研究職博士選考の流れは?やるべきことってなに?

記事
コラム
研究歴7年、28歳男性で生物系研究者の「めいす」です。
博士(医学)の学位を取得しています。

私は来年度から大手製薬企業の研究職として就職します。

今回の記事では、私が製薬企業研究職の博士新卒就職活動を
行なっていた時の、体験談を書いていこうと思っています。
ここでは、まず就活準備編ということで、就活を始めてから
面接に呼ばれるまでをどのようにして過ごしていたのか、また、
その時にやるべきことについて書いていきます。

参考までに、私の就活の結果はこちらです。
■ES通過率 【100%】
■最終面接到達率 【100%】
■エントリーシート通過企業
アステラス製薬、エーザイ、協和キリン、住友ファーマ(旧大日本住友製薬)、田辺三菱製薬、第一三共、中外製薬、ペプチドリーム
■最終面接到達企業
上記のうち、4社
(他の会社はES通過後に選考辞退)

この記事を読むことで、
博士研究職就活に向けてどのような準備をしていけば良いのか
がわかると思いますので、参考にして頂ければ幸いです。

1.博士早期選考とは?

製薬企業が博士課程の学生を研究職として採用する際には、
早期博士新卒採用を行うことが多いです。
この早期採用での就活と一般的な就活の違いを下の図に示します。
例は2024年4月に新卒として入社する場合です。

スクリーンショット 2022-05-24 17.55.22.png


製薬企業の早期博士新卒採用は、入社年の1年半前ごろの夏に行われます。
2024年4月に入社するのであれば、2022年の夏ごろに就活が始まります。

一般的な就活は、入社年の1年前の春ごろから始まるので、
早期博士新卒採用は他とは違いますね。

一般的な就活時期でも博士課程が新卒採用で応募できる企業はあります。
しかし、多くの大手製薬企業は入社年度1年半前の早期博士新卒採用で
博士課程の学生を採用し、一般的な入社年度1年前の採用選考では博士課程の採用はおこなっていないケースが多いです。

そのため、「製薬企業に博士卒業後、新卒として入社したい」という場合は、
この早期採用選考に応募しなければなりません。

今までは、大手製薬企業が主にこの博士早期採用を行なっていましたが、
今は化学メーカーや化粧品メーカーなどその他の業種の大手企業も
博士早期採用を始めています。

一般的な就活のイメージのまま博士課程に在籍していると、
いつのまにか研究職の就活は終わっていたということになりかねません。

就活時期について、しっかりと把握しておきましょう!

2.私の実際の就活スケジュール

下の図に実際の私の就活スケジュールをのせます。

スクリーンショット 2022-05-24 18.02.31.png

こんな感じです。
ここでわかるように、博士研究職の早期選考は非常にスピーディです。
ほとんどのイベントが8月~9月に終わります。たった2ヶ月です。

実のところ、私は7月ごろまでは企業に就職するのか、アカデミアに残るのかをずっと迷っておりました(詳しくは下記の記事にかいております)。
そのため、5月に学振PDの申請書執筆を行なっていました。
なぜ、これを就活のスケジュールに加えたのかというと、
学振PDの申請書を元にして、就活で用いた研究概要書を作成したので、
5月ごろには研究概要書の草稿ができあがっていたことになるからです。

その後、8月初旬に多くの大手製薬企業のエントリーが始まり、
会社説明会、エントリーシート提出、Webテストの受験があります。

9月初旬からエントリーシートの選考結果が徐々にきて、
一次面接に呼ばれます。
選考時期が各社で似ているというのもあり、
私の場合、一週間の平日が毎日面接という週がありました。
オンライン面接だったおかげで一日に2社の面接を受けたりすることもできたので、ここはオンライン面接のいいところだと思いました。

多くの企業が一次面接と最終面接という2回の面接で内定のパターンでした。
3回の面接があるところもありましたが。

大体9月下旬ごろには多くが最終面接が終わってくるかと思います。

つまり、8月と9月にあらゆるイベントが詰まっているので、
早く終わるという面ではいいですが、大変ではありました。

化学メーカーなどのその他業種の博士早期選考は、大手製薬企業の早期選考が終わりかける頃から始まっていました。
また、中堅の製薬企業の早期選考も大手よりは開始が遅かったです。

