「事実」と「真実」。

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コラム
名探偵コナン君はいつも言う
「真実はいつも1つ!」と。
だが私はコナン君に物申す。
いいや違うよコナン君、1つなのは事実だけよ。

「事実」は、本当にあったこと、現実に存在すること、客観的事実。
「真実」は、嘘偽りのないこと、本当のこと、主観的事実。

周りから羨ましがられるほど仲のいい
老夫婦がいたとしよう。
ある日、妻に異変が起きた。
記憶障害・乱暴・暴言・・認知症の診断が下った。
夫は献身的に介護を続けたが
症状は悪化の一途をたどり
やがて、疲弊しきった夫は
ふと、妻の顔を見た。
その時、昔の穏やかな顔つきで微笑む妻が言った。
「あなた、私を殺して。こんなのは私じゃない。助けて。」
夫の手をギュッと握り、涙を浮かべて懇願する妻。
夫は、妻を抱きしめてこう返す。
「分かったよ。長い間ありがとうな。」
そして、夫は妻の首に手をかけた。
その足で警察に出頭、妻殺害の容疑で逮捕となった。
一部始終を知った彼らの子供たちは
父親を責め、父に任せきりだった母の介護を
後悔するのだった。

ここでの「事実」は1つ
夫が認知症の妻を殺害したこと。

でもここでの「真実」は
「妻を楽にしてあげたかった」
「父の精神的・肉体的限界」
「父にばかり押し付けた子供の責任」
少なくとも、これだけのことが存在している。

事実に対する裁きを言い渡すという事は
人の数だけある真実を1つずつ汲み取り
平等に、公平に考えて考え抜いて
最終的に答えを出さなくてはならない。

なぜ、その「事実」が起きたのか
その理由が「真実」であり
その真実は必ずしも1つではない。

人間関係の中で起こる様々なことに
どうしても振り回されてしまうけれど
「事実」だけに捕らわれず「真実」に目を向けて
立ち回れる心の余裕をもっていられたら
自分を取り巻く環境はきっと
大きく変わって見えるのかもしれない。
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