損得と善悪、どちらを大切にした方が良いですか?とうかがうと、
おそらく、善悪を優先した方が良い、という方が多いと思います。
自分の損得を優先してしまう人でも、
大ぴらにはそうは言えないみたいな風潮もあります。
しかし、心理療法の視点から言えば、
むしろ、損得の方を大切にして欲しいのです。
これは、悪い事をする事を積極的に勧めるという意味ではありません。
善悪で語られる事の危うさを踏まえて、
自分の軸をもって人生を選択していって欲しいという事です。
善悪と同調圧力は仲良しです。
個人的な人の良し悪しでも、政治レベルでも、
一方の方を持つ人の中にいて、反対の意見は言いにくいものです。
SNSで特定の立場に立つ人の周囲には、
同じ考えの人だけがよってきて発言します。
そんな時には、逆の意見を言う事に頑張る事が、
必ずしも良い事だとは思いません。
ただ、それは、みんなが正しいからだ、とは思わない方が良いのです。
自分には自分の考えがある。
それは譲れないけれど、今言った所で袋叩きにあうのが関の山。
今は、長いものにまかれたフリをしておこう。
これも立派な選択です。
しっかり、本当の気持ちを自覚した上で、
得な方を選ぶ。
得な選択をしたつもりが、
自分の良心が痛んで苦しい方が大きいなら、
それは損をしているのだから、
敵を作っても正しいと思う発言をするのも良いと思います。
正しい事は、時代によっても、立場によってもかわります。
経営者がリストラをする事は仲間を切るようで許せない
というのは正しい考えでしょう。
それでも、その事で、会社が持ちこたえて大勢の人が生き延びる事もある。
世の中には、善悪で言いきれない事は沢山あります。
そんな複雑な社会を生き延びる為に、
自分は自分の損得で物事を選択するのだと
腹を括ってみるのも悪くないような気がします。
病気の範疇に入るかどうかは別にしても、
うつ状態に陥りがちの方は、
善悪に執着しすぎる傾向にあると思います。
ゆるく、自分の損得を考えて物事を選択していくのがお勧めです。