コラム9 心房細動

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コラム
 最近心房細動のカテーテルアブレーションが盛んに行われています。なぜ心房細動は治療をする必要があるのでしょうか?
 一つ目は症状を取ることが目的です。心房細動は発作性(7日以内に元の脈に戻ったり心房細動になったりを繰り返すもの)と持続性にわかれますが、発作性の場合には症状が強く日常生活に支障をきたす場合があります。症状を取る目的で以前は薬物療法が主流でしたが、近年はカテーテルアブレーションにより根本治療が可能です。カテーテルアブレーションで早めに治療をすれば根治率も高く早期治療を推奨します。
 2つ目は脳梗塞予防目的です。これは抗凝固療法を行います。いわゆる血液サラサラを目的とした内服治療です。心房細動を有する患者さんで70歳以上の方、高血圧、糖尿病、心不全症状がある方は脳梗塞のリスクが高まると言われています。心房細動は心房が小刻みに震えているだけの状態で、生理的な心房の収縮がありません。その状態が続くと血液が心房の中で淀み血栓が出来やすくなります。近年は抗凝固療法を導入した上でカテーテルアブレーションを行い正常な洞調律を維持することによって長期的な視点で脳梗塞を予防できるかもしれないといったデータも散見されてきています。
 そして3つ目は心不全予防目的です。心房細動が長期化すると頻脈で心不全になりやすくなります。また、心房筋が間延びし心臓自体が拡大したり弁膜症を併発したりします。ここまで至るには心房細動の発症から少なくとも数年はかかると思われていますが、頻脈や弁膜症は心不全を誘発し、心不全状態が悪化するに伴い心房細動自体も治りにくくなっていくという負のループに入っていきます。心不全予防は心房細動の早期治療を積極的に行うとても重要な一つの根拠となっており、近年やはり心房細動は早期にカテーテルアブレーションによって治療することが推奨されてきています。
 心筋梗塞、狭心症、心房細動いずれもカテーテル治療が非常に有効な病気です。気になる方は早期に循環器専門医に相談しましょう。

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