空だって飛べるよ 6話 カルト宗教②祝い事禁止

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神を祝うこと以外、何も祝ってはならない。
お祝い事は一切禁止されていた。
誕生日、正月。ひな祭り、クリスマス、七五三、入学祝い、成人式。
幼き日の私から言わせると「お雛様?何それ美味しいの?」である

例えば校歌。
これは学校を祝う歌だと歌うことを禁じられていた。
そして「校歌斉唱、起立!」と言われたら、立たずに席に座っているように言われた。
立つ行為自体が祝う為の行動になるからだ。
みんなが起立して歌っている間一人席に座ってないといけなかった。
引っ込み思案な私は学生期間中ずっとそれに悩まされた。
細かい話だか最初から立っている場合には座る必要はなかった。
出来ることなら会の間ずっと立ったままが良いと思っていた。

同じ意味で誕生日も祝えなかった。
小学校2年生の時に産休で休みを取った先生の代わりに若い代理の先生が来た。毎月誕生会を開くと言われ、誕生会の時間が設けられた。
当日はみんなで半円を描いて座り、誕生月の生徒は前に出て
バースデーソングを歌ってもらい、折り紙で作ったメダルを首にかけてもらう。

私はいつものように勇気を揺り絞って宗教上の理由で出来ないと伝えた。
若い先生は「そんな事先生の口からみんなに言えない。自分で説明して」と言ってきた。

誕生会当日。結局私はみんなに言えず誕生日のクラスメイトと一緒に前に並ばされた。手作りのメダルが首にかけられる。私はすぐさまそっと首から外し片手に握りしめた。顔が紅潮し手に汗が噴き出す。
おめでたい時間だろうが私にとってあんな苦痛な時間はない。
みんなの行為を踏みにじらないといけないからだ。
誕生日の歌が歌われる間ずっと俯いて涙をこらえていた。
ぶっちゃけ親の指示なのだから連絡帳にでも書いて持たせてくれれば良いのだが、例え小学生でも自分の口で説明する事が義務付けられていた。

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空だって飛べるよ ~はじめに~

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