こんにちは、転職コーチのさやです。
前回のブログでは、「応募書類の見た目は想像の10倍くらい大事」という基本の基本をお話をしました。
要約すると、日々の業務で多忙な採用担当者は、書類の体裁から人物像をある程度想像し、明らかにNGなものは中身もちゃんと見ずに不採用にすることもある。だからレイアウトって侮れないんです、という内容です。
今回は、同じく採用担当者の目線から『「なんかよくわからん」と思わせる応募書類は即不採用になっちゃうよ』というお話をします。
レイアウトがばっちりでも、内容がよくわからなければ書類通過しない。
そんな当たり前な話から、じゃあ実際どういうところがわかりにくいの?どんな点に注意すればいいの?という具体例をお伝えしていきます。
応募書類を作成する際だけでなく、あらゆるアウトプットに共通する考え方です。ぜひご一読ください。
内容がイマイチわかりにくい応募書類
本当によくあることなのですが、「よくわからん」と思わせる履歴書・職務経歴書がたくさんあります
イマイチどんな経験のある、何ができる人なのかわかりにくい。
「よくわからん」となれば、残念ながらその時点で不採用になることも珍しくありません。
では、実際にどんな点がわかりにくいのか。特に多い事例をご紹介します。
①業務の詳細がわからない
特に多いのが、「業務の詳細がわかりにくい」です。こんな職務経歴書をよく見かけます。
株式会社●●商事 20XX年X月~20XX年X月
・総務部 (部長以下5名)
事務アシスタント
◆◆株式会社 20XX年X月~20XX年X月
・総務部 (部長以下3名)
・20XX年X月より主任
はっきり言って、さっぱり何をしてきた人なのかわかりません。
「いや、総務で仕事してたんですよ!」と思われるかもしれません。
でも、「総務の仕事」って、何を想定して書いていますか?
一口に総務といっても、実際にはこんなに仕事の幅が広いもの。
■オフィス管理
・事務用品の調達と管理
・オフィススペースの管理と設備保守
・会議室の予約と管理
・印刷、コピー、スキャンのサポート
■環境・安全管理
・建物のセキュリティとアクセス管理
・災害対策と危機管理の計画と訓練
・環境保護とリサイクルプログラムの実施
■コミュニケーション・社内広報
・社内文書の作成、保管、配布
・電話、メール、ファクスの管理
・社内通信と情報共有
■取締役会・株主総会などの運営
・会議準備
・議事録作成
・関係者のスケジュール調整
その他にも、給与計算などの人事・労務的な業務を担う会社、ヘルプデスクの要素のある会社、経費精算などを担当している会社など、「総務」が担当する業務は、会社の数だけ異なります。
「総務の仕事っていえばわかるでしょ」という考えは、相手視点が足りません。
もし今回の求人が「取締役会の運営経験がある総務の人に来てほしい」だった場合。
「総務部 事務アシスタント」「総務部 主任」の経験者であるこの阿多は、取締役会の運営経験があるでしょうか?
あるかもしれないし、ないかもしれない。
これでは、書類選考を通過させられません。
「概要は書いているし、詳細は面接で伝えればいいや」は通用しません。
なぜなら、面接で話す機会は訪れないからです。
今回は総務を例にしましたが、どんな部署であっても企業ごとに役割が違います。「事務アシスタント」が担当する具体的な業務内容も異なります。
応募書類にさらっと概要だけ書いて、詳細を書かないのはもったいなさ過ぎる。
「私にはこんな経験があります!」
「コレ、やったことあります!」
そんなアピールが、書面から伝わってこなければ書類選考は通過しないと考えましょう。
②担当範囲や役割がわからない
ご自身の役割や担当範囲がよくわからない書類も、散見されます。
例えば、都市開発のプロジェクト経験のある方の場合。このような職務経歴書がよく見受けられます。
■A開発プロジェクト 20XX年X月~20XX年X月
・開発地:東京都渋谷区○○駅前
・予算:●億円
・担当:施工管理
「ああ、あの有名なA開発プロジェクトに携わっていたのか!」ということはわかります。
でも、この方はA開発プロジェクトで一体どんな役割を担っていたのでしょう?
「施工管理って書いてるから、建設フェーズで施工の仕事をしていたんだな」くらいはわかります。
でも、責任者だったのか、担当者だったのか。
プロジェクトのどこからどこまで関わっていたのか。
ご本人の役割や担当範囲がわからないのです。
上記の「業務の詳細がわからない」と似ていますが、こちらは実績として携わった業務自体はある程度わかります。でも、その人の役割が見えてこないので、実態や実力が見えてきません。
だから、「部長」のような役割だけ書くのもイマイチで、どんな職務を持っていたのか、何人の部下をマネジメントしたのか、具体的に書いてほしいところ。
③経歴がわからない
最後に。これはおまけ的にご紹介します。経歴に謎がある書類も、よく見かけます。
1990年4月~1994年3月 ○○大学 ○○学部
1995年1月~2020年5月 株式会社A
2021年1月~現在 株式会社B
おや?
この方は、○○大学を卒業した後、何をしていたのでしょう?株式会社Aを退社して転職するまで半年ちょっと期間が空いていますが、どうしたのでしょう?
