以下は音声内容をテキストに要約したものです。
今回は、「アドラーって手厳しいよね」というテーマで話を進めていきます。
教育に携わる方や組織のリーダー的ポジションにいる方々向けの話です。
完全に私の経験に基づく話になりますが、私が学習塾に勤務していた時、第一志望の高いレベルの大学に見事合格した生徒がいました。
その生徒とお母さんが、合格のお礼を言いに来校されました。
「先生のおかげで合格できました。ありがとうございます」という感謝の言葉をいただき、ものすごく嬉しかったです。
しかし、実際には生徒自身の努力と親御さんのサポートがあってのことで、私のおかげではありません。
それでも、「先生のおかげで」と言われるのは嬉しいものです。
そんな中、久しぶりにアドラーの思想が詰まった「幸せになる勇気」という本を読みました。
「嫌われる勇気」と共にベストセラーになった本ですね。
その中に、「教育する立場にある人間は、常に自立という目標を掲げなければならない。
"先生のおかげで合格できました"と言わせる教育者は、本当の意味で教育に失敗している」と書かれていました。
これを読んで、「自分、アドラーから見たら教育に失敗してるんだな」と感じました。
感謝されることを望むのはダメなんだと、アドラーは教えています。
しかし、誰だって感謝されたいと思いますよね。
私も「先生のおかげで」と言われたい。でも、アドラーからすると、それは教育者として不適切なのです。
アドラーによれば、教育者は孤独で、褒められたり、労われたり、感謝されたりすることなく、孤独に耐えるべき存在です。
教育者の幸せは、生徒の自立に貢献できたという自己満足にあると言います。
直接のお礼を期待するのではなく、心の中で「自立に貢献できた」と思うことこそが幸せへの鍵なのです。
これは教育者に限らず、組織のリーダーにも当てはまります。
部下が昇進したり、良い転職が決まったりした時、「あなたのおかげです」と言われるのは嬉しいですが、アドラーからすると、それは避けるべきとのこと。
私たちは、貢献感で自己を満たし、そこから幸せを感じることを学ばなければならないということですね。
厳しい話ですが、人は感謝されたいと自然に思います。
しかし、アドラーからすると、それは間違っているので、孤独に打ち勝ち、自分の貢献感のみで満足することが必要だと感じました。
この話が、教育や組織運営に携わる皆さんの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。それでは、良い一日をお過ごしください。