「心と体の健康入門①」~「ストレス・フリー」から「自然治癒力」増強へ~

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学び
(1)「ストレス」は万病の元、「ストレス・フリー」は自然治癒力の元
①「ストレス」が「免疫機能」を低下させ、「未病」「発病」を生む

「ストレス」~「恒常性」(ホメオスタシス、体の機能を一定に保つ性質)がゆがんだ状態。「ストレス」の原因となるものを「ストレッサー」と呼びます。

「免疫系」~生き物の体は病原体が侵入すると、それに対抗するために多くの段階の免疫システムを稼動させますが、精神的なストレスを受けても、体は同じように免疫システムを反応させます。実際、気持ちがゆるんでいたり、逆に緊張しすぎている時、極度に不快な状態にある時に免疫力が低下することが証明されています。2001年9月のアメリカ同時多発テロの被害者や1995年の阪神・淡路大震災の被災者達は免疫力が落ちているため、がんの発症率が高いという報告もあります。例えば、仕事で「嫌なこと」があって精神的にストレスを受けると、交感神経系が活動し、ノルアドレナリンやアドレナリンが分泌され、もう一方では副腎皮質ホルモン(心身がストレスを受けると、急激に分泌が増えることから、「ストレスホルモン」とも呼ばれています)が分泌されて、「嫌なこと」を処理しようと体が反応しますが、これらの物質が分泌されると免疫システムが抑制されます。つまり、「嫌なこと」を処理しようと体がそこに集中してしまい、体外からの侵入者対策のセキュリティシステムが緩くなってしまう結果、精神的なストレス状態が続くと、その分、病気になりやすくなるのです。

「ストレス性疾患」~高血圧・高血糖やその結果としての動脈硬化、様々な心身症、胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群などの多くは、ストレス状態で交感神経系や神経内分泌系が活発化し続けるために起きます。また、「免疫」が抑制されると、風邪などの感染症やがんを発症したり、過剰になるとアレルギーや自己免疫疾患(本来なら自分の体を守るはずの免疫が自分の組織や細胞を攻撃してしまう病気)などになったりします。

「心身症」~「心」の問題の関与が大きい身体疾患の総称です。精神の持続的な緊張やストレスによって発生します。身体的な検査で実際に異常を認めることも多い身体疾患ですが、症状の発生や症状の増悪に心因が影響している疾患を指します。心身症になりやすい人の性格傾向として、「失感情症」(アレキシサイミア)と呼ばれるタイプが指摘されています。これは自己の感情を意識的に認知することの苦手さや、空想力・創造力の欠如を特徴とする性格傾向です。「失感情症」の人は不満や不安などの感情を意識で認識する代わりに、身体で表現してしまうのではないかというメカニズムが考えられています。

「未病」~「聖人は既病を治すのではなく、未病を治す」(『黄帝内経』)で初めて使用された用語です。「既病」とは既に発病したこと、「未病」とは発病する前の状態を言います。日本未病システム学会では「自覚症状はないが、検査では異常がある状態」と「自覚症状はあるが、検査では異常がない状態」を合わせて「未病」と定義し、「自覚症状もあり、検査でも異常が認められる状態」を「病気」(既病)と呼んでいます。

「生活習慣病」(lifestyle related disease)~糖尿病・高脂血症・高血圧・高尿酸血症など、生活習慣が主な発症原因であると考えられている疾患の総称です。これらの疾患は虚血性心疾患・脳卒中などの原因となり、最悪の場合死に至ります。一般に30~40歳代以上の世代から発症しやすくなり、かつその発症に生活習慣(食事習慣、運動習慣、肥満、喫煙、飲酒など)が深く関わると考えられています。肥満に加えて糖尿病・高脂血症・高血圧・高尿酸血症などの生活習慣病を複合する状態を、医学的には「メタボリック症候群」と総称します。かつては加齢によって発病すると考えられたために「成人病」と呼ばれ、特に脳卒中、がん、心臓病は3大成人病とされ、集団検診による早期発見、早期治療の体制が進められました。「成人病」という概念は、1960年代に「主として、脳卒中、がん、心臓病などの40歳前後から死亡率が高くなり、しかも全死因の中でも上位を占め、40~60歳くらいの働き盛りに多い疾病」として行政的に提唱されたものですが、その後の研究で、原因の大半が長年にわたる「生活習慣」にあり、間違った「生活習慣」によって高脂血症や高血圧がどの年齢にも起こり得ることが判明したため、子供の頃から予防に気を付けなければならないことなどから、1997年頃から「生活習慣病」と呼ばれることが多くなりました。
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