コンサルタントの働き方として、平日深夜、休日返上で働いているイメージを持たれている方が多いかもしれません。
確かに、プロジェクトで忙しい時期はそういうシーンがありますが、業界全体で働き方改革を推進していますし、以前と比べてだいぶ残業は減少しつつあると感じています。
また、新卒採用や中途採用の面接を通して、入社希望者からワークライフバランスに対する質問が増えてきているようにも感じます。
コンサルティングファームへの入社動機として、自己成長に加えて働きやすさも重視している傾向が強くなってきていると考えられます。
そこで、今回はコンサルタントの休日の過ごし方の実態について、お伝えできればと思います。
プロジェクト状況による繁忙時期
コンサルタントの仕事である問題解決は、非常に多岐にわたります。
プロジェクトタイプやプロジェクト進捗によって、繁忙時期がだいぶ変わってくる印象があります。
長期プロジェクトの場合
比較的長めの中期経営計画策定や戦略立案プロジェクト、全社での横断的オペレーション改革、DX推進に向けたITインフラ構築、などは数ヶ月〜1年超の期間となる場合が多いです。
大規模な全社改革を進める場合、クライアントと協働でプロジェクトを進めていくアプローチが多く、伴走しながらコンサルタントとしての客観的な視点によるバリュー提供を求められます。
そのような場合、クライアント側で意思決定するために重要となる会議の前はかなり忙しくなると思割れます。
企業は生き物で多様なステークホルダーが存在するため、お互いの状況や立場によって考え方が異なります。
プロジェクト期間中に論点が動くこともよくあることですので、状況によって柔軟に進め方を変えなければならないシーンも出てきます。
都度、調整しながら最適解を見つけにいくプロセスをクライアントと共創していくことが求められます。
そういった意味で想定したシナリオで進まない、コントロールできない不測の時には深夜残業や休日返上で仕事をすることもあり得ます。
ある程度、全体をコントロールできるように、プロジェクトの設計やクライアントとの進め方の握りがしっかりできていると不測の事態はそれほど起きないと考えられますが、どれだけ突き詰めて事前に設計していても想定外のことは起こりうることはやむを得ないです。
短期プロジェクトの場合
比較的期間の短いプロジェクトでは、情報を一気に詰め込む必要があるため、深夜残業や休日の稼働も多くなる傾向があります。
典型的な例だと、M&Aに関わるデューデリジェンスで、クライアント側では買収の意思決定を速やかに行う必要があるため、コンサルタントにはスピード感を持って情報の整理、リスク・シナジーの見極めを短期間での分析を求められます。
効率よく効果的に情報取得ができ、スムーズにプロジェクトが進められれば負担を減らすことができますが、相手先から情報開示が遅れたり、想定していた仮説が崩れたり、と短い時間の中で変化が伴いますので、情報に振り回されてしまうこともあります。
ここは、プロジェクトマネージャーの腕の見せ所で、プロジェクトスタートの初期段階でいかに筋の良い論点・仮説を見極められるかがワークライフバランスを実現する上でも重要になってきます。
ポジションによる休暇の捉え方
上述のとおり、プロジェクトの状況により繁忙時期の波は乱高下ありますが、昨今の働き方改革の状況の中、なるべく効率よく仕事をしていけるように、組織の仕組みとして導入され、過残業抑制がファーム全体として浸透してきました。
ただ、役職によって、休暇の考え方が異なると思いますので、こちらについても解説したいと思います。
スタッフの捉え方
スタッフの場合は、基本的に休日に仕事をするということはなくなってきていると思います。
ファームによっては休日はパソコンにログインできないように設定されていたりと、過残業防止を徹底しているところもあります。
ただ、コンサルタントとしてのスキル向上を目指して、週末に学習するという学びに積極的な若手コンサルタントも非常に多いと感じます。
本を読んだり、外部研修に参加したり、今はオンラインでの講座も充実しているため、仕事を効率的・効果的に実施するための自己学習を進めることは推奨します。
コンサルタントで活躍するためには、基礎能力・ビジネス戦闘力を高めていかなければ使い物になりません。
スキルを向上させることにより、仕事にハリも出てきますし、充実します。
また、仕事の中での自分のプレゼンスを発揮でき、楽しみ方も見つけることができると思います。
そのため、休日をうまく活用しながらコンサルタントとしていち早く成長していくことは非常に重要となります。
マネージャー以上の捉え方
マネージャー以上の場合は、基本的に仕事とプライベートの境目がいい意味でなくなってしまうような印象を持ちます。
プロフェッショナルとして、プロジェクト責任者として、作業時間ではなくクライアントへのバリューベースで仕事の価値が測られています。
何か手を動かして作業をするというより、ぼんやりと考えながらどのようなアウトプットでバリューを出すべきか、どのようなプロセスで検討を進めるべきか、プロジェクト中に変化する論点に対して最適解を常に考えながら過ごしているように感じます。
仕事とプライベートをぶつ切りにしているより、うまく双方をバランスさせながら生活を充実させていける器用な人はコンサルタントに非常に向いていると思います。
忙しかったプロジェクトが終わったタイミングで1ヶ月ほどの長期休暇を取ることもコンサルティング業界では稀にありますが、完全に休暇だけだとやることがなくなり、暇を持て余してしんどかったという声もよく聞きます。
生活のベースとして仕事があり、その上にプライベートを載せていけるように、負担なく楽しみにながら仕事とプライベートを両立している方が、コンサルティングファームのマネージャー以上には多いと感じます。
さいごに
コンサルタントの仕事自体が無形のもので、クライアントに満足してもらえればどのようなアプローチを取っても良いことが面白いと感じています。
つまり、決められた答えやアプローチは存在せず、人によってやり方が異なるという不完全なものがコンサルティングサービスです。
そのサービスの性質が故に、働き方について人によって色々な考え方があるかと思います。
今回は、僕なりの私見でコンサルタントの休日の過ごし方について解説してきました。
僕の考えは、休日を休みと捉えるのか、自己成長の余白と捉えるのかによって、仕事に対するモチベーションがだいぶ変わってくると思います。
大きな意思決定を一手に請け負う仕事のため、プレッシャーは相当のしかかる仕事ですが、セルフマネジメントしながらうまく休日を活用することで、楽しみながらも成長も実感できる仕事だと感じます。