もしかしたら新卒の就活で失敗してアルバイトをしていたのかもしれません。
短期留学に出ていた可能性もあります。
特に理由すらないのかもしれません。
でも、「わからん」のです。
どこかに「大学卒業後は、自分の納得のいく就職活動ができなかったため、アルバイトで生活費を貯めながら就活を継続」みたいな記載があるだけで、読む人の違和感を減らせます。
「なるほど。就職氷河期真っ盛りの時期だもんね。苦労されたのかもしれない」と一応の理解ができます。(実際のところがどうかは別として)
「こんなこと書いてもしょうがないかな」と思うかもしれませんが、採用側から見ると経歴の空白は気になるもの。
空白があるからといって即不採用になることはありませんが、書いてくれていると安心できます。書き方には注意が必要ですが、できるだけ空白がないように記載しましょう。
【企業視点で考える】よくわからない応募書類がきたら
ここで、もうちょっと想像を広げましょう。
もし、良さそうなんだけど「よくわからない」応募書類が来たら、採用担当者はどうすると思いますか?
状況によっていろいろですが、以下3つのパターンが考えられるでしょう。
【パターン1】ちょっと不明点はあるけど、求めていた経験に近いのかもしれない。とりあえず会ってみて詳細を確認しよう!一次面接だ!
【パターン2】ちょっと気になるけど、詳細がよくわからんなぁ。紹介してくれたエージェントに問い合わせてみようかな。(でも正直ちょっとめんどくさいな。ちゃんと書いてくれてればいいのに。)
【パターン3】うーん。ちょっとよくわからんな。同じポジションでしっかり経歴がわかる書類も届いてるし、この人は不採用でいいな。(わかるように書いてくれない時点で、期待できないしな。)
どのパターンが多いでしょう?
肌感覚で恐縮ですが、よほど高度な資格を持っているとか、所属していた企業が気になるとかでない限り、パターン3の即不採用が多いと思います。
「確かめるのがめんどくさい」という理由もないわけではないのですが、こんな思考が働くからです。
・自分視点が強い人で、相手目線で考えるのが苦手なのかもしれない
・応募書類の目的を理解できていないのかもしれない
・ビジネスリテラシーが低いのかもしれない
・本気で応募してきていないのかもしれない
採用担当者は、自社に合う人材を血眼で探しています。だから、小さな「わからん」くらいなら面接に進める可能性はあります。
でも、「書面から魅力が伝わらない」くらいの「わからん」である場合、そもそもビジネスマンとしての素養を疑わしく思ってしまい、あえて時間を取って会おうとは思わなくなってしまうのです。
商品販売で考えてみると
ちょっと思考を変えて。転職の応募書類じゃなくて、商品の営業資料で考えてみましょう。
例えば、あなたが新しい業務管理ツールを必死で探しているとき。
「なんか良さげなデザインだけど、性能がよくわからん」という商品に出会ったら、わざわざ問い合わせて詳細を確認しますか?
たぶん、しませんよね。
世の中にツールはあふれています。わざわざわかりにくい商品を取り上げて、1つ1つ調べていたらキリがありません。
そもそも、営業書類がわかりにくい段階で、導入したところでサポートも不十分なのではないか、大した機能がないのではないか、と疑ってしまします。
一方、「まさしく私が求めていた機能だ!!」という内容が、わかりやすく記載されている営業資料を見つけたらどうでしょう。
「一度担当者に会って詳細を聞かせてもらうかな」
となりますよね。
応募書類も同じなのです。相手が「イイネ!」と思うように作らないと意味がない。
フォーマットに従ってとりあえず項目を埋めても魅力的にはならないし、「面接で会って詳細を話そう」は、通用しないのです。
具体的な対策
では、どうするか。
採用担当者に「なんかよくわからん!」と思われないような、書面だけで職務経歴や強みがわかる書類を作る必要があります。
・経験した業務の詳細がわかる
・実績の詳細がわかる
・自分の役割や業務範囲がわかる
これらは、職務経歴書に書くべき最低限の情報です。最初の総務の例でいうなら、以下くらいの記載は必要です。
株式会社●●商事 20XX年X月~20XX年X月
・総務部 (部長以下5名)
事務アシスタント
総務部の年間計画に基づき、メンバー2名と以下の業務を担当。
・オフィス管理(事務用品の管理と調達、会議室の保全)
・ビルメンテナンス関係(防災訓練の企画・運営、定期清掃の手配)
・社内広報(月1回の社内報の企画・取材・執筆・配信)
・その他庶務全般(電話対応、来客対応など)
もし職務経歴が長くて複雑な方は、特に企業にアピールしたい部分を詳細に記載し、それ以外を簡潔に書くのもOKです。
とにかく、企業側に「なんかよくわからん」と思わせないこと。
「総務は総務でしょ」と自分目線にならないこと。
相手の読む負荷を減らすこと。
端的に経験した業務内容がわかること。
「面接で話せばいい」と思わないこと。
一発勝負の書類選考です。読む人の視点に立って、わかりやすい書類作りに全力を掛けましょう。
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