【基礎編/これを書いたら落とされる】小論文の禁止事項

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(1)はじめに


 小論文は設問の意図や範囲から外れなければ、原則何を書いてもいい。 

 原稿用紙は自由な空間と呼んでもいい。そう考えてください。 

 ただ、何を書いてもいいからと言って、本当に自由に書いて不合格となっては困ります。  

 そこで今回はこれをすると減点、零点になる、、不合格になるという禁止事項、注意事項についていくつかお話をします。 

(2)指定字数の違反


 指定字数を1文字でもオーバーしていたら0点になります。これは注意しましょう。逆に9割(8割)に満たない場合も減点になる場合があります  

 8割か9割かは大学によって異なります。

(採点基準は非公開なので本当のところはわかりません)

 安全のために指定字数の9割以上で書きましょう。 

 原稿用紙の使い方の章で述べますが、句読点も含めて1マス1文字で記入してください。英数字は1マスに2文字を入れることが原則です。 

スクリーンショット (1391).png


(3)小論文で減点されるケース


①原稿用紙の誤った使いかた

 原稿用紙の正しい使い方で書きましょう。  

 詳しくは別の回で機会を改めてお話します。 

 原稿用紙の使い方が誤っていると減点です。 

②誤字・脱字


 誤字・脱字は当然、減点です。

 後から誤字・脱字を発見して、文字を線で消して上または横に書き直すのも減点です。誤字・脱字を見つけたら、消しゴムで丁寧に消して、場合によっては文全体、段落全体を書き直しましょう。 

③送り仮名について

 送り仮名は国語で習った通りのルールで書くこと。 

 習ったことがないケースでは、公用文でのルールを用いることが望ましいですが、明らかに誤っていなければ許容されます。 

 たとえば、「かいあげ」は公用文では「買上げ」と表記しますが、入試小論文では「買い上げ」と書いても許容されます。 

 ただし、文学部や教育学部を受ける場合には、送り仮名は公用文でのルールを厳守したほうがいいでしょう。違反する表記は減点される可能性は低いですが、公用文表記は知っていても損はないと思います。

 送り仮名は公用文でのルールは文化庁のホームページを参考にしてください。 

④設問の指示に従っていない

 指定字数も含めて、設問の指示に正しく従うこと。 

 設問の指示に従っていない場合は減点になります。 

 たとえば、使用する単語がいくつか提示されていて、「その単語を必ず使うこと。使用する際には、下線を引け」という指示をうっかりして、単語を1つ使うのを忘れる、使用した単語に下線を引き忘れる、というミスがよくあります。これも減点になります。単語を使用するたびに、設問文の単語を二重線で消す、小論文をすべて書き終えたあと、単語をすべて使用しているか、単語に下線を引いているか、など見直しを必ずしてください。 

 それ以外でも、設問文とずれた答案を多く見かけることがあります。 

 きちんと設問文を読む。これは小論文だけでなく、試験での鉄則です。 

⑤その他

●主語で「俺」「僕」「自分」は禁止

 主語は漢字で「私」と書くこと。 

●敬語は正しく使うこと

 敬語の誤りも減点となります。敬語は正しく使いましょう。 

●引用ルールの違反

 参考文や誰かの文章を引用する場合には、きちんとカギカッコをつけること。参考文の文章についてカギカッコをつけずに引用したら減点対象となります。

●PC(ポリティカル・コレクトネス)に反した表現

 PC(ポリティカル・コレクトネス)という言葉は初めて耳にしましたか?

 日本語では「政治的正しさ」という言葉で翻訳されることが多いです。

 これは最近、欧米では厳密に守らなければならないルールになってきています。


 PC(ポリティカル・コレクトネス)を簡単に言うと、人種、宗教、性別などにかかわる差別的な表現は止めましょうということです。

 日本では宗教に関する深刻な差別問題はあまり聞かれません。

 しかし相模原市で2016年に重度知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件が起こりました。 

 犯人の動機は、障がい者に対する差別が背景にあり、大きな衝撃を与えました。

 また、最近ではLGBT(性的少数者)に対する差別的な記事を掲載したことが原因で「新潮45」が休刊に追い込まれたことも記憶に新しいです。 

 このような現状だけでなく、人種、宗教、性別のほか、国籍、障がいの有無などさまざまな差別を行うことは、人として問題があるように思います。 

 したがって差別的な内容や表現はタブー(禁止事項)となります(面接でも同じ)。

 東京オリンピック2020の3つの大会コンセプトのうちの1つとして「多様性と調和」が掲げられています。

 具体的には「人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩」するという理念です。 

 小論文でもこの理念に沿って書くことが望ましいと考えます。 

 ※何をもって差別と考えるか、差別と区別の違いは何か、差別は禁止されるが区別は許容されてよいか、などなどの問題はこれ自体が小論文で出題されるテーマとなります。みなさんも一度、自分の頭で考えてみてください。

●採点者の意向や嗜好をどこまで考えるか

 以上、小論文のタブー(禁止事項)をいくつか書きましたが、上に挙げたもの以外は基本的に自由に書いていいと考えます。

 これを書けば採点者に気に入られるだろう、これを書くと採点者に嫌われるのではないか。

 こんなふうにあらかじめ過剰に採点者の意向を忖度(そんたく)する必要はありません。

 参考文の筆者の論旨に対しても、賛成の立場、反対の立場、いずれの側から書いても、論としてきちんと成立していれば、高評価が与えられます。

 前に、朝日新聞のリベラルな考え方が参考になると書きましたが、これでさえ金科玉条のように守らなければならないものではありません。

 論旨がしっかりとしていれば、リベラルとは反対の立場、保守の立場からの立論も当然に許容されます。

※リベラルと保守の思想の違いについては別のところで(プレミアム動画、有料記事)で紹介する機会があるかと思います。

 ただし、党派的な意見は控えたほうがいいです。

 党派的な意見とは、特定の政党を支持する、あるいは批判するといった意見です。

 文中、流れで政権批判が出るのはやむを得ないと思いますが、「政府が悪い」「安倍政権が悪い」というような結論で終わらせるのはタブーになります。ある意味、現在の政治経済の問題は内閣や政府の責任に帰着し、「政府が悪い」「○○政権が悪い」という意見は必ずしも誤りではないとも言えるでしょう。しかし、小論文すべてのテーマで当てはまる結論はいわゆる一般論ということになります。小論文の結論は一般論で終わらせないということが重要事項になります。


(4)今回のまとめ


①指定字数の9割以上で書く。

② 誤字・脱字は減点。

③ きちんと設問文を読んで、指示に従う。

④ 敬語は正しく使う。

⑤ 差別的な内容や表現は禁止事項となる。




受験生のみなさん、小論文に関すること、何でも質問してください。

コメント欄に書いてね。

それでは、がんばってください。

以上、『OK小論文』塾長、朝田隆(りゅう)でした。
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