今日NHKで放送されたバタフライエフェクトを見ました。
ソ連のアフガン侵攻とその後の自由化 ゴルバチョフの登場とソ連の崩壊
これは、現在のプーチン政権の行く末を示唆する内容だと感じてました。
というか、そういう風に感じさせる作りをしてるんですけどね。
ただ、これを見て私は番組の意図とは別に独裁政治の功罪を強く考えました。
日本に住んでいると、民主政治は善のように感じます。
でも、実際には、これまでの政治形態の中で、最も「マシ」というだけです。
独裁政治も変化を迅速に行うという点では、優れている政治形態だと私は思っています。
指導者が理性的で、理知的で、慎み深く、献身的である限りですがね。
ま、これは、八百屋に行っておもちゃを買うくらいに求めづらいものだと思っています。
というのも、独裁の下では、正しい報告よりも権力者に機嫌を損ねない報告の方が優先されてしまいます。
そして、権力者は、その阿(おもね)った報告を信じて、政策を行ってしまいます。
今回のウクライナ戦争は、正しくこの典型例でしょう。
本来の報告を行われて入れば、ウクライナ侵攻を簡単なものと考えるはずがないにも関わらず、側近たちがプーチンのご機嫌を損ねない報告だけを行って、今日の混乱を招いています。
これ、ロシア関連のニュースを以前から見ていれば、一目瞭然です。
こうした状況を見ていると、前漢の重臣の李布という人物の希少性が理解できます。
李布は、漢の前は楚の項羽の臣でした。しかし、漢が天下統一を果たすと、高祖の劉邦から賞金首をかけられるお尋ね者になります。
しかし、漢の重臣・夏侯嬰のとりなしで漢に仕えると、直言居士として諫言役を果たします。
劉邦亡き後、夫人の呂公が国の実権を握りました。
その時期の朝議で、呂公を侮辱した匈奴に対して、樊噲が「10万の軍で蹴散らす」と豪語した時、
李布は「高祖劉邦が40万の軍で戦っても勝てない相手にお前が10万で行っても勝てるわけがない」と諫めたことがあります。
そして、秦王朝の崩壊の主要因は、匈奴討伐に軍を向かわせたことだと主張し、撤回を求めたのです。
呂公の機嫌を損ねて処刑された人もいるにも関わらずです。
以後、匈奴討伐は呂公からは提案されたことはなくなりました。
こうした李布のような存在のいない独裁は危険極まりないなと感じましたね。
それが、番組で出たチェルノブイリ原発隠ぺいの主要因であったり、
ウクライナ侵攻に現れたりするんだろうなあと感じました。
そういえば、お隣の中国も習近平さんも、側近で周囲を固めるなど独裁色が強まっているとか。
今の中国に李布はいるのでしょうか。