「文芸部顧問!💜」🎾🚴‍♀️⚔️🏓⛳😎😍

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コラム
(図書室の神様!)
三年後、統合が決まっている高校にて!
部員1名K君!
文芸部員というのは、メガネなんかかけてひ弱そうで色白な青年かと思いきや
k君はとても健康そうだ。
手足のバランスがよく長くて、細くはあったが筋肉がついていた。
瞬発力がよさそうだし、球技センスがありそうだ。
髪だって短くこざっぱりして、いかにも運動向きな感じがしたのです。
文芸部の活動がどんなものなのかイメージが全然わかなかったのです。
バレー以外に目を向けなかった私は、この部がどんな活動をしているのか
まったく知らなかったのです。
他の教師に活動内容を前もって聞いてみたが「適当にしてれば大丈夫」という
いい加減な答えしか得られませんでした。
「とりあえず、今日は初日なので、今年度の活動方針と計画と予算を立てないといけないんです。」
「なるほど」
「k君は何か運動しないの」
「運動ですか。ああ、今日体育で幅跳びをしてきました。」
「そういうのじゃなくて、野球とかバスケとかしたくないの?」
「じゃあ、どうして文芸部なの?」
「いけませんか?」
「いや。別に悪くはないけど、健全な高校生は走らないと」
「じゃあ走ります。グラウンド三周したら文芸部の活動をしていいですか」
真面目なのか、ふざけているのか判断しにくい口ぶりでした。
「一応しなくてはいけないことは終わったので、今日は川端康成について
調べたいのですが、よろしいでしょうか」
「どうぞ」
本気で文学をやりたいと思う高校性がいることにも
川端康成を自ら進んで読む若者がいることにも度肝を抜かれた次第です。
図書室からはグラウンドも体育館もよく見えました。
体育館からは、バレーボールの弾む音が聞こえてきます。

私は、図書室の中をうろつくのをやめて、k君の前に座った。
「何ですか?」
「退屈なんだけど」
「そういわれても困りますが」
「刺激が欲しいのよね」
「刺激?」
「そう。なんか文芸部の活動って、波がないというか、毎日炎々としていて
盛り上がらないでしょ」
「そうですか?僕にはかなり刺激的ですけど」
「どこに?いったい顧問に内緒で何をしているのよ」
「例えば、昨日は三島由紀夫がボディビルをしていたと知りました。
愉快でしょ。知らなかったことを知るのは何ともショッキングです。」
(この感覚になれることが本来の人間の持ち味だと思います。)
「たとえば、バレー部とかだったら、目指すものがあるでしょう。
県大会とか。毎日ちゃんと張りあいがある。
別に文芸部が悪いってわけじゃなくて、文系クラブって毎日同じように
だらだら過ごしているだけっていうか、メリハリがないのよね。
「毎日筋トレして、走りこんで、後は、レシーブ練習サーブ練習などなど。
バレー部の方が、毎日同じことの繰り返しじゃないですか。
文芸部は何一つ同じことはしていません。
僕は、毎日違う言葉をはぐくんでいます。」
(この毎日違う言葉をはぐくんでいるというのは、
プラス思考&メソッドに近い言葉なのです。
つまり、”心”がいい意味で反応してしまうという事なのです。
心の薬です。
「”黙るべき時を知る人は、同時に言うべき時を知っている”」
という言葉を、その時僕はなんだかとても疲れていて、
この言葉に衝撃を受けてしまいました。
そうだったのかって思い知りました。
(この思い知るという事が、本来の清らかな心の状態をキープするという事なのです。)
つまり、スポーツだって、プロとしてやっていないんだったら、読書や音楽鑑賞と一緒の感覚なのです。
「先生は、そういう行き当たりばったりの性分じゃない気がする。
もちろん僕の勝手な見解ですが!」
「確かに昔の私は、そういう性分だったかもね。
どんなことだって、もっとちゃんと打ち込む人間だった。
だけど、もう大人だからちょっと違うのよ」
「昔の私って、先生まだ二十二歳でしょう!」
「まあね」
「きっと、今の先生にはその昔の性分がイヤってほど残っていますