「ダメよ!」って言われていることをわざとやろうとする子供
「わたし、もう辞めます」全然辞めないのに毎回これ言う社員
「お隣さんに財布を盗まれた」と毎日のように電話をしてくる母
これらに共通していることは何でしょうか?
「私に注目して!」「もっと自分を見て!」
こんな注目されたい心理が隠れているのではないでしょうか
「え?でも注目してほしい気持ちは誰でもあるんじゃないの?」そう思うかもしれません
ただ、少し考えてみましょう
上の例で言うと、「もう辞めます」という社員は自分の不満や要求が認められないから「辞める」という手段を使って「自分の要求を認めてほしい」という目的があると考えられます
「〇〇してくれないから、辞めます」
「〇〇してくれないから、私もやらない」
こういう考え方も当たり前に思うかもしれませんが注意が必要です
相手を変えることはできなので、いつまでもこの要求は満たされることなく続くのです
そしてどんどんストレスを溜め、どんどん自分を苦しめてしまう
実はこのような心の裏にある心理的な段階が5つあります
問題行動の裏にある心理 5段階
①賞賛の要求「私を褒めてほしい!!」
ほめてもらうこと、評価が最も大事
→「競争意識」や「他人との比較」など褒められたい動機を探すようになりますが、褒められない状況になると大きなストレスを感じる
この最初の「褒められたい」感情が全ての発端なんです。これが満たされないことで次の「注目喚起」の行動に移ります
②注目喚起「もっと私に注目して!!」
上記の賞賛の要求が満たされないと、次は別の行動に移ります
ダメと言われていることをわざとやったり、認知症の方なら物盗られ妄想や何度も電話をかけるなどの問題行動になります
※マザーテレサ: ”愛の反対は無関心”
無視をされるほど恐ろしいものはないんです
嫌われても怒られても注目されることの方を選ぶのです
③権力争い「私は正しい!!」
注目によって満たされなかった場合、「権力争い」の行動に移ります
「私は正しい」「常識でしょ」と思った時点で権力争いに入っています
主張して勝つことで自分を満たしたいので、注意すべきことは、「いやいやこうでしょ!」とこちらも同じ土俵に入らないことです
犯行や主張に対してこちらも力でねじ伏せるような態度を取ると、相手の思うツボです
④復讐「いっそ憎んでくれ」
今までの段階は「何とか自分に振り向いてほしい」という期待がありました
ここからは違います。
「愛されないことがわかった。ならいっそ憎んでくれ!」
憎まれてでも困らせてでも繋がろうとする心理
②の「注目喚起」のときよりも、強い行動に出ます。
例えば、自傷行為、嫌がらせ、ストーカーもこの段階です
⑤無能の証明「自分は何もできない人間だ」
最後の段階です
「自分がいかに無能であるか、ありとあらゆるてを使って「証明」しようとします
人生に絶望を感じ、他人からの期待に耐えられず、引きこもってしまったり、病気を抱えてしまうこともあります
そうなると、さらに無能を自分で自覚することになり、スパイラルに陥ってしまいます
ただ最終段階とはいっても、このような心理状態って、意外とありませんか?病気まではなくとも、一生懸命無能を証明しようとする人も仕事で見かけたりします
では、周りは何もできないのでしょうか?何か手立てはあるのでしょうか?
「褒める」より「感謝すること」
「褒めてほしい」という要求から始まり、一貫して「愛情」「安心」「自分に価値があるのかの確認」を求めているように感じます
そんなに冷たい態度を取られたわけじゃなくても、そう感じるのは、幼い頃から「褒められるため」に親の顔色を見ながら、”よくできたら褒められ、できなかったらガッカリされる”経験が染み付いているからです
「あなたはそのままでも価値があるんだよ」
ということを本当の意味で自覚し、気付くことが最も大切です
①「褒める」よりも「ありがとう」
良かれと思って普段やっている「褒める」行為は無意識に「上下関係」を作り上げてしまうものです
上下の「縦の関係」をいかに無くして、「横の関係」を気づくことができるか?この一点を援助のポイントにおいてはどうでしょうか?
②相手の関心ごとに関心を寄せる
とはいっても、なんていったらいいんだろう?どう関わればいいんだろう?
何もこちらから「してあげよう」としなくていいんです
相手が何に今関心を持っているのか?それを聞いて、一緒にそれを共有する
例えば、子供が親と外を歩いていて、急に立ち止まって歩こうとしない時、手を引っ張って「行くよ!ほら立って!」という態度ではなくて、子供が何関心を持って立ち止まったのか確認するんです
「ああ、アリさんを見てたんだ!アリさんたくさんだね!」
相手の関心に関心を寄せるとはこのようなイメージでしょうか。相手にとっては愛情や安心、価値を認められた気持ちになれるのではないでしょうか?そんなことしなくても本来人間は価値を認められるはずなんです
今までの縦の関係から自分の価値を認める勇気が挫かれているのです
「勇気くじき」といいます
関心を寄せる横の関わりが自然と「勇気づけ」になるのです
③どんなことがあっても「信頼」する
どんなに横の関係で関わろうとしても、勇気を挫かれている相手はそれに応えてくれるわけではないのです
援助しようとしているあなた自身も、多かれ少なかれ「勇気くじき」が起きていると思います
期待をしないでください
相手が自分を裏切るかどうかは相手の課題
見返りを求めようとすること自体が「信用」の関係です
「信用」とは「私が助けてあげるんだから、あなたも同じように助けてね」というまさに「縦の関係」なのです(条件付きの関係)
繰り返しますが「横の関係」を作ることが大事なのです
「あなたにどんなことがあっても、私はあなたが良くなると信じます」
これが「信頼」です。条件がないのです
このような関係を構築することが、問題行動のある方への援助に大切なことだと考えます
注意したいのは、決して「介入」しないこと
介入とは相手の課題に足を踏み入れることです。相手の課題を自分がやろうとしないことです
援助とは、信じて見守ること、手を添えることです
いかがだったでしょうか?
アドラー心理学に基づき、考えて行った結果、縦の関係というのは、子育てから学校教育、会社での人間関係全てに当てはまっているように思います
「問題行動」と書きましたが、ほとんどの方は多かれ少なかれご自身にも当てはまったのではないでしょうか?私自身も思い当たることが多くありました
横の関係を築くこと、それが挫かれた勇気をもう一度取り戻して、「本来の自分」に戻ることになる、一つの援助方法だと思います
長い文章でしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。