こんにちは。
今回は”基礎”に着眼して住宅会社の選定のポイントについて書いていきます。
住宅会社選びの良い材料となると思います。
1基礎が重要な理由
基礎が重要な理由は
”基礎”は建築基準法上「構造体力上主要な部分」に該当するものであること。
にも拘わらず現場施工が多い為、品質管理が難しい。
いくら上物の精度が高くても基礎のレベルの精度が悪ければ建物は傾きます。
施工や品質管理がしっかりできていないとクラック(ひび)が入ります。
住宅展示場に行くと基礎工事については
「ベタ基礎が良いのか布基礎が良いのか」
それぞれのメリットデメリットを話されることが多いと思います。
それも勿論重要ですが、抑えておくべきは基礎工事の品質管理方法について!
現場施工である分、しっかり管理できていないと品質が全く違ってきます。
因みに大手ハウスメーカーが「高品質」である理由は
工場でプレカットした部材を使用する工業化製品だからですが、
そんなハウスメーカーでも基礎工事は現場施工がメインになります。
「そもそも現場施工の何が悪いの?」という方は
車の製造を想像してみるとわかりやすいです。
車業界は業界のシェア率は有名な大手メーカーが占めていて、各社が大きな工
場で機械を使って製造しています。人が全て手作りするより精度が高いことが
容易に想像できると思います。
一方住宅業界の大手メーカーのシェア率はおよそ26%程度。
車と同じ命に関わるものなのに、大手メーカーが大半を占めているわけではないんですね。
工業化住宅の方が品質が良くて、工務店が作り上げる家の方が品質が低い!とは一概に言えませんが、作る人によって差が生まれずらいのが工業化製品の良さです。
大手メーカーにしても工務店にしても、現場施工する超重要な部分”基礎”の基本的な知識はつけておきましょう。
2基礎工事の流れ
基礎工事1つを取っても、色々工程があります。
この流れを把握しておくことは損ではありませんし、いい住宅会社選びをする為の大事な知識になります。
それでは基礎工事の概要を説明します。
2.1遣り方
現場で基礎を施工する墨出しを行います。職人さんの精度が問われる1番最初の工程です。
2.2掘削
設計GL(建物を建てる基準高さ)をもとに、土を掘削し、整地します。
2.3砕石転圧
土に直接コンクリートは打設しません。砕石を入れて転圧していきます。
2.4配筋工事【重要!】
超!大事な工事です。鉄筋の施工です。
鉄筋工事は、自分の家だったら自分で検査しないと気が済まない項目の1つです(笑)
何故鉄筋が重要かといいますと
コンクリートは圧縮には強いですが、引っ張りには弱いです。
一方鉄筋は引っ張りには強いです。
鉄筋がコンクリートの弱点を補ってくれます。
配筋は超重要ですので、鉄筋を継ぐ際の寸法やかぶり厚(鉄筋~コンクリート面までの厚み)等、様々な寸法基準が決められています。
鉄筋1本1本組んでいては施工誤差がどうしても出てきます。
現在は鉄筋ユニットというものが主流でトラックで運べる程度で鉄筋をユニット化しています。
工場で溶接工事をしているんですね。因みに溶接工事は外工事では天気にも左右されますので工場の屋根の下で施工しているというのは良いですね。
でもやはり現場施工部分は多いです。
雨ざらし期間が長いと錆びが発生します。
この錆びにも使用可否の基準があります。
結局大事なのは品質管理!
管理基準は決められていますので、
どのように検査を行っているかが大事ですね!
基礎工事の現場管理方法なんて聞かれたらマニアックだな~って思われますし、答えられる営業マンはなかなかいないんじゃないかなと思います(笑)
本当はこのあたりは現場監督さんのお話を聞きたいですね!
因みに「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」の住宅性能表示というものを受けると建築確認検査機関が配筋検査をしに来ます。
施工会社の検査だけでなく第三者機関の目も入ると安心ですね。
住宅性能表示の費用は10万円~20万円が相場です。
因みに住宅性能表示を受けると取得する等級に応じて住宅ローン金利の優遇や地震保険料の割引等のメリットがあります。
2.5生コン打設【重要!】
配筋工事と同様超重要なのが生コン打設です。
これが1番管理が難しい!
というのも生コンは季節(気温)によって管理の仕方が変わります。
冬の施工は大変です。
コンクリートは乾燥に弱い為、湿潤養生が求められますが、水を撒いても真冬は凍ってしまうと逆効果!
