小規模事業者持続化補助金の概要とポイント

記事
ビジネス・マーケティング
ご覧いただきありがとうございます。この記事では小規模事業者持続化補助金について解説しています。

この記事で分かること(要約)
①小規模事業者持続化補助金の概要
日本政府が小規模の事業者を支援する制度で、業務効率改善のための出費であればかなり幅広く補助される。採択率が60%前後で高いにもかかわらず、補助率は2/3、補助金額は原則100万円と大きい。

②補助金の事例
様々な業種での採択実績がある。この補助金を機に、コスト構造を大きく改革し、業績を向上させた事業者もいる。

③補助金申請のフローと申請時の注意
小規模事業者持続化補助金は申請してから、採択が決定された後に出費が認められる形の補助金である。また補助金を用いた事業は1年で完了し、実績を報告しなければならない。申請の際には、審査ポイント・加点ポイントをよく確認しつつ客観的な計画書を作成するのが非常に重要である。

補助金の概要
補助金の趣旨
 「小規模事業者持続化補助金」(以下、「持続化補助金」と略します)とは、日本政府がインボイス制度や働き方改革等経営環境の変化に対応しなければならない小規模事業者を支援するため、2020年に創設した補助金制度です。
以下が持続化補助金の主な特徴です。
給付金額:1件あたり50万円まで(ただし条件を満たすことで最大200万円まで給付されます)
補助率:2/3(ただし条件を満たすことで3/4まで補助されます)
使途:賃料の支払いや機械装置費など、事業継続に必要な経費に使うことができます。
採択率:60%を超えて推移しており、比較的採択率の高い補助金の一つです。
スクリーンショット 2023-09-25 094838.png

持続化補助金採択率 (出所:商工会議所HP等を参照して計算)
もう少し詳しく見ていきます。

補助金の対象
①対象事業者
 持続化補助金の補助対象事業者は表の通りです。持続化給付金と異なり、売上に関する規定が無いことに注意しましょう。新型コロナウイルスの影響で売上が大きく減少した事業者様以外も申請が可能です。
スクリーンショット 2023-09-25 094908.png

小規模事業者持続化補助金 対象事業者 (出所:小規模事業者 持続化補助金公募要領)
ただし下記の事業者は給付対象外となります。
一般財団法人、公益財団法人
医師、歯科医師、助産師
医療法人
宗教法人
学校法人
農業組合法人
など。

②対象経費
 続いて、持続化補助金の対象となる経費について確認しましょう。公募要領には下記のような事業が補助の対象となるとあります。
策定した「経営計画」に基づいて実施する、地道な販路開拓等(生産性向上)のための取組であること。あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。
小規模事業者 持続化補助金公募要領
具体例を挙げてみます。
新たな広告の作成・運用
新たなチラシの作成・頒布
展示会への出展
商品管理の効率化のためのソフトウェア構築
売上管理の効率化とデータ分析のためのPOSレジの導入
労務・勤怠管理のシステムを新たに導入し、管理業務を効率化する
新製品開発にあたって専門家にコンサルティングを受ける
 このように、新しい顧客を獲得するための取り組み・ITや専門家を活用した業務の効率化によって発生する費用が経費の対象となります。改めて、対象となる経費の種類を列挙してみます。
スクリーンショット 2023-09-25 094943.png

小規模事業者持続化補助金 対象事業者(出所:小規模事業者 持続化補助金公募要領)

③補助金額と補助率
 次は、補助率と補助金額について確認します。補助率は基本的には2/3となっています。しかし、下記の表の条件を満たし「賃金引上げ枠」で申請することができ、かつ赤字の事業者であれば3/4まで引き上げることができます。
 補助金額についても、下記の表にまとめています。多くの事業者が通常枠で申請しているので、基本的には50万円と考えておくのがよいでしょう。
スクリーンショット 2023-09-25 095006.png

小規模事業者持続化補助金 補助率と補助金額上限(出所:小規模事業者 持続化補助金公募要領)

