血液検査項目のこと。
直後にわたしの現状を知った知人との電話で一筋の光となる情報を得ます。
「膠原病かもしれないの?○○駅近くの医院で膠原病の本を書いたお医者さんが診察してるよ。」
ご高齢のために週に数回しか外来診療をしていない先生でしたが、調べてみるととても評判の良い先生のようでした。
この先生に診てもらおう。
やっと方向が見えた安心感。
繁華街のビルの一角にあるその医院。
そこを訪ねるためには、駐車スペースの確保が必須でありました。
結局は車を使うことができず交通機関を利用することになったのです。
座ったら立てない、立っても一人で歩けないわたしを夫が抱えてのタクシー・電車移動はとても大変そうでした。
でもその時は、大変さよりもその先の希望を信じた夫婦二人での新たな出発だったのです。
~④へつづく~