「100円の水を1万円で売る」を地で行く工夫とは?

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ビジネス・マーケティング
(サムネ画像は代表が撮影しています。)
 営業のスキルを試す「お題」として、「100円のペットボトルの水をどうやって1万円で売るか」というのが有りますが、キュービックジルコニアという工業製品(ダイヤモンドの特性に非常に似た特性を持つ人工石)は、1カラット相当のサイズ(ダイヤモンドではないので厳密にはカラットという表現は出来ません。)でも100円とかそういうレベルの値段の物が8千円から、場合によっては1万円以上で売られています。でもこれはボッタクリでも何でもない正当な価格です。なぜそんなウルトラC(昭和の表現で済みません)が可能なのでしょうか。

 キュービックジルコニアは昭和時代に発明されて(初めて私が聞いたのは1970年代か80年代ぐらいだった気がします。)、その頃はチラシにも「キュービックジルコニアとは云々、、」という説明も有って、天然ダイヤとは明確に区別されていました。当時、アメ横にはキュービックジルコニアを使ったネックレスがどこの宝石店でも売られていて、相場は1本1千円ぐらいでした。とにかく美しく深い輝きで、素人目にも単なるガラス玉とは明らかに違いました。

 で、歳月はあっという間に過ぎて、2016年に定年後起業して、イーウーで仕入れた原価100円のキュービックジルコニアのアクセサリーを500円前後で売ろうとしたら、これが全く売れません。
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 この写真はイーウーで仕入れた物ではありませんが、それと同種の中国からネットで輸入した指輪のキュービックジルコニア(のはず)を代表が近接撮影したものです。カットは理想的ではありません(上面を少し大きく見せている)が、台座のメッキは厚塗りで品質はかなり良かったです。これは売れると思い、別に仕入れた汎用の黒い貼り箱(紙の化粧箱)に入れて出品したのですが、残念ながら全く売れませんでした。もし何かストーリーとか、或いは開運のうんちくとかを添付して、さらにモデル嬢のフリー素材と合成したりして、要は付加価値を高くして値段も2千円ぐらいにしたら少しは売れたかも知れませんが、それでも8千円はとても無理です。

 時間はまた昔に戻って、役所に在職していた2010年頃まで遡ります。
 職場で昼休みに何かの話をしていた時に「アメ横には本物のダイヤみたいなのが売ってる」という流れになり、昭和の昔を思い出して仕事の帰りにアメ横に寄ってみると、なぜかあの安い1千円のアクセサリーはどこにも無く、有るのはどれも8千円前後です。1店だけ、高級品を販売している店で「大変失礼な質問なんですが、キュービックジルコニアは有りますか?」と聞いたら、「アレがそう」と言って指差して教えてくれたのが980円。紛れもない昭和の1千円ネックレスでした。どうやら天然ダイヤとの価値の違いを示すために敢えて陳列している様です。もう1店、別の高級品専門店で同じ事を聞くと「うちでは扱っていない」ときっぱりと言われました。

 ここからいよいよ100円のキュービックジルコニアをどうやって8千円で売っているのか、核心に迫ります。
 その8千円のアクセサリーは「ダイヤモンドのアクセサリー」と書かれた手書きの貼り紙を店頭に掲げている地味な店に有りました。決して高級品を扱っている店には見えませんでしたが、私はその場で1つ買って帰り、帰宅後に箱を開けてなぜ100円が8千円に化けるのか調べてみました。
 箱の中にはアクセサリーとともに、宝石を拡大して覗くための黒い単眼ルーペと説明書が入っていました。説明書には「ルーペで石(ダイヤとは書いてなかったと思います)を覗くと幸運のマークが浮かぶ特殊なカットが施されています」みたいな事が書いてあって、覗いてみると確かにそのマークが見えました。要するに開運商法に近い物ですが、アクセサリー自体は若い女性が全然普通に使える、ちゃんとした品物でした。カットを一工夫するなど付加価値をてんこ盛りにして、100円の工業製品を8千円に大化けさせて売っていたのです。

 キュービックジルコニアは天然ダイヤよりも透明感が有り、輝きがキツイのでその違いを知っている人が見れば一目でそれと分かります。2万円以下のダイヤ付きと称するアクセサリーは大抵キュービックジルコニアですが、しかし私はそれを偽物だなどとは言いません。
 確かに中には「ダイヤモンド」と記載している微妙な物も有るし、今ではキュービックジルコニアと正しく表示している方が少ない(ほぼ無い)のですが、アクセサリーの値段は石だけで決まるものではないし、チェーンが高いのかもしれないので、少しぐらい高くても大きな問題ではありません。

 イーウーは本当に安いけれど、それはあくまでも「半製品」と考えるべきで、素のままザクザク買ってきても、それですぐに10倍で売れるなんて思うのが間違いなのです。

【おまけ】
これはイーウーの空間放射線量です。普通に0.16マイクロシーベルトです。(何の問題も有りません。)
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こちらは上海の空間線量です。数値は同じくらいです。
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日本でも西日本の空間線量はこれくらいらしいです。

(つづく)
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