迷子になった娘への指導

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コラム
30数年前、家内が次女を妊娠していた頃。家内と3歳になる直前の長女を連れてTDLに遊びに行きました。

お昼頃になり、ピザでも食べようかと夫婦してメニューに気を取られた一瞬のすきに、長女がパーッと走り出し、人混みの中に消えてしまったのです。
慌てた私たちはすぐにあとを追いましたが、どこにも姿が見えません。

迷子センターにて

私たちはスタッフの案内で迷子センターに向かいました。うちの娘はいるかなと窓から中をのぞくと……いた!

なんと、大好きなプーさんのビデオを見ながら、ゲラゲラ笑っているではありませんか!

私はカーッと頭に血が上りました。そして、連れてこられた娘に向かって、

「黙っていなくなったらダメじゃないか!」

……なんて怒鳴りつけませんでした。

いや、頭に血が上ったのは本当なんです。が、娘はなかなかビデオの前を離れようとしません。その間に私は冷静になることができました。

実際の対応

私は娘に言いました。「娘ちゃん、楽しかったね~」

実際、娘は至福の時を過ごしていました。娘が走り出したのは、ミッキーマウスを発見したからでした。そして、なんとミッキーに連れられて、迷子センターまでやってきたんだそうです!

それから、真顔になってこう続けました。

「でも、娘ちゃんが黙っていなくなったから、お父さんもお母さんも、死ぬほど心配したんだよ。

娘ちゃんがケガしちゃうんじゃないかとか、もう会えなくなっちゃうんじゃないかと思って、悲しかったんだよ。

ここで、数秒間黙って娘の目を見つめて、私の心配や不安を娘にも味わってもらう時間を取りました。そして、

「だから、もう黙って一人でいなくなったりしたら、いやだよ」

それから、

「大好きな娘ちゃんとまた会えてうれしい!」と、ぎゅーっと抱きしめてやりました。

3歳前の子どもにどれだけ伝わったか分かりませんが、その後30数年、現在に至るまで迷子になったことがありませんから、きっと分かってくれたんだろうなと思います。

叱るときのポイント

相手が子どもでも大人でも、叱るときには次のポイントを抑えると良いようです。

(1) 相手の言動によって自分が頭にきているときには、いったん落ち着く。
そのまま怒りを口にしても、相手にはこちらが何を言いたいのか理解できないことが多いです。そもそも怒りは処罰感情なので、相手は防御してしまい、よけいに言いたいことが伝わらなくなります。

(2) 3つの点を自分の中で整理し、言語化する。まずは、
①相手のどんな「行動」が問題だと思ったか。
やる気が無いとか、いい加減だとかいう態度ではなく、行動を問題にします。やる気が無いと感じたのは、相手のどんな具体的な言動を見聞きしたから?

②どうしてそれが問題なのか。
それを続けていると、将来こうなるんじゃないかと思って心配だとか、こちらにこんな損害が出たとか。すでに起こってしまった悪影響、あるいはこれから起こるであろう悪影響を言語化します。
特に、こちらがこの問題に関してどんな気持ちになったかを言語化するといいでしょう。「残念に思った」「期待していただけにがっかりした」「悲しくなった」など。できれば怒り以外の感情で表現するといいです。

④代わりにどうして欲しかったか、あるいは今後はどうして欲しいか
これも態度ではなく行動の形で言語化しましょう。

(3) それをできるだけストレートに相手に伝える。
上記①~③を端的に伝えます。
長々伝えても、かえって言いたいことが伝わりません。「指導の長さは教育的効果に反比例する」ことを肝に銘じましょう。指導は、こちらの鬱憤晴らしではありません。
伝える際は、まず①と②を伝え、相手の目を見つめてちょっと間を置きます。それによって、こちらの気持ちに共感したり、自分がやったことを振り返る時間を持ってもらうためです。

(4) 最後はお互い気持ちよく指導の時間を終える工夫をする
「期待しているよ」とか、「大好きだよ」とか、相手が子どもならぎゅっと抱きしめるとか。

私が長女を指導したときも、概ねこのポイントを押さえることができました。プーさんのおかげで、考えて整理する時間が持てたからですね。
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