『マンガでわかる愛着障害』岡田尊司監修/松本耳子漫画

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今回は愛着障害について、復習がてらマンガ版を読み直しました。
新書版に『愛着障害』『回避性愛着障害』『愛着障害の克服』『死に至る病』のシリーズがあります。

本書は最初の2冊に基づいています。
各章のコラムから簡単に抜粋・要約していきたいと思います。

第1章 二人は愛着障害!?

愛着という「安全基地」
対人関係のパターンを、知らずしらずに支配しているのが、その人の「愛着スタイル」だと考えられています。愛着スタイルは、その人の人格の根底にあり、対人関係だけでなく、感情や認知、行動に幅広く影響していることがわかってきました。
愛着スタイルは、幼少期の親とのかかわりを出発点として、その人にとって重要な他者との関係のなかで、、長い年月をかけて培われていきます。
愛着を脅かす、最も深刻な状況は二つあります。一つは、愛着対象が居なくなる場合。もう一つは、守ってくれるはずの親から虐待を受け、安全が脅かされる場合です。
一方で、いったん「愛着の絆」がしっかりと形成されると、容易に消えることはありません。愛着の絆で結ばれた存在を求め、そのそばにいようとする行動を、愛着行動と呼びます。
愛着の絆が形成されると、子どもは母親といることに安心感をもつだけでなく、母親がそばにいなくても、次第に安心していられるようになります。愛着のこうした動きを「安全基地」と呼びます。
「安全基地」を確保している人は、外界のストレスにも強いのです。幼いころにしっかり守られて育った人は、大人になってからも自分をうまく守れるのです。

第2章 愛着障害ってどういうこと?

不安定な愛着による困難さ
 愛着スタイルは大きく「安定型」と「不安定型」に分けられます。
安定型の愛着ではストレスや脅威に対して、愛着システムが適度に活性化され、ほどよく愛着行動が増加することで、ストレスの緩和や安定が維持されます。

ところが、不安定型の人は、愛着を求めても拒絶されたり、何の反応も返ってこないうちに最初から求めない行動スタイルを身につけていると考えられます。
一方で、愛着システムが育まれる時期に、過剰活性化戦略が自分の安全や安心を守るのに有利だった結果、少しでも愛着対象が離れていきそうな気配を感じただけで強い不安を感じてしまうようになってしまいます。
もっと複雑な反応が見られることもあります。

成人でも3分の1が不安定型の愛着を持ち、カップルのどちらかが不安定型を抱える確率は、なんと5割を超えるのです。

第3章 自分は不安型?それとも回避型?

子ども時代を引きずる人々
「不安定型」には、さらに不安型と回避型があります。整理すると、大人の愛着スタイルは①安定型(自律型)、②不安型(とらわれ型)、③回避型(愛着軽視型)に分けられることになります。

愛着スタイルは恒常性を持ち、とりわけ幼いころに身につけたものは、7割程度の人で生涯にわたり持続します。愛着の形成には「臨界期」と呼ばれる敏感な時期があり、その時期に母親を奪われると深刻な障害が残りやすいのです。
愛着形成の臨界期は生後半年から1歳半の期間とされますが、最近の研究では生まれた直後から半年までの間にも、すでに愛着形成が始まっていて、早期に母親から離された場合、社会性の発達などに影響があることが認められてます。

第4章 目指すは安定型!

「不安型」と「安定型」
気遣いばかりが空回りするのが、不安型愛着スタイルの人の特徴です。不安型の人は、相手の表情に対して敏感なのに、不正確になりがちです。ことに、怒りの表情と誤解することが多々あります。
不安型は、両価的な傾向を抱えやすいのです。求める気持ちと拒絶する気持ちの両方が併存している状態です。

安定型愛着スタイルの人の第一の特徴は、対人関係における絆の安定性にあります。安定型の人は自己肯定感があり、自分が信頼している人が自分をいつまでも愛し続けてくれると確信しています。
もう一つの特徴はその率直さと前向きな姿勢です。人の反応を肯定的にとらえ、自分を否定しているとか、さげすんでいるなどと誤解することがありません。
仕事と対人関係のバランスが良いことも大きな特徴であり、ともに楽しみながら取り組むことが自然にできます。そのため、ストレスをため込みにくいのです。
人はストレスを受けると、神経系や内分泌系の変化を引き起こし、体内で何とか対処しようとします。
ことに不安型の人では精神的な痛みを感じやすく、慢性疼痛に苦しめられやすい傾向があります。
回避型の人は、ストレスを意識から遮断して、感じないようにしているだけだので、ストレスは溜まる一方です。

