物語 第五話「神様と僕」

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小説
         神様と僕

皆さんは神様の存在を信じていますか? 私は毎年初詣に行くし、
家には小さな神棚を奉って居ますので、信じている派ですね。
このお話は神様を信じていない男と神様のお話です。

   僕は松平健志郎。名前はかっこいいのだが、容姿はというと上中下
   の下の中くらいだ。
   つまりかっこよく無いってことだ。別に両親を恨んでもいないし、
   今まで生きてきて問題もないのだが、この容姿が邪魔をして大好きな
   友ちゃんに告白出来ない自分が情けなかった。

目覚ましの音(ジリジリ・・・)

僕 「あ~もう朝か・・・・・・わ! 誰だ! お前!」
神様「ここは、どこや?」
僕 「ここは、僕のアパートだ! じゃなくて! 誰だ?」
神様「ワシか? ワシは、神様や! どや! 驚いたやろ?」
僕 「神様? ウソだ! 関西弁だし、そんなボロボロの衣着ている神様が
   いるものか」
神様「おい! こら! ボロボロで、醜いって言うたな!」
僕 「醜いとは言っていないですけど?」
神様「知ってるで、お前、神様を信じてないやろ」
僕 「信じてはいない。何度かお願いしたことはあるけど、一度も叶った事が
   ないからね」
神様「そら、頼み方がわ悪いんやろな」
僕 「頼み方? 決まりがあるの?」
神様「当たり前やん! 神様も忙しいねんで! そやから優先順位を
   つけてるねん」
僕 「優先順位?」
神様「お前! 優先順位知らんのか?」
僕 「あの? 話の途中ですが? どうしてここに居てるのですか?」
神様「お~ それやがな、花見をしててな」
僕 「花見? 神様も、花見するんですか?」
神様「そらするやろ。天上界には、そら立派な桜の木があってな、毎年大勢の
   神様が集まって賑やかに花見をするんや!」
僕 「天上界? そんなところ本当にあるんですか?」
神様「いちいち質問するな! 何処まで話したか、わからんくなるやろ」
僕 「すみません」
神様「わかればええわ。ほんでな・・・・・・ほれみい! 何処まで
   話した?」
僕 「多くの神様が集まって、お花見するとか・・・・・・」
神様「そうそう、よう聞いとるやん、ところがやな、人間界に変な病気が
   蔓延しとるやろ!」
僕 「コロナですか」
神様「そうや、そのコロナちゅうやっかいなやつ!」
僕 「神様にも影響してるのですか?」
神様「影響してる? 大ありやがな! 去年も今年も、花見中止に
   なっとるし!」
僕 「でも、今さっき、お花見してたって?」
神様「そやねん。ワシ酒と花見が大好きでな、こっそり夜桜で一人花見して
   たんや」
僕 「夜桜? 一人花見? なんだか淋しい感じですね」
神様「大勢がダメなら、一人でするしかないやろ! 他の神様誘っても
   やらん言うしな」
僕 「あの?」
神様「わかっとる! なんでここにワシがおるのかやろ?」
僕 「そうです」
神様「それはやな・・・・・・ワシにも分からんのやな~」
僕 「え? わからないんですか?」
神様「そやねん! 気がついたらここに寝てたわ! ハハハハ」
僕 「ハハハって・・・・・・どうするんですか?」
神様「どうするかな? しばらくやっかいになって考えるかな?」
僕 「やっかい? ここに居座るって事ですか! ダメですよ! 
   絶対ダメ!」
神様「そう冷たく、あしらわんでもええやろ? な けんちゃん」
僕 「けんちゃん?」
神様「健志郎やから、けんちゃんやろ? けんぼうがええか?」
僕 「呼び名よりも、ここに居座るのは困ります!」
神様「何度も同じ事言わすなよ。冷たい奴やな、けんちゃん」
僕 「さっきから、けんちゃんって! 僕はこれから、行くところがあるので
   帰って下さい」
神様「けんちゃん? さっきからの話聞いてたやろ? ワシ何処へ
   帰るねん?」
僕 「聞いてましたよ! 天上界がお住まいでしょ?」
神様「そうやけどな? どうやって帰るねん? 教えてくれや」
僕 「そんなこと、僕に分かるはずないでしょ!」
神様「それやったら、ここにおるしかないやん」
僕 「そんな話! おかしいでしょ!」
神様「おかしいか? しゃぁないな、分かったわ」
僕 「良かった! ありがとうございます。僕用意しますので、さようなら」
神様「けんちゃん?」
僕 「はい?」
神様「朝飯、食わんのか?」
僕 「朝飯? ああ朝ご飯ね? 食べますよ」
神様「そうか! 食べるんか! ワシも腹がすいてて」
僕 「あ~ 食べるんですね。素直にそういえばいいのに」
神様「よっしゃ! 出来るまで一眠りするから、出来たら起こしてや」
僕 「一眠り? あの神様?」
神様「お~もう出来たんか! 早いの~」
僕 「いえ、まだですけど」
神様「なんや! はよ作りや、遅刻するで」
僕 「なんで! わかりました」

