死亡。3

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「…くうき、なんでみんな外に居るの?」
「死因が特定できるまで現状維持の為に家の中に入れないそうで。」
「え~!?ちょっ、ちょっと、アンタ。何時間外で?大丈夫なの?」
「うん、警察の方が麦茶取って来てくれたから、喉は乾いてない。」
「お昼ごはんは?」
(首を横に振る)
「え~、じゃあなんか食べなきゃ。…ていうか、今更なんだけど、こちらの方々は?」
「テルミさんが死んだっていうんで駆けつけて来てくださった兄弟姉妹。」
「何処で寝るの?」
「車中泊で良いって言ったんだけど、兄弟がホテルを予約してくださったし、ホテル代も貸してくださったから大丈夫。」
「あっそう、あ!ていうか!(仲間の方に向き直る)いつもくうきがお世話になっております。姉のアキです。」
と、一番年配の兄弟が柔和にアキに挨拶して、皆でフレンドリーにお悔やみをくださるので、恐縮するアキ。ずっと直立のままでいる警官にも頭を下げる。
と、おおよそのあらましを警官の方が説明してくださるので、「アンタが心臓マッサージとか、らしくないけど、よくやったね~。」「そりゃ、人ひとりの命がかかってるんだから四の五の言ってられないよね。ていうか、車校で講習う受けるじゃん。」自分はできないかも…と、苦笑いする面々。「まあ、そうかもしれないけど…。」「ていうか、テルミさんの寝g…じゃなくて、死に顔見た時、吹き出さないでね。」「?」「すごい幸せそうに寝てるからさ。」「吹き出す程?」「うん、私はテルミさんが冷たいって気がつくまで気がつかなかったよ。」「へ~、怖いような楽しみなような。」「ていうか、葬式どうする?テルミさんの意向では何もしないでさよならの挨拶だけして火葬、で、お骨も取らない、っていう風なんだけど。」「おかんらしいね。」「ていうか、ミホちゃんは?」「ん~、今は新幹線の中みたいよ。」「あ~、栗きんとん生食パンが~。」「ナニソレ?」「ユキ姉妹と私の司会者の姉妹にあげようと思ってるんだけど、『現状維持』だからさ~。」「まだ死因不明なの?何時間かかってんの。」そろそろ解散かな…と、思ったところに警官のおひとりが、「ちょっと待った…。」と、私にふたつの手提げ袋を差し出して来るので、何ぞ?と思っていたら、現状維持なので内緒ですよ、という言葉とアイテムの形状ですぐ分かった。「栗きんとん生食パンだあ~!ええ~?いいんですかぁ?」「自分が到着した頃に栗きんとん生食パンの事でうちの刑事と揉めてましたから。形状とかを覚えていたので…内緒ですから。」「あ、ありがとうございます~(涙腺が弛みそうになる)」、そして栗きんとん生食パンは無事にユキ姉妹と司会者の姉妹の手に渡る。
これで一息ついたので、集まった方々は解散して自宅へ。私はアキの運転で兄弟が近所に予約を取ってくださったABホテルに向かう。

続く。



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