おはようございます。
本日は医療・介護・福祉業界の「歩合制の在り方」について考えたいと思います。
さて、歩合制とは縁のない医療・介護・福祉業界だと思われがちですが、実は様々な業種で歩合制が敷かれています。
少しだけ、歩合制について説明いたします。
歩合制とは、つまり、「結果に対する金銭的報酬」を指しています。
結果というのは、主に売上に直結する結果であり、それは組織が求める”成果”となります。
歩合制の良いところは、捻出した売上の一部を報酬として、売上をつくった担当者に支給する仕組みになっていますので、効率性が高いのです。
例えば、下記のような業種で歩合制が適用されています。
・介護付有料老人ホーム(入居相談員)
・訪問看護ステーション(看護師・リハビリ職)
・訪問介護ステーション(介護職)
・障害者グループホーム(管理者)
・訪問医療マッサージ
・急性期病院(救急車受け入れ数/医師)
ここで少し、歩合について考えたいと思います。
昨今、救急車の受け入れで問題になっている病院に関しては、歩合制の適用が救急車の受け入れ促進に寄与するのであれば、システムとしては問題ないという見解があります。
公立病院は少ないですが、民間病院は救急車受け入れのために、受け入れ件数に応じて医師に対して歩合制を敷いているケースがあります。救急受け入れ難民の問題を解決するためには、こういったシステムも必要不可欠であるという認識なのです。
病院以外はどうでしょうか。
私が支援してきた組織で、特に歩合制が多いのは「訪問看護ステーション」です。
訪問看護ステーションで働く職員は、訪問1回あたり500円~4000円という費用が基本給に上乗せされる仕組みになっています。
これは、看護師もリハビリも同じです。
また、介護施設の入居相談員はどうでしょうか。
1人の高齢者を施設へ誘致し、入居契約した時点で1人あたり1万円~数十万円の歩合が発生します。
どのケースにも共通するのは、結局は”お金で人を動かしている"という点です。労働対価に対して支払う基本的給与とは別のルートとして報酬を支給する仕組みを作っています。
お金で人を動かす場合、よく考えないといけません。
歩合制、基本給アップ、賞与も含め、お金で人のモチベーションを維持・向上させるには賞味期限があるのです。
この賞味期限は概ね6ヵ月程度と推測します。ある研究では1年と言われているそうですが、私の肌感覚では数カ月程度です。
賞味期限が短い理由には、このような外発的モチベーションの特徴として、ある種の外部からのコントロール的側面があるからではないでしょうか。
また、歩合制による障害の発生も考慮しなければなりません。
私が特に注意すべき点だと考えるのは、他者との摩擦です。
歩合制は背比べになってしまい、他者との比較から摩擦、競争へと発展してしまう可能性があります。(ライバル的競争は成長促進のために良しとする)
さらには、歩合制により個別に稼ぐ意欲を掻き立ててしまうことで、目的が”稼ぐこと”になってしまうのです。
稼ぐことが目的になってしまうと、組織内の協力性が欠如してしまい、組織の雰囲気が悪くなり、稼げる人と、稼げない人に分かれてしまい、稼げない人は退職してしまいます。
つまり、今の時代、歩合制というシステムは組織に合わないのではないか?という疑問があるのです。
組織によって、どの仕組みが最も適切かはわかりませんが、少なくとも医療・介護・福祉業界においては個別性ではなく、集団性が合っているような気がします。
それでは。