第5章 愛着障害がもたらす生きづらさ

愛着スタイルと愛情
回避型愛着スタイルの人は、距離を置いた対人関係を好みます。回避型の強い願いは、縛られないことです。
回避型のもう一つの大きな特徴は、葛藤を避けようとすることです。そのため、人とぶつかり合う状況が苦手で、そうした状況に陥るくらいなら自分から身を引くことで事態の収拾を図ろうとします。
一方で、ストレスが加えられると短絡的に反応して攻撃的な言動に出やすいのです。相手の痛みに無頓着なので、自分が相手を傷つけていることに気づきません。
回避型の人を恋人やパートナーに持つ場合、相手はしばしば戸惑います。それは、自分が困っているときや苦痛を感じているときときにも、平然としているばかりで、真剣に気遣ってくれたり、痛みを一緒に感じてくれる様子があまり見られないからです。回避型の人にとっては、たとえ愛するパートナーが苦しんでいてもそれを自分の痛みとして共感しにくいのです。
一方、不安型の人にとって、自分があいされているかどうかは、非常に大きなウェイトを占めます。不安型の人は、パートナーが自分をどう評価してくれているかによって自分自身に対する評価をも左右されてしまいます。

第6章 自分を大切にするってどういうことだろう?

愛着の傷を修復するための最初の一歩
愛着障害の人の多くが、未解決の愛着の傷を抱えています。心を凍りつかせることでそれに向き合うことを避けている回避型も、見捨てられる不安が日々の生活を脅かしている不安型も、ほんとうの意味で安定したバランスのよい愛着スタイルを手に入れるためには、未解決の傷を修復する必要があるのです。
愛着の傷にはさまざまなものがあります。愛着の傷を修復する過程は、それをただ自覚して認知的な修正を施せばいいという単純なものではありません。必要なのは、赤ちゃんのころからやり直すことです。
愛着障害を抱えた人がよくなっていく過程で、幼いころに得られなかった愛情を今与えてもらうことで傷をいやそうとしていくことがあります。傷が回復するためには、まずこの状態が出現することが前提です。

愛着の傷を修復するためには、安全基地を確保し、子どものころの不足を取り戻したり、周囲に受け入れられるといった共感的、体験的なプロセスと同時に、もう一つ、言語を介した認知的プロセスも必要です。
子どものころに傷ついた経験は、たいてい心の隅に押しやられ、はっきり言語化されないまま、もやもやとした記憶として心に巣くっています。そうした言語化の不十分な情動的記憶が、その人の心や行動を無意識のうちに支配し、ネガティブな反応や感情の暴走、乖離を引き起こす原因になります。まず、そうした記憶を再び活性化することが必要です。最初は断片的にしか思い出せなくても、少しずつ語るのを、支える側は共感しながら受け止めます。
愛着障害の修復過程で、安全基地となる存在が必要なのは、自分の生い立ちや傷ついた体験と向き合い、封印してきた過去を整理し、統合し直す作業に、そうした存在の立ち合いと媒介が不可欠だからです。
その作業は、友人や恋人、パートナーを相手に行われることもあれば、カウンセラーの力を借りて行われることもあります。否定的なことを一切言わず、丸ごと受け止めて大切にしてくれる存在に、自分の身に起きたことを、味わってきた想いとともに語りつくすことが重要です。

第7章 みんなそれぞれ違う「愛されたい」サイン

「恐れ・回避型」と「混乱型」
愛着不安と愛着回避がいずれも強い愛着スタイルは「恐れ・回避型」と呼ばれます。対人関係を避けて引きこもろうとする人間嫌いの面と、人の反応に敏感で、見捨てられ不安が強い面の両方を抱えているため、対人関係はより錯綜し、不安定なものになりやすいのです。そのため、疑い深く、被害的認知に陥りやすい傾向があります。