はっきり言って自分の家だったら真冬の基礎工事はしないです。
コンクリートは育てるものです。
早く固まれば良いものではありません。
ゆっくりゆっくり強度を出した方が強度は伸びます。
冬の方が養生期間は長く取らなければなりません。
施工期間に余裕がない時に早強コンクリートというものもありますが、私は使用したことはありません。
人間のお肌と一緒で乾燥しないように育てていきます。
とにかく”養生”は大事です。
一般的には一定期間、養生シートをかけて養生します。
たまに生コン打設後、何もしていない現場を見かけますがとんでもないですね、、、
養生しないで晒しておくなんて、
「基礎全部やり替えろ!」
「基礎工事代金返せ!」
と要求されてもおかしくないですからね。養生しないなんて考えられません。
養生なしは絶対ダメです!
養生の管理について必ず確認しましょう。
”写真提出が必須になっている”
等の管理ができていると安心ですね。
また、強度についてですが、生コン打設をする際に一部取り出したサンプルの圧縮強度試験を行って数値管理をします。
サンプルの養生方法は持ち帰って水中養生するパターンが多いですが、
現場封函養生の結果が知りたいところです。
現場で養生してもらい、現場と同じ環境で育ったコンクリートの試験を行うのです。
現場と同じ環境のものでないと信憑性に欠けます。
「圧縮強度試験でこんなに強い数値でした!」
と言われても、全く違う環境で育てたコンクリートと現場の数値は違います。
恐らくテストピースを持ち帰らせるメーカーが多いかと思いますが、お願いすれば現場封函養生もやってくれるはずです。
3プレキャストコンクリート
生コンは基本現場施工になりますが、プレキャストコンクリートという高級商品もあります。
工場の優れた環境の中で徹底した品質管理を受けたコンクリートを現場に搬入する方法です。
現場施工範囲も勿論ありますが、品質の高さ、安定さは抜群です!
このような商品がどんどん普及してくれるといいですね。
4ベタ基礎と布基礎の比較
私のお勧めはベタ基礎です。
ただ、強度上の比較をすると結論は
”一概には言えません”です。
面で支えるベタ基礎。点で支える布基礎。
軟弱な地盤にはベタ基礎が推奨されます。
点で支える布基礎では荷重が分散されず、建物が傾く原因になるからです。
基本的にはベタ基礎の方に優位性はありますが、”バランスのいい建物に限って”です。
自由設計で建物荷重のバランスが偏る設計の場合は荷重点を重点的に支えてあげる必要がありますので布基礎が優位になります。布基礎の方が根入れ深さが深くなる為です。
構造ルールが社内で固く徹底されていて、どの邸もバランスのいい設計にしかならにようなメーカーはベタ基礎を採用していると思います。
一方、自由設計を売りにしてバランスの偏る建物も設計可能なメーカーは布基礎を採用しているのではないでしょうか。
ただ、バランスがいい家しか作らないメーカーでもあまり極端な希望(異常に大きな吹き抜けが欲しい等)がなければある程度自由設計できます。
気を付けたいのは布基礎限定のメーカーで荷重バランスのいい建物を買う事です。
(結果自分が希望したプランが構造上バランスがいいのか、偏ってるかは見極められないですが、、、)
構造計算してみなければ布が良いのかベタが良いのか分からないような会社は布限定にしているケースが多いです。ベタの方が向いている設計プランでも、バランスが偏る建物側に合わせて布基礎が採用されます。
なので、建物プランや地盤調査結果に合わせて基礎を設計してくれない限り、ベタ基礎で統一されている会社を選んだ方が無難かと思います。
構造以外に、湿気やシロアリのことを考えてもベタ基礎が優位です。
特に木造の場合はベタ基礎が安心ですね。
因みに費用はコンクリート量の差だけ若干布基礎の方が安いですが、気にするほどの金額差にはなりません。
5余談~基礎業者の高齢化~
余談ですが、職人の高齢化は業界の深刻な問題になっています。特に基礎業者の高齢化は著しく、近い将来、圧倒的な人手不足に困る住宅会社が増加するでしょう。
夏場現場に行くと、高齢の職人さんが倒れてしまわないかとても心配になります。
ロボットが発達しなければかなり厳しい状況になることが予測されます。
先ほど紹介したプレキャストコンクリートのように現場施工の負担を削減することもこういった問題の解決方法です。近い将来プレキャストコンクリートが主流になってこなければ現場は厳しいでしょう。問題はいかにこういった高級商品を安価で販売できるかといったところです。
配筋工事にしても最近のゼネコンでは鉄筋の結束をロボットが行ってくれるようです。
住宅業界まで発展してほしいところですが、こちらも金額の問題ですね。
ロボットの発達やコンクリートの研究の進歩により、基礎に関しても10年以内には住宅業界にも色々な変化がありそうな予感です。
6まとめ
いかがでしたでしょうか。
住宅選びをする際にベタ基礎、布基礎の選択だけではなく一歩踏み入った"品質管理”に着目するとよりいい住宅会社に巡り合えるかもしれません。