空だって飛べるよ 7話 カルト宗教③世の人

記事
ライフスタイル
世の人。

その宗教では未信者のことをそう呼んでいた。
世の人と遊んではいけません。
世の人と友達になってはいけません。
世の人と結婚してはいけません。
母の教えに忠実だった私はその言葉に従った。

小学校の時は中休みも昼休みも放課後もひたすら本を読んでいた。

みんなが友達とドッチボールをしてても
放課後公園で遊んだり、友達の家に行っててもそれに参加したことは無い。

家に帰ってもテレビもゲームもおもちゃも無い。

折り紙や塗り絵で母が遊んでくれる事も無い。

あるのは宗教の書籍と広辞苑だけ。

中休みも昼休みも放課後も私はひたすら本を読んでいた。

小学校の図書室から本を借り、毎日最低5冊は読んでいた。

下校時は二宮金次郎かのように本を読みながら帰っていた。
お陰で低学年図書室の本は全部読み尽くしたし、高学年図書室は辞書の類以外は読み干してしまった。

クラスの男子の一部が私の事をメガホンと呼んでた。
「目が本」という意味らしい。

物語の中に入り込むと別人の気持ちになれ、現実逃避できた。
特に好きだったのは赤毛のアン、足長おじさん、アンネの日記。
いつか私の所に誰か救いの手を差し伸べてくれないかな。
この家から連れ去ってくれないかな。
そう思ってた。
小公女セーラのように実は別に親がいましたってのを考えなかったのは
残念ながら実の親だという事は疑いようがなかったからである。

次へ→

(最初から読む)
空だって飛べるよ ~はじめに~
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す