「心と体の健康入門⑨」~「ストレス・フリー」から「自然治癒力」増強へ~

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(3)人間関係で「打撃」を受ける人と「飛躍」を得る人の違いは何か

③「人間関係」が最大の「成長」と「幸福」をもたらす

「父性原理」と「母性原理」~「パーソナリティ」の発達にあたって、フロイトが創始した「精神分析」は4~6歳頃の「エディプス期」の「母親・父親・子どもの三者関係の情緒的葛藤と超自我の形成=エディプス・コンプレックス」を重視し、日本の親子関係や文化習俗の伝統を精神分析に持ち込んだ古沢平作や小此木啓吾は「エディプス・コンプレックス」に代わる「阿闍世コンプレックス=母子の相互的な許しと癒し」の概念を持ち込みました。これは日本の文化的特性である「集団主義」や「情緒主義」をうまく説明します。
 「エディプス・コンプレックス」と「阿闍世コンプレックス」の最大の違いは、「エディプス・コンプレックス」がキリスト教倫理に根拠づけられるような「父性原理に基づいた感情的葛藤=近親相姦禁忌を示唆する三者関係」であるのに対して、「阿闍世コンプレックス」が仏教経典に題材をとりながら「母性原理に基づいた感情的葛藤=甘えや依存を許しあう二者関係」であることです。
 三者関係の「エディプス・コンプレックス」の葛藤を経験する意義は、「母親への性的関心の断念」と「幻想的な母子一体感を切断する父親の登場による超自我の芽生え」であるとされますが、エディプス期は母親への強固な依存と愛着を弱めていく時期と解釈すれば分かりやすいでしょう。それは親密な閉じた家族内関係を克服して、見知らぬ他者との社会関係へと自分を開いていくという意味を持ち、心理的自立の小さな第一歩とも言えます。「見知らぬ他者」とは単純に家族外部の人間という意味ではなく、「一方的な甘えや依存によって自分に対する世話や愛情を引き出す事が不可能な他者」という意味です。社会環境で自立して生きていく為には、人間関係を家族から家族外への他者へと発展させていくことで「家族の一員」であると同時に「社会の一員」とならなければならないのです。
 社会の中で生きていく為の相互利他的な「社会規範・倫理規範」を学習して内在化する時期が「エディプス期」であり、社会の中で出会う他者の原型を模範的に示すのが「エディプス・コンプレックス」において去勢不安をもたらす「父親」(父性的な厳格性・規範性・現実性)なのです。すなわち、「エディプス・コンプレックス」における「父親」とは、「一方的な甘えや依存を拒絶して、精神的自立の芽生えを促す他者」であり、「厳しい社会環境で生き抜く為の社会規範・倫理規範を提示する他者」なのです。
 子どもにとっては、理想的な自己像を形成し、「社会適応」を促進する「父性原理」も「精神的安定」をもたらして自分の居場所を作ってくれる「母性原理」もどちらも欠かせないものです。そして、この世界には「父性原理」で生きなければならない社会的環境もあれば、「母性原理」で生きても良い親密な人間関係もあります。育児において、「包み込む母性原理」が過剰になれば、引きこもりやニート、モラトリアムの延長のように、家庭環境から自立出来ず、社会環境に適応出来ない非社会的行動の問題が発生しやすくなるでしょう。反対に、「切断する父性原理」が強くなり過ぎれば、孤独感や寂寥感が強くなったり、他者に対する寛容や忍耐に欠ける冷淡な人格が形成されやすくなるのでしょう。また、徹底した「父性原理」に基づく行動を示す人の場合には、「他人は競い合い対立する敵」という認識が強くなり、他人に甘えたり、他人を信頼する事が難しくなるという心理的問題が生じたり、秩序や規則を機械的に守る事への強迫的なこだわりが生まれて、環境不適応の問題などが起きることも考えられます。つまり、「切断する父性原理」と「包含する母性原理」の適度なバランス感覚を持って、教育や育児を行うことが大切だという事が分かるのです。

「夫婦の絆は親子の絆を十字に切り結ぶものである。新しい結合は、古いものの切断を要請する。若い二人が結ばれるとき、それは当然ながら、それぞれの親子関係の絆を切り離そうとするものである。一度切り離された絆は、各人の努力によって新しい絆へとつくりかえて行かねばならない。この切断の痛みに耐え、新しい絆の再製への努力をわかち合うことこそ、愛と呼べることではないだろうか。それは多くの人の苦しみと痛みの体験を必要とするものである。このような努力を前提とせず、ただ二人が結ばれたいとのみ願うのは、愛などというものよりも『のぼせ』とでも呼んでおく方が妥当であろう。他の何事をしてもいいが、『愛する二人が結ばれると幸福になる』という危険思想にだけはかぶれないようにして欲しい、と願いたくなってしまうのである。」(河合隼雄『家族関係を考える』)

兄弟姉妹関係~「友情」「恋愛」のベースになるのが「兄弟姉妹」の心情関係です。これが豊かであればあるほど、「友情」「恋愛」「結婚」が人格的成長上プラスに転じやすく、逆に貧困であるとマイナスに転じやすくなります。