また、愛着の傷を引きずり続け、今も傷口が閉じないままクレバスのように裂け目を露出させている状態の人は、些細なきっかけで不安定な状態がぶり返し混乱型(無秩序型)の状態に舞い戻ってしまう人もいます。
混乱型の人は、虐待された子供に典型的に見られるもので、愛着対象との関係が非常に不安定で、予測がつかない状況に置かれたことで一定の対処戦略を確立することができないできないでいるものです。境界型パーソナリティー障害は、愛着という観点で見れば、混乱型に逆戻りした状態だといえるのです。

多くの成果の治療家や心理療法家が、痛いほど経験してきたことですが、難しいケースほどカウンセリングや通常の認知行動療法ではなかなか効果が得られにくいのです。しかし、そこに愛着という視点を導入すれば、状況はもう少し見えやすくなります。安定型の愛着スタイルなら通常の精神療法が効果を発揮しますが、愛着の障害が深刻であるほど、カウンセリングや通常の認知行動療法が機能しないのです。

第8章 幸福をもたらす「安全基地」

「安全基地」となる5つの条件
1つ目は「安全性を保証する」こと。愛着問題を抱える人にとって、一緒にいても傷つけられることがないことが、最優先されるべき安全基地の条件です。
2つめは「応答性」です。相手が求めているときに、応じてあげることです。
3つ目は「共感性」です。愛着の問題を抱える人が何を感じ、何を求めているのかを察し、それに共感することです。
4つ目は「安定性」です。相手の求めに応じたり応じなかったりと、その場の気分や都合で対応が変わるのではなく、できるだけ一貫した対応を取ります。
5つ目は「誠実さ」です。誠実さとは、相手を一人の人間として本心から大切にする姿勢です。

愛着障害の克服において、自分のことを何でも話せる人との出会いがきわめて重要になります。そういう人が安全基地として機能しているなら、語ること自体から大きな癒しが生じるばかりでなく、語ることによってそれまで断片的にバラバラだったものが、統合され、傷やゆがみが修正されていくプロセスが始まるのです。
愛着不安の強い人は、一度に何もかも話さずにはいられない衝動にかられ、性急な告白をしてしまいがちです。逆に回避型の人は、自分を開示することに慎重になりすぎ、すっかりお膳立てが整っているのに、一歩足を踏み出せないことにもなりやすいのです。

第9章 愛着障害の克服のために

「振り返る力」を鍛える
では、愛着障害はどうやって克服したらいいのでしょうか。
回避型の人は起きている問題自体から目を背け、見て見ぬふりをしてやり過ごしたり、不安型の人は感情的に過剰反応してしまい、かえって状況を悪化させてしまいます。
問題にしっかり向き合うと同時に、客観的に事実を受け止め、過剰反応しないというスタンスともっとも関係していると考えられるのは「振り返る力」です。
振り返る力は、自らを反省する力であるとともに、相手の気持ちを推測し、汲み取る力でもあります。さらに、状況から一歩下がって、、事態を高みから俯瞰するように、大きな視点で眺める力です。(メンタライゼーション)
振り返り力がある人は、相手の気持ちを察するだけでなく、自分の行動も振り返ることができるのです。
振り返りが可能になるためには、感情の渦から少し距離を取る能力が必要です。同時に、相手の気持ちを汲み取り、感じとれることも必要です。前者は「内省する能力」であり、後者は「共感する能力」です。
愛着の原点は、親との関係で育まれます。しかしながら、親の協力や助けも期待できず、親代わりの存在も身近にいない場合、愛着障害を克服する方法は「自分が自分の親になる」ことです。

【感想】

改めて読み返しても、学ぶことがたくさんありました。前回読んでから色々な本を読んで知識を得たからこそ見えてくる部分でした。
自分は不安型と回避型の両方を併せ持つ「恐れ・回避型」で、対人関係が混沌としていました。現在は完全に回復とはいきませんが、たまに鬱状態に落ちることがありますが、気づくことが出来て立ち直ることができます。
これからも皆さんや周りの人の安全基地となれるように勉強を深め、実践していきたいと思います。
漫画部分はバッサリと省略していますが、気になる方はぜひ手に取ってみてください!

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心理セラピストtakashi

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