よく聞く言葉があります。
「歴史なんて知っていても何の役にも立たない」
これはある面、私も部分的に肯定します。
ただ、それは文化全てに言えることだと思っています。
衣食住を満たすことが優先される時代だったなら、歴史知識は基本的に要りません。
けれど、今の世、少なくとも日本はそうではないです。
むしろ無駄な知識を持っている人の方がより楽しい時間を過ごせることが多いと思うのです。
これは私の経験から感じたことですが、今から10年ほど前になるでしょうか。
映画で、『連合艦隊司令長官 山本五十六』という役所広司さん主演の映画を見ました。
その映画で私がグッときて泣けた台詞がありました。
配下の若き航空兵・牧野が出撃して死んだ時の台詞です。
牧野の死の報告を受けた山本五十六は「そうか、牧野も死んだか」と言って、正面に背を向けました。
私は、これに涙を誘われたんです。
ここまで聞いて、分かった人は相当な歴史好きです。
山本五十六は、長岡藩の高野貞吉の息子として生まれました。
そして、山本家に養子に入っています。
この山本家は、代々長岡藩の家老の家で、戊辰戦争の時、当主だった山本帯刀は、河井継之助の片腕として活躍し、戦死しています。
そして、長岡藩の殿様は牧野氏でした。
武士としての教育を施され、長岡藩の旧家老の名門を継いだ山本五十六は、世が世なら自分が命を賭して守らねばならない主君を死に追いやってしまったという無念が表現されていました。
「そんな知らないよ」という人もいるでしょう。
でも私からすると「知っていればもっと作品の良さ 魅力を感じて楽しむことができるよ」と言いたいです。
大河ドラマでもそうです。台詞には裏打ちされた何かがあります。
それを知っているかいないかで、楽しさが何倍にもなります。
ぜひ、歴史を知って、エンタメをより深く楽しみませんか。
次回は、別の効能についてお伝えしますね。