ようやく救急車が出発し、私たちは事務所に帰り報告書を作成する。
落ち着いたころに手が震えた。
今まで2件は病院内での発症だったからすぐに対応できたし、
私じゃない誰かもいたから協力することもできた。
しかし、今回は患者さんと医療従事者ではない家族、そして医療従事者の自分。
責任が重く重くのしかかった。
幸い、看護事務所が近かったからすぐに駆け付けてもらえたけれど
これが遠い場所だったら…
家族がいない患者さんだったら…
これがきっかけで、私は応急処置を勉強しなおした。
Mさんの奥様から次の日電話があった。
太い血管が脳梗塞を起こし緊急手術となった。今回は助けられないかもしれないと主治医に言われたが、なんとか手術は終わった。
2-3日の山を越えてくれたら…
奥様は何度もお礼を言って電話を切った。
つづく(次回ラスト)