ゴールが達成できそうで嬉しいはずなのに、不安になる心理とは

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コラム
Xさん(30代女性)はまじめで責任感が強く、周囲に気を遣うタイプ。

自分より他人を優先する傾向が強く、そのせいで抑うつ傾向がありましたが、
「他人の希望より自分の希望に立ち戻ってみる」
という考えをできるだけ取り入れるようにカウンセリングをすすめ、最近では比較的落ち着いて生活できるようになってきていました。まじめで努力家のXさんは仕事でも優秀で、こつこつと目標を達成するタイプだったので、思ってもみないラッキーなチャンスが彼女のもとに舞い込みました。

それは、彼女がここ数年間、「こうなったらいいのにな」と望んでいたようなチャンスでした。そんなチャンスが手に入ることを、少し前までは予測もできませんでしたが、彼女のがんばりを見ていた人がチャンスをくれたのです。

チャンスをくれた人の期待を裏切りたくない、という気持ちもさることながら、Xさんの中にはなぜか虚しさのような気持ちが出てきました。また、以前は不安が強くなると過食しがちになっていたりしましたが、その過食傾向はないとのことでした。むしろ、食べ物に対する興味が薄れたような感覚があり、それも不安の一因となっていました。

「目標を達成できそうなのに不安だなんて」
ととまどうXさんでしたが、これは実はとてもよくある心理パターンです。
Xさんのような方にとって、「悩むこと」はある意味習慣化しています。いってみれば慣れ親しんだ状態です。

でも、ゴールを達成した未来というのは、悩みがなくなる状態をあらわします。

そうなると、その未来はXさんが慣れ親しんだ環境ではなくなります。
人は変化を本能的に避けようとします。目標を達成したら、燃え尽きてしまうのでは?達成せず、今のまま、少しの不自由さを感じている状態のほうが実は幸せなのでは?と、幸せにならないほうに誘導する、もっともらしい声がしょっちゅう聞こえるようになったり、一時的に無気力になったり、今まで好きだったものに興味がなくなったりします。

でも、それはごく自然なことであり、プロセスの一部です。
要は、「ゴールを達成した状態の自分に慣れましょう!」ということです。
ゴールを達成するには、すでに達成したときの自分を繰り返し想像することが大事、とよく言いますが、それは目標を達成した状態がいざ目の前にあらわれても本能的に避けてしまわないよう、イメージトレーニングをして慣れておくという効果もあるのですね。

それから1か月後、Xさんは「まだ少し不安はあるけど、チャンスが来たから思い切り生かそうと思えるようになりました」と話していました。
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