①長子=必要以上に構われる、神経質に扱われる、大きな期待をかけられる、甘やかしすぎ、あるいは厳しすぎ、一人っ子時代は過干渉で、次子の出現時から突然無視される→真面目(融通がきかない)、保守的(型にはまる)、おっとりしている(要領が悪い)、正直(単純)、欲しいものでも遠慮する、自分を良く見せる、度胸がなく、権威に弱い、人見知りする。
(1)長子としての兄=「真面目、慎重、責任感」。しっかり順調に育つ人。何事にも慎重で、時には融通がきかないとの評価を受けますが、それは責任感の裏返しです。危険なことにはなかなか手を出さない性格で、それゆえリスクが少なく、堅実に仕事をこなします。これまでの一流企業の社長には、この兄型が多いとされます。一見面白味に欠けるように見えますが、少々仕事が厳しくても弟・妹型のように不平不満を漏らすことが少ないのです。慎重さの中にもプライドが隠されており、また、論理的な側面が強いとされます。
 期待される性格:強い意志、落ち着き、指導力、勇気。
 許容される性格:威張る、怒る、気難しさ。
 異性との交際:交際下手で、相手の意思を常に意識する。
(2)長子としての姉=「真面目、気配り万全」。兄型と同様、折り目正しく育てられてきた人。兄との相違は、母親が同性の姉に対しては兄を育てるよりも、一層厳しく育てているということです。母親は理想の女性像を姉に求めることが多いです。周囲への気配り、目配りが行き届いていて真面目で、出しゃばらない。教師や看護婦、ボランティア、一流企業のキャリアに多いです。何事かを率先して行うより、頼まれることを待ってから着手する傾向があります。
 期待される性格:落ち着き、大人しさ、控え目、世話好き。
 許容される性格:なし。
 異性との交際:強くない男性の面倒を見たがるが、頼りないだけだと飽きる。

②真ん中の子=面倒がらない、好き嫌いが明確、自己表現が下手、気に入らないと無口になる、一度怒ると大変、愚痴が多い、計画性がなく失敗する、優柔不断。
(1)真ん中の子としての弟=「サービス精神、呑気」。エリート型の兄に対し、自由奔放な弟は、兄への競争心へ燃えます。兄を乗り越えたいという欲求が、攻撃性や上昇志向へ向かう場合が多いです。幼少時から家族を楽しませるのが好きで、その延長線上で、スター性を発揮することもあります。外向的だが、根本的には我が儘で甘えん坊。
期待される性格:勇気、楽天さ、冒険好き。
 許容される性格:粗野、強情。
 異性との交際:無計画に行動、手が早いか、表面的ないい人。
(2)真ん中の子としての妹=「甘え、大胆さ」。
 大変要領がいい。甘え方には天賦の才能を発揮します。弟同様、姉に対する競争心が強く、姉への反発をバネに過激に自己主張することも多いです。既存の価値観や常識を実質的に重視し、しばしば転職をします。奇抜で面白いアイデアはありますが、リーダーシップを他者に依存する傾向があります。
期待される性格:なし。
 許容される性格:おしゃべり、人に頼る、我がまま。
 異性との交際:徹底的に尽くすが、情熱の浮沈が激しい。

③末子=協調性(お調子者)、世話好き(お節介)、要領がいい(ずる賢い)、サービス精神旺盛、巧みな自己表現。
(1)末子としての弟=「サービス精神、呑気」。エリート型の兄に対し、自由奔放な弟は、兄への競争心へ燃えます。兄を乗り越えたいという欲求が、攻撃性や上昇志向へ向かう場合が多いです。幼少時から家族を楽しませるのが好きで、その延長線上で、スター性を発揮することもあります。外向的ですが、根本的には我が儘で甘えん坊。
期待される性格:勇気、楽天さ、冒険好き。
 許容される性格:粗野、強情。
 異性との交際:口先上手、交際巧妙。
(2)末子としての妹=「甘え、大胆さ」。
 大変要領がいい。甘え方には天賦の才能を発揮します。弟同様、姉に対する競争心が強い。姉への反発をバネに過激に自己主張することも多いです。既存の価値観や常識を実質的に重視し、しばしば転職をします。奇抜で面白いアイデアはありますが、リーダーシップを他者に依存する傾向があります。
期待される性格:なし。
 許容される性格:おしゃべり、人に頼る、我がまま。
 異性との交際:お節介で、亭主関白の男性と釣り合う。

④一人っ子=マイペース(自分勝手)、非社交的、表現力豊か、体裁を気にする、神経質・情緒不安定。
(1)男の一人っ子=「自己最優先」。両親の、特に母親の溺愛の下に育てられた人。しばしば協調性に欠如する。一芸に秀でるという特徴があり、個性が重要視される学者や芸術家に多い。
異性との交際:一心不乱に行動するようだが、実は冷めている。
(2)女の一人っ子=「唯我独尊」。唯我独尊で協調性に欠如する。また、自分だけの得意分野を持ち、そこに力を発揮する。これらは男の場合と同様だが、男の場合との相違は、男に暗さや弱さがあるのに対し、女は強いということ。これは母親が同性であることから厳格に育てている為である。中性的な雰囲気があるので、同性から人気が出る場合がある。
異性との交際:勝ち気。年下の男性とは合わない。
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