著作権について考える

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大分前に人間失格というドラマがテレビで放映されました。私は全く見ていないのですが、このドラマが太宰治の遺族から訴えられて、タイトルが変更されたということがありました。これはおかしな話です。そもそもタイトルに著作権はありません。権利が付与されるのは作品の内容であってタイトルには付与されないのです。音楽のタイトルが映画や小説と同じでも、曲自体が全くそれらの作品とは無関係だったりするのはそのためです。最近、怪談師たちの間で問題になっているのが怪談の著作権です。実は私も心霊をテーマにした小説を書こうと思ったのですが、このせいで断念しました。それにしても怪談に著作権を付与していったい誰が喜ぶのでしょうか。たとえば、廃屋が長い間ずっと取り壊されないことがよくあります。確かに霊障があって取り壊されないケースもあるにはあるのですが、実際には不動産の権利関係が複雑だったり、夜逃げしたか何かの理由で物件の所有者と連絡がつかないなどの事例の方が圧倒的に多いのが実状でしょう。たとえば100人がUFOを目撃しても何の権利も発生しませんが、100人が心霊現象を目撃すれば著作権が付与されるのでしょうか。もうちょっと具体的に考えてみましょう。4人の若者が心霊スポットに行きました。誰もが特に何も感じることなく帰宅しましたが、実はたまたまそこに居合わせた3人グループが4人の心霊体験を目撃していました。しかも全員が見ていても実際にそれが心霊現象だと確信したのが霊感が強い1人だけだとすれば、いったい誰に著作権が付与されるのでしょうか。それとも全員でしょうか。更に別の2人のグループが3人の心霊体験を目撃して、それをはっきり認識したのが1人だけだとすれば、何が何だか分からなくなってきます。しかもこれは決して特殊な事例ではなく、むしろ心霊スポットでは日常茶飯事です。私が小説を書こうにも、書いていいものと書いてはいけないものを全く仕分けできないし、線引きが全くできないのです。だからジャンルとして書けないと判断したのです。持ちネタがなく、霊感もなく、心霊ネタを提供してくれる人もおりません。まして心霊体験が豊富にあるわけではないのです。そもそも怪談が誰に帰属するのかさえさっぱりわからないのが現状ですから書きようがないのです。これは誰かが得をするとかの話ではなくて、要するに怪談とは人の不幸だからそれを書いたり話したりして世に広めてくれるなという趣旨なんだと思います。人の不幸で褌を取るなということなんでしょうね。権利関係が複雑になるだけだし、実際に怪談に著作権を付与しても誰も得しない以上そうとらえるのが自然なのでしょう。1度は書いてみたかったので残念です。
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