④補助金の条件
 ここでは補助金の対象とならないものを紹介し、補助対象経費の条件をより明確にしておきたいと思います。公募要領にも記載がなく、対象か不明な場合は、補助金事務局へ確認するのがよいでしょう。
補助事業の目的に合致しないもの
 目的に合致しないものの他、通常の事業活動で汎用的に使えるものも「目的に合致しない」と判断されてしまうので注意が必要です。
【例】駐車場代、敷金、仲介手数料、クラウドファンディングの手数料、光熱水費、電話代等の通信費、新聞代、PC、消耗品、飲食費用
交付決定前に発注・契約、購入、支払い等を実施したもの
 補助金交付決定前の発注・契約・支出は経費として認められません。条件を満たしたものの購入であっても補助金が出ないため、必ず交付の決定があってから出費を行うようにしましょう。
 ただし、見積もりを行うことについては制限されていません。申請に必要であれば見積もりを行い、必要な金額を正確に把握するべきと言えます。
必要な経理書類を用意できないもの
 補助対象となる経費の証拠となる見積書・請求書・領収書・契約書の書類がないものは対象になりません。持続化補助金では専門家からのコンサルティング費用等なども対象になりますが、必ず契約書を結んでおくようにしましょう。
補助金の実例
 この項目では過去に持続化補助金が採択された事業の例を紹介します。
①飲食店の例
 新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが減少した飲食店では、デリバリーサービスを開始するための物流体制整備や、感染予防グッズや消毒液の導入、テイクアウト専門店への移行に補助金が活用されています。特にテイクアウト専門店への移行は、注文から決済までを顧客のみで完結できるようなシステムを構築して様々なコストカットを達成し、業績向上にもつながりました。
 また、既存のテイクアウトメニューに加え新たにメニュー開発に着手し、地元の農家から新鮮な食材を調達し、自社で熟成させたメニューを提供するなど、事業の多角化にも取り組むことができています。
 このように持続化補助金はコスト構造を変革する良い機会です。事業計画の策定は申請に必須となるので、この点も合わせて考えてみてはいかがでしょうか。
②オンラインショップの場合
 新型コロナウイルス感染症の影響で店舗の来客数が減少した小売店では、オンラインショップの構築や運用、商品の写真撮影や編集などに必要な機材の導入、また商品の配送に必要な梱包資材や発送用のシステムの導入に補助金を活用しました。
 さらに顧客とのコミュニケーションに力を入れ、ロイヤリティを高めています。SNSやメールマガジン、オンラインショップのコンテンツの充実を行った結果、以前より平均決済単価が上昇したケースもあります。
③美容室の場合
 新型コロナウイルス感染症の影響で、美容室での接客時間が短縮されたため、コロナ禍に合わせた新しいサービスを提供するための研修や、空気清浄機や消毒器具などの設備の導入に補助金が活用されました。
 また、予約システムの見直しや、ホームページのリニューアルにも取り組んでいます。
④農業生産者の場合
 ある農業生産者は、自社農園で収穫した野菜を直接消費者に提供する取り組みを行っていました。しかし、市場やスーパーマーケットなどの販路が限られており、収入の増加につながりませんでした。そこで、この生産者は小規模事業者持続化補助金を申請し、フードトラックの導入やイベント出店に必要な経費に対して支援を受けました。
 「地産地消」「オーガニック」といったキーワードを押し出して販売した結果、生産者は新しい販路を開拓することができました。

補助金申請のフロー
 小規模事業者持続化補助金の申請までのフローは下の図のようになっています。
スクリーンショット 2023-09-25 095047.png

小規模事業者持続化補助金 申請フロー(出所:小規模事業者 持続化補助金公募要領)

申請時の注意点
 最後に持続化補助金の申請において、重要な点・注意点をいくつか挙げます。 
 まずは審査のポイントを下の表にまとめました。これらの審査ポイントを意識した事業計画の作成が補助金採択に直結します。加えて、有用な市場分析や事業費計上の前提となる収益モデルを作成することで採択官にアピールができます。また、これまでの採択事例を参考にIT活用を盛り込むことも評価を上げることにつながるでしょう。
 事業計画の作成においては、顧客からの評価を載せることもアピールになります。例えば、自社の強みに関して顧客にアンケートをとり、その強みが客観的なものであることを示したり、価格についてアンケートをとることで値上げの余地があることを述べたりといったことです。

スクリーンショット 2023-09-25 095119.png

小規模事業者持続化補助金 審査ポイント
 次に載せるのが、小規模事業者持続化補助金の加点ポイントです。小規模事業者持続化補助金は加点方式で評価されます。下記の項目を満たすことで、加点が大きくなり採択されやすくなります。
 電子申請加点については必ず獲得するようにしましょう。特別な条件は必要なく、補助金の申請をシステム上で行うだけで採択されやすくなるためです。ただし、事前にシステムを利用するための「GビズID」の取得と登録が必要です。取得に時間がかかる場合があるため、申請に間に合うように余裕をもって準備をする必要があります。
スクリーンショット 2023-09-25 095148.png

小規模事業者持続化補助金 加点ポイント
以上になります。
最後に、もう一度要約を掲載しますので、ぜひおさらいしてください。
①小規模事業者持続化補助金の概要
日本政府が小規模の事業者を支援する制度で、業務効率改善のための出費であればかなり幅広く補助される。採択率が60%前後で高いにもかかわらず、補助率は2/3、補助金額は原則100万円と大きい。
②補助金の事例
様々な業種での採択実績がある。この補助金を機に、コスト構造を大きく改革し、業績を向上させた事業者もいる。
③補助金申請のフローと申請時の注意
小規模事業者持続化補助金は申請してから、採択が決定された後に出費が認められる形の補助金である。また補助金を用いた事業は1年で完了し、実績を報告しなければならない。申請の際には、審査ポイント・加点ポイントをよく確認しつつ客観的な計画書を作成するのが非常に重要である。

宣伝
当社では政府系金融機関出身のプロが事業計画書の作成サポートを行っています。ヒアリングシートに記入するだけのカンタンプランからビデオ通話によるコンサルティングを通じたバッチリプランまで幅広いニーズに対応しています。この機会にぜひご活用ください!


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す