3.準備するべきこと

ここでは就活に向けた準備をどうすべきかについて、
時系列に沿って書いていきます。
上記のスケジュールは2023年卒新卒採用のスケジュールなので、
今後はスケジュールに変更があるかもしれませんが、
概ねは一緒だと思います (8月初旬にエントリーが始まる)。

3-1. 6月(エントリー開始時期2ヶ月前)

この時期にすべきだと思うことはずばり、研究概要書作成です。
こちらの記事にも書いておりますが、
研究概要書は研究職就活の最も大事な書類です。
私の場合、この時期はまだアカデミアに残ろうと思っていて、
少し就活について調べておく程度で熱心には取り組んでおりませんでした。

しかし、先にも書きましたように私は、5月に提出した学振PDを元に
研究概要書を作成しましたので、すでにこの時期には研究概要書の初版は
できていたことになります。

私は、学振PDを書いておいて本当によかったと思っているので、
皆さんには6月~7月あたりには研究概要書の初稿を完成させることを
強くお勧めします。後から、心の余裕が違ってきます。

それ以外の就活(企業研究、自己分析、Webテスト対策)などは、
まだやらなくていいと思います。それよりは、研究活動に注力しましょう。

3-2. 7月(エントリー開始時期1ヶ月前)

7月あたりにやっておくといいと思うことは以下の4つです。
①研究概要書の完成
②エントリーが開始していないかのチェック
③自己分析
④Webテスト対策

①研究概要書の完成
まず、メインのやるべきことは研究概要書の作成です。
この時期には初稿を作っておいて、色々な人にみてもらいましょう。

私の場合、製薬企業の研究職に勤めている先輩や
、他の研究室のポスドクの人に添削してもらいました。
なるべく自分のテーマを知らない人に見てもらい、初見でも理解できるのか、おもしろさが伝わるのか、を気にしていました。
そして添削の内容を加味して、研究概要書を仕上げました。

研究概要書をこの時期に仕上げておくと、非常に良いです。
最も大切な書類なので、早めに完成しておくと心の余裕が違います。

私の方でも研究概要書の添削サービスをしております。
お手頃価格の1000円に設定しておりますが、それ以上の価値があるサービスだと思っております(学振添削サービスでは最高評価を複数頂きました)。
以前研究概要署の添削を行った後輩は、その後大手製薬企業から複数内定をもらっておりますので、是非皆様もご購入を検討いただければ幸いです。

②エントリーが開始していないかのチェック
また、選考を受けたい企業のホームページをみてエントリーが始まっていないかを時々チェックしておきましょう。
企業によっては、すでにエントリーが始まるかもしれません。
(私の時はアステラス製薬と大塚製薬がすでにエントリー受付していました)。

③自己分析
この時期に自己分析を始めておくと、エントリーシートが書きやすいです。
自己分析ってすぐにできるかと思うのですが、意外と時間がかかります。
というのも、意外と自分の価値観だったり軸って、自分でもわかっていないんですよね。

自己分析しておくといいことは、

ー心理面ー
・自分の強みと弱み
・譲れない価値観
ー志望動機面ー
・なぜ製薬企業なのか
・どのような研究者になりたいのか

だと思います。
このあたりの自分の考えを固めておくと、
エントリーシートが書きやすいですし、面接の時にも受け答えしやすいです。

自己分析のやり方として、ひたすら"なぜ"を繰り返すのです。
なぜ→答え→なぜ→答え、、、、、、と
"なぜ"を繰り返すことで、自分の根底にある価値観がわかってきます。

この自己分析は、就活に限らず、自分を知るという面も良いですね!

また、自己分析の無料診断ツールなどを使うのも良いでしょう。
例えば、「Future Finder (あなたの知らないあなたが見えてくる)」という
サイトの無料自己分析診断は私も使ってみました。

④Webテスト対策
Webテスト対策もやっておくといいかもしれません。
私はエントリー始まってから始めて、ぎりぎりすぎて不安要素になっていたので、早めにやっておくに越したことはありません。
私はほとんど締切寸前でテストをうけていました笑

個人的には、製薬企業のWebテストは高得点の必要はないと思います。
私は、たぶん平均で正答率6割くらいなんじゃないかという体感です。
コンサルとかだと9割くらいとらないといけないので、ガチ目に勉強する必要はありますが、製薬企業は参考書を一回やってみるのでいいと思います。