   食パンが焼ける音と卵を焼く音

   神様のいびき

僕 「神様、出来ましたよ、起きて下さい」
神様「お~出来たか!・・・・・・なんやこれ?」
僕 「トーストと目玉焼きですけど?」
神様「ワシは、毎朝和食なんや、トーストやなんて!」
僕 「じゃ 食べなくていいですよ! 貴重なパンと卵を使ったのに」
神様「わかった! そうふくれるなよ! 食べる、食べたらええんやろ!」
僕 「無理に食べて貰わなくて、けっこです!」
神様「おう、強気にでたな! ま そう怒るなよ。けんちゃん」
僕 「食べたら、出て行って下さいよ! それとけんちゃんは、やめて
   ください!」
神様「分かっとる、皆までいうな! な けんちゃ、おっと危ない危ない!」

   食べる音

僕 「さて、それじゃ出かけますので、一緒に出て下さい」
神様「おう、世話になったな」

   ドアの開閉音とカギを掛ける音

僕 「では、僕はこっちへ行きますので、さようなら」
神様「偶然やな ワシもそっちへ行こうと思ってたんや」
僕 「え~ 一緒に歩かないで下さいよ? じろじろ見られては
   困りますから」
神様「それなら心配入らんわ、他の人からワシは見えんからな」
僕 「え? そうなんですか? どうして僕には見えるのですか?」
神様「それはやな・・・・・・教えられん」
僕 「教えて下さいよ」
神様「いくら世話になったけんちゃんでも、教えられん。それより急がんと」
僕 「本当に他の人に見えないのかな?」

   歩く音

僕 「何処までついてくるんですか?」
神様「それはやな  神様のみぞ知るやな」
僕 「あなた神様でしょ?」
神様「お~ そやった ハハハハ」
僕 「また笑ってごまかして」
義男「おい! 健! お前さっきから誰と話してる? 後ろから見てたけど?
   大丈夫か?」
僕 「あ! 義男! いや別に」
神様「ワシは悪ないで、こいつけんちゃんの友達か?」
義男「それならいいんだけど・・・・・・早く 急がないと間に合わないぞ」
僕 「そうだな、走るか!」

   走る足音

神様「こら! 走るな おいてくな~」
僕 「さよなら~」
義男「健? やっぱりお前、おかしいぞ?」
僕 「気にしなくていいよ」

   駅の周囲音

僕 「なんとか間に合ったな」
義男「2分前か 」
   駅のアナウンス

僕 「あ! どうして?」
義男「何が?」
神様「や~ 待ってたで」
僕 「どうしてついてくるんです?」
義男「どうして? 一緒に行く約束してただろ? 大丈夫か?」
僕 「いや、義男じゃなくて」
義男「じゃ誰? お前なんか変だぞ? 今日はやめとくか?」
神様「気にせんと、いったらええやん」
僕 「もう どうすれば・・・・・・」
義男「そんなに辛いなら、俺一人で行くから、健は帰って休め!」
僕 「いや 行きたいんだけど・・・・・・」
義男「俺、一人で行けるから! 気が向いたら連絡しろよ?」
僕 「義男 そうじゃなくて・・・・・・」

   義男が乗った電車の出る音

神様「あ~あ 行ってもうたやん。どうするん?」
僕 「どうしてついてくるんですか? 僕、何かしました?」
神様「別に? 朝飯食わしてくれたくらいやな」
僕 「じゃ 僕の邪魔しないでくれますか?」
神様「邪魔なんか?」
僕 「邪魔してるでしょ?」
神様「怒ってるん?」
僕 「怒ってます! もうつきまとわないで下さい!
   大好きな友ちゃんと、みんなで楽しむはずだったのに」

   足音

友子「あれ? 健ちゃん? 待っていてくれたの?」
僕 「友ちゃん? どうしてここに?」
友子「寝坊してね。もう誰も居なかったら、そのまま帰ろうかと
   思ってたら、健ちゃんが待っていてくれて! 良かった」
僕 「いや 僕は、その」
神様「頑張りや~」
僕 「え?」
友子「健ちゃんどうしたの?」
僕 「いや、別に? これからどうする? 遅れて行く?」
友子「私は、健ちゃんの行くところについて行くわ」
僕 「ほんと? じゃ二人で遊びに行こうか?」
友子「はい!」
神様「けんちゃん! 願い事の約束は、はたしたで」
僕 「願い事?」

   どうやら優先順位の順番が僕に回って来てたようでした。

その後、神様は僕の前から姿を消しました。
次の順番の方の所へ、向かったのでしょう

神様のお陰で、友ちゃんと僕は楽しくお付き合いしています。
ありがとう神様! 今から僕は神様を信じます!

どうでしたか?
貴方は神様を信じますか? 信じませんか?

最後までお付き合いありがとうございました。

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