【基礎編/徹底解説】大学では小論文のどこが評価されるのか

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(1)推薦入試やAO入試での小論文では何が評価されるのか



 大学入試、とくに推薦入試やAO入試では小論文を課す大学が増えています。


 今回はその理由を考えてみましょう。


 結論から言えば、人間を見る、小論文や面接は、受験生の人となりを見るもの、と言っていいかと思います。一般入試の教科試験だけでは判別できない、受験生の人間性や性格、価値観やものの考え方を見たいからです。


 学校のお勉強だけできるけれど、人間的に問題がある。そういう、いわゆる偏差値エリートはいらいない、ということです。たとえば、自己中心的な考え方をする。対人関係をうまく築くことができない。倫理観に乏しく、道徳心に欠ける。


 教科試験だけで合否を採用して、今言ったような学生が大学に入ってくることを防ぐために課すのが小論文と面接試験なのです。


 対人関係の話をしましたが、小論文と面接があるのは、医歯薬看護や福祉や教育関係の学部学科が多い傾向にあります。


 これはひとえに人間を相手とする仕事という特徴を持つからです。


ですから、業務を円滑に進めるためには言語能力やコミュニケーション能力が必須となります。


 医師や看護師は患者さんに対して的確に説明し、患者さんの要望を最大限にくみ取って、治療やケアに反映させることが日々求められています。


 そのための言語力、コミュ力や患者さんの気持ちに寄り添うことができる共感力の資質を試すのが小論文と面接といっていいでしょう。

(2)一般入試の小論文


 次に一般入試で小論文を考えましょう。


 慶応義塾大学や早稲田大学スポーツ科学部などの難関私大では一般入試に小論文を課します。


 こうした大学で小論文を出題するのは、教科試験だけでは判別できない思考力(考え方のプロセス)や独創性をみることを主眼(主な目的)としています。


 一般教科では、学校の教師の教えることを忠実に再現する記憶力や与えられた課題に対して速やかかつ正確に正解を出すことができる計算力や応用力が求められます。


 そのためには、クエスチョンに対して数学の方程式のようなマニュアルを使って1つ(まれには複数ありますが)のアンサー(正解)を導く情報処理能力が必要です。


 しかし、実社会に出てわかると思いますが、人間が生きる上でさまざまな困難に直面します。こうした問題には正解がありません。正解があったとしても1つではありません。


 このグローバリゼーションが進展して、新型コロナウイルスや地震、台風などの激甚災害、これに伴う政治や経済の混乱などのリスクに私たちは囲まれています。


 こうした難しい問題に対して、小論文では決して単純な正解を求めることを要求するものではありません。実際に専門家すら答えがみつからずに頭を抱える問題ばかりなのですから。


 大切なのは、このような困難な課題に対する姿勢や態度、思考や行動のプロセスです。


 小論文入試でも同じです。結論だけを評価するのではなく、結論に至る考え方のプロセスを重くみます。そのために、起承転結といった段落構成が重要になるわけです。

  もっと言うと、実は小論文では結論よりも問題提起のほうが重要になります。問題提起、つまり思考の出発点がおかしければ、誤った結論が導かれる結果となります。逆に言うと、優れた結論は優れた問題提起から生まれると言っても過言ではありません。

 現状の何に課題を見出し、これをどう問題視するかという問題発掘力も小論文で試される重要な能力になるかと思います。

大学時計台.png

(3)国公立大学二次試験や国家資格をとるための専門性の高い大学の入試小論文


 最後に国立大学二次試験や国家資格をとるための専門性の高い大学(医歯薬看護系や法学部など)の入試小論文についてお話します。


 基本的な考え方は推薦入試やAO入試、一般入試での小論文と共通します。


それに加えて、小論文入試を課す国公立大学や一部の私立大学、特に医歯薬看護系の大学入試で小論文形式を採るところが多いのは、先の受験生の人間性を見るという目的のほかに、高い専門性に対応できる人材を入学させたいという意味があります。


 後者にはさらに2つの狙いがあります。


 第一に大学の授業では難関である資格取得をめざすことに主眼が置かれています。資格を取るためには難しい国家試験に合格する必要があります。



そのための能力・素質や意欲、特に大学での厳しい勉強に耐えることができる熱意や覚悟などを小論文では見ます。


 第二に、高い専門性に見合った資質を持っている受験生を選ぶということが挙げられます。


 ここでいう資質とは、たとえば医歯薬看護の場合には倫理観(生命倫理)がこれに該当します。


 したがって出題形式も専門性に沿った内容の参考文がついていて、これに対する自分の意見を書く形式を採る大学が多いようです。


 ですから、ひごろから新聞・雑誌や書籍などで自分が受ける大学・学部に関係した記事や文章を読む必要があります。深く突っ込んだことは大学に入学してから学ぶものなので、知る必要はありません。


 でも、医歯薬看護系ならインフォームドコンセントやQOLなどの用語の意味は知っておくべきでしょう。


 とくに現在進行中の新型コロナウイルスに関する情報はなるべく集めてください。ネットからでもいいですが、その際、ニュースソースがしっかりとして信用できるものだけに目を通すことが重要になります。具体的には、政府や自治体、保健所などの公的機関のホーㇺページ、新聞社、大学や病院などの専門機関などが発信した情報に限ります。


 個人が書いたブログやツイッターには信頼性に欠ける情報、場合によっては虚偽や根拠のない風説が多いので、受験生はなるべく見ないほうがいいです。

(4)今回のまとめ


①小論文では、正しく問いを立てることができる「問題発掘力」が求められる。



②小論文や面接では、受験生の人間性や人格、価値観や考え方が評価される。特に推薦入試・AO入試。


③慶應義塾大学や早稲田大学スポーツ科学部などの難関私大では思考力や独創性が評価される。


④国家資格をとるための専門性の高い大学の入試小論文では、①②に加えて国家試験に合格するための能力・素質や意欲、覚悟などが評価の対象となり、高い専門性に見合った資質の有無が文章で判断される。




します。



受験生のみなさん、小論文に関すること、何でも質問してください。



コメント欄に書いてね。

それでは、がんばってください。

以上、『OK小論文』塾長、朝田隆(りゅう)でした。






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