外貨建て保険 伴うリスク

記事
マネー・副業
少し前の朝日新聞の記事から引用します。

米ドルなどで運用する「外貨建て保険」の販売額が、再び増えている。米欧の金利が上がり、銀行など金融機関が販売に力を入れているもようだ。ただ為替の変動で元本割れするおそれもある。リスクについて契約者の理解を得た上で販売しているか、金融庁は監視の目を強めている。

外貨建て保険は、顧客が一括で払った保険料を金利の高い組の通貨に換えて運用する。米ドル建ての保険は米国歳で運用することが多く、米金利上昇に伴い、契約者に約束した利回り(予定利率)が4%台の商品もある。死亡時や入院時などの保障に加え、1%程度の円建て保険に比べて高利回りなのがメリットだ。(中略)

外貨建て保険は円建てに比べて手数料が高く、銀行にとってはうまみが大きい。金融庁によると保険販売全体に占める外貨建て保険の割合が9割超のある銀行では、営業担当者が外貨建て保険を販売すると円建てに比べ2~4倍高い評価をされていたという。

リスクの大きさや複雑さをから、地銀と顧客の間でトラブルが相次いだ「仕組み債」の影響を指摘する声もある。超低金利で融資による儲けが減る中、各地銀は手数料を求めて仕組み債の販売を強化した。しかし、販売手法を金融庁が問題視したことなどから、取り扱う地銀は22年3月末の77行から同年11月末には33行に激減。「仕組み債」に代わって外貨建て保険に注力しているのでは」との指摘がある。

外貨建て保険の販売増に、金融庁は神経をとがらせている。(引用終わり)

この後、この外貨建て保険のリスクの説明に移り、

・為替の変動(円高時には想定利回りを下回る、または元本割れ)
・途中解約の手数料
・市場価格調整(返戻金の目減り)
・特殊な解約のルール(一定の利益で自動的に解約となる目標到達型)

このようなリスクがあることが説明されています。

また、金融庁はこの商品が解約された後、同様の保険を再契約させ、手数料を稼いでいる金融機関もあるのではないかとみているそうです。いわゆる手数料稼ぎのための保険の回転売買のようなものですね。

また、外貨建て保険の販売を巡ってはトラブルも多かったとのことで、苦情件数は19年度に2822件と過去最高になったとのこと。

こうやって記事を見てくると、だいたいどういった流れで苦情が出てくるか予測できますね。

日本の銀行の金利は低い
→貯蓄していても全然利息はつかない
→米国や欧州の金利が上昇している
→外貨建ての商品なら4%もの利息がつく
→しかも保険商品なので万一の保障もある

という感じで勧誘をされるのでしょう。

為替変動のリスクなども一通り説明はされるのでしょうが、おそらく利回りを気にする人は居ても、リスクについて真剣に捉える消費者は少ないのではないでしょうか。

気にしたとしても、現状だと大幅な円高になるとは考えづらいため、多分大丈夫だという判断をされる場合が多いと思われます。

ところが、為替の変動はどう動くかは全く予測できません。予想を超えた大幅な円高になる可能性も絶対に無いとは言えません。

そうなったときに、そのリスクを真剣に捉えていなかった消費者が、保険金が増えるどころか減っているじゃないか!と苦情を訴えてくる、こんな流れですね。

もう一つの問題はこの手の保険商品は手数料が大変高いということです。

米国債を購入するための米ドルへの両替手数料、逆に円での受け取りをするために米ドルから円への両替手数料、保険商品が元々持っている手数料などなど…とても大きな手数料が内包されています。

また、途中解約時には解約手数料が差し引かれる場合もあります。

これらの手数料で大きく稼ぐのが保険会社、販売する銀行など金融機関の目的です。

資産を増やす目的なら、このような複雑な仕組みの保険商品を買うのではなく、もっとシンプルに米国債のETFやインデックス投信などを購入するだけで良いはずです。何しろ外貨建て保険の儲けの源泉が米国債なのですから…

保険の機能が欲しいなら、保険に絞った安価な保険商品を契約すれば良いだけです。

それらを混ぜると、このような複雑で金融機関、保険会社を儲けさせるだけの商品が出来上がるのです。

確実に儲かるのは金融機関、保険会社であって、保険契約者ではないということを肝に銘じる必要があります。

FPであるヤルシカとしては、資産運用のためにこのような商品を購入されることには100%反対です。

資産運用を含めてライフプランのご相談に乗ります。ぜひ本サービスをご活用ください。



サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す