魅力的な登場人物にはこの3つが必要である

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小説
 映画だけでなく物語において登場人物はとても重要な存在です。登場人物が魅力的であれば、仮に物語自体が平凡なものでも観客は楽しんでくれます。しかし、登場人物がクソつまらない場合、物語が面白くなることはありません。つまり、登場人物をしっかりと作り込めば物語は自然と面白くなるものです。ということで今回は、魅力的な登場人物の作り方について解説していきます。
 結論から申し上げます。魅力的な登場人物に必要なモノは以下の3つです。
①登場人物が正しいと信じる:「正義」
 これを読んでいるあなたにも正しいと信じる「正義」があるのではないでしょうか。「人を殺してはいけない」「仕事より家族」など、「何が正しい」と考えるかはその人間について色々なことを教えてくれます。そして、その「正義」から登場人物が目的達成に向けてどのような手段を取るのかが見えてきます。
 例えば、マトリックス。ネオは「真実」を探しており、真実こそが大事であるという正義も持っています。だから、「白いうさぎを追え」という言葉を信じ、クラブへと行きます。そして、モーフィアスに出会います。仮にネオの正義が「真実を信じない」だった場合、サイファーのように見てくれだけキレイなマトリックスにずっと滞在していたでしょう。
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 登場人物(主人公)が正しいと信じる「正義」は物語の命です。その正義が登場人物を突き動かし、物語に意味を持たせ、観客が引き込まれる物語へと育っていきます。
 みなさんが好きな登場人物にもあてはめてみましょう。私はナイトクローラーのルーという人物が好きです。彼の正義は「自分の成功のためなら他人を蹴落としても構わない」というものです。そして、彼の目的は自分の会社を興すことです。結果、彼はその目的達成のために同僚や部下を殺し、犯罪行為にまで及びます。
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②登場人物が欲しているモノ:「目的」
 2つめに登場人物に必要なものは「目的」です。「目的」は文字通りその人物が物語上、何を欲しているのかです。これもマトリックスのネオを例に考えてみましょう。ネオの「真実を信じる」という正義から「真実を探す」という目的が生まれます。ネオは自分が本当に救世主なのかを迷いながらもマトリックスに説明やトレーニング・エージェントスミスとの闘いを経験します。これらはすべて「真実を探す」というネオの目的が明確だからこそ観客を映画に惹きつけることができます。この「目的」達成を阻む存在も忘れずに物語に設定しましょう。いわゆる「悪役」です。
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③登場人物が物語を通じて気づくこと:「欠落」
 登場人物の「正義」「目的」が大切なのは分かりました。しかし、その人物はなぜ「目的」達成のために動くのでしょうか。その「目的」の達成は主人公にとってどんな意味を持つのでしょうか。
 前章で物語は主人公が何かを欲し、取る行動から生まれると言いました。しかし、物語の意味とは彼もしくは彼女がその旅で何に気づくか、何を得るかで決まります。この「欠落」こそ登場人物が物語を通じて「気づくモノ」「得るモノ」です。
 この欠落は登場人物の「思い込み」から生まれます。マトリックスのネオは「自分が救世主ではない」と思い込んでいます。その思い込みによってネオの救世主としての力が発揮されません。それが最終的に「自分は救世主だ」と信じることによって救世主としての力を持ち、エージェントスミスを破壊します。
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 結果、マトリックスのテーマは「自分の力を信じる」ことという解釈ができます。それがテーマ(主人公の発見・成長)だとすると冒頭の主人公はその逆でなければなりません。
 例:テーマが「自分の力を信じる」の場合、冒頭の主人公は「自分の力を疑う」人間である必要があるということです。
 しかし、例外的にこの欠落が不要な登場人物もいます。例えば、ナイトクローラーのルーとかルパン三世ですね。彼らは冒頭からキャラクターとして出来上がっている状態です。そして、自分は成長・変化はしませんが、周囲の人間に影響を与えていきます。
○EX:複数の登場人物(正義)を登場させる
 ここまで一人の登場人物を作ることにフォーカスをして話をしてきました。ここからさらに登場人物(正義)を増やすことで「ただ面白い物語」から「意味のある物語」に変えていきましょう。マトリックスを見て見ましょう。
〇ネオ
・救世主を信じない
・人類を救いたい
〇トリニティ(モーフィアス)
・救世主を信じる
・人類を救いたい
〇サイファー
・救世主を信じない
・人類を救うことに興味がない
〇エージェント:スミス
・救世主を信じる
・人類を救うことに興味がない(破滅させたい)
 図にするとこんな感じです
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 このように登場人物(正義)の対比が生まれれば物語は異なる価値観のディベートへと変化します。この4つの異なる視点を持った登場人物の構成を4 corner opposition=四角関係と言います。これはバットマンビギンズがとても分かりやすい構成なのでまた勉強してみようと思います。
EX:登場人物に共感してもらう
 ここまで正義や目的、欠落など海外の脚本術に書かれている登場人物に必要なものを解説してきました。しかし、最終的にはその登場人物に共感をしてもらわなければ意味がありません。「共感できる登場人物」という言葉は多用されていますが、実際どういう意味なのでしょうか。単純に「カッコイイヤツ」「良い奴」と言える登場人物を作っても共感は生まれません。大事なのは観客からの「理解を得ること」と「自分にも当てはまる」という感覚を登場人物に持たせることです。
 例えば、ダークナイトのジョーカーは悪人です。しかし、彼の「善良なのは世の中がまともな時だけだ」という彼の正義は否定したくもなりますが、「確かに」と心のどこかで思ってしまう要素があります。
 こういった悲観的な正義も観客を共感させる強い武器です。共感とは観客から賛同を得ることではありません。観客からの理解を得ることなのです。あなたも登場人物を作る時はそんな人間の深い闇に切り込む視点を持った人物を作ることを考えてみましょう。

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