親亡きあと問題を解決するために

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法律・税務・士業全般
こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。

障害を持つ子の親にとって、いわゆる「親亡きあと問題」という切実な問題があります。

「親亡きあと問題」を解決するために、家族信託を使う方法があります。

例として、父(75歳)と2人の子供がおり、長女(42歳)は健常であるものの、長男(45歳)には知的障害があり、自分では財産管理ができない状態であるとします。

現在、父は長男と同居しており、父が長男の面倒をみています。
そして、自分の死後は、信頼している長女に長男の面倒を見てもらいたいと考えています。

このようなケースでは、父の死後に長男が生活に困らないよう、次のように家族信託契約を結んでおきます。

委託者(財産を託す人):父
受託者(財産を託される人):長女
第一次受益者(信託した財産から利益を受ける人):父
父死亡後の第二次受益者:長男
帰属権利者(信託終了後に残った財産を取得する人):長女

この家族信託により、父の生前は父のために信託財産が使われ、父の死後は、長男のために信託財産が使われます。さらに、長男亡き後に信託財産が残った場合は、その信託財産は長女が取得することになります。

ところで、自身の死後の長男の生活を心配するあまり、遺言により、長男に多額の財産を残したとしたらどうでしょうか。

遺言により、長男に多額の財産を相続させても、知的障害があるため、長男は自身で財産を管理することができません。そのため、財産の管理については結局は成年後見制度を利用せざるを得ないことになります。

成年後見人は家庭裁判所が選任し、原則として弁護士や司法書士などの専門職が選任されます。つまり、まったくの第三者が突然家庭の中に入ってくることになります。
そして、父が遺言で相続させた長男名義の多額の財産は、すべて成年後見人が管理することになります。
さらに、長男が亡くなるまで成年後見は終わらないことになります。もちろん、長男が亡くなるまで、成年後見人の報酬も継続的に発生します。

以上のような問題が生じるため、遺言によって長男に財産を残す方法は避けるべきです。

知的障害を持つ子のためには、家族信託が有効な対策のひとつとなります。

さらに、委託者(父)がペットを飼っている場合は、ペットの命を守るために、ラブポチ信託やアニマル セイブ システムによる対策が必要となることがあります。

なお、知的障害を持つ子に財産を残す方法として「特定贈与信託」という優れた制度もあります。特定贈与信託については次回のブログで紹介します。


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