【詩】「HSP(繊細さん)」

記事
小説
どうせ萎むのに
パンパンに膨らんだ心
ほら、視線で突かれた
とても辿れないから
持ち主がいるのかも分からない視線が
前からも後ろからも
右からも左からも
そして過去からも
心は視線を中心に凹み
いびつな形に膨らんで逃れようとする
その薄いピンク色になったところに
歯が立てられる
「期待してるよ」
誰にも聞かせない悲鳴が上がり
心が割れる

地面と同化した心
無意識に踏みつけられたとしても
もう潰れているから
痛くも痒くもない
あぁ、このままでいられたら
誰にも気付かれないで
何もない状態でいられたら
(なら生まれてこない方がよかったのでは……?)
まぁ、そうなのかもしれない

そうしている内に
ほら、口づけされる
「期待してるよ」
その唇の痛みに捩れながら
心に声援が吹き込まれる
内側で反響し
やはり持ち主の分からない声援を
次から次へと引き連れてくる
「影で頑張ってるのをいつも見てるからね」
「何があっても死にゃしないって」
「気にしすぎないようにすれば?」
「皆そうだから大丈夫」
「長所だと思ったらいいじゃん」
「若いっていうのはいいねぇ」
「試練は乗り越えるためにあるんだよ」
「プレッシャーに打ち勝て!」
心がパンパンに膨らんでゆく
どうせ萎むのに
表面に冷や汗を浮かべながら
張り詰めてゆく 
「はい、頑張ります!」

読んでいただきありがとうございました。
あなたの心を無自覚に守ってくれる人が現れますように。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す