なのでこの時期から、SPI, TG-Web, 玉手箱あたりの参考書を買って、
少しずつ解いていけばいいと思います。

各企業のWebテストの形式は、Onecarrierといった就活サイトにのっています。私の記憶が正しければ、

アステラス製薬 : 名前がわからない。他ではなかったSPIのようなもの。
エーザイ : SPI
協和キリン : TG-Web
住友ファーマ : テストセンター
田辺三菱製薬 : 忘れました、、たしかSPIとTALだった気がします
第一三共 : 玉手箱の「空欄の推測」
中外製薬 : TAL
ペプチドリーム : 無し

全体的にSPIの形式が多いイメージですね。
また、裏技なのですが、WebテストのURLをみると何のテストかわかります。
「Webテスト URL」とググってみてください。
私は、これをみて、Webテストの案内がきたら、途中まで開いて何の形式か確認した後に、参考書で勉強するというギリギリ戦法で挑みました笑

3-3. 8月(エントリー開始)

私(2023卒)は8月頭に多くの企業がエントリー受付を開始し、
エントリーシートと研究概要書の提出締め切りはほとんどが8月中でした。
なのでここからが本番です。
今まで書いたように研究概要書はすでに完成版を用意しておきましょう。
ここから作るのは正直、遅いと思います。

8月にやるべきことは以下の4つです。
①企業研究
②エントリーシートの完成
③Webテスト
④面接用研究発表資料の作成

①企業研究
企業研究はエントリー始まってからで遅くないです。
企業研究の方法は、会社説明会に行くこと、そして、ホームページを見ること
です。

会社説明会に参加するのは、言わずもがな大事です。
ホームページにはない情報だったりも手に入れられます。

そして、ホームページの情報もよくみましょう。
企業理念だったり、どのような事業に取り組んでいるのか、
強みの技術は何なのか、といった情報が得られます。
また、投資家向け情報を見るのも良いでしょう。

特に中期経営計画という、企業が投資家向けに業績や事業プランを説明する
資料があるのですが、会社の現状や将来ビジョンがわかります。
中期経営計画は見ておくとよいでしょう。

また、業界そのものの研究ですが、最近良い本をみつけました。
橋本宗明【著】「コロナと創薬 なぜ日本の製薬企業は出遅れたのか」
です。

コロナとありますが、コロナだけでなく、日本の製薬企業の問題点や、
どのようにして画期的な新薬が作られたのかといったストーリーが垣間見れます。
この本を読んでおくと日本の製薬業界への理解が深まるでしょう。

②エントリーシートの完成
さて、エントリーシートですが、ここでは自己分析が生きてきます。
研究職のエントリーシートの書き方は以下の記事にあります。

ここでエントリーシートの裏技なのですが、OnecarrierやUnistyleの内定者のESをみて、真似してみましょう(もちろんコピペはアウトです!)。
どのような論理展開がいいのか、企業が好む内容は何か、といった情報が得られます。
自分の経験に置き換えて書いてみるだけで、結構良い文章ができます。

③Webテスト
WebテストもESの提出と同時か、提出後少し経ってから受験します。
先ほど7月の項目でWebテストの勉強をあげておきましたが、
8月に入っても続けておいて問題ありません。

受験の期日をきちんと確認して、受験しましょう。
先ほども言いましたが、高得点は必要ありません。

④面接用研究発表資料の作成
これは正直、この時期から作っておくべきかはわかりません。
私はまだ手をつけていませんでした。
そもそも面接に呼ばれるかわからないのに作っておいて、
もし全て落ちたら時間の無駄だと思っていたからです。

私は確か8月下旬に一つ目のES通過連絡がきたので、
そこから作成しました。あまり時間に余裕がなかったのですが、
普段から研究発表はしているので、そこまで大変ではないと思います。

ただ不安な方や、通る自信のある方は、8月ごろから発表資料を作り始めていてもいいかもしれません。
発表時間は10分のところが多いので、それに合わせて作成しましょう。

4. 最後に

ここまできたら、あとは面接を通過するだけです。
多くは面接が2回だけなので、スピーディに終わるはずです。
研究職の面接に関しては、こちらの記事に書いてあります。

いかがでしたでしょうか。
博士早期採用の面接に呼ばれるまでの流れが理解でき、
それぞれの時期でなにをするべきかが、分かりましたでしょうか。

ココナラでは研究職就活をサポートするサービスをしております。
是非、チェックしてみてください!
内定獲得にきっとお役に立てると思っています。

ビデオチャットを用いた就活の一般的な相談や面接対策はこちら↓

ESの添削はこちら↓

研究概要書の添削はこちら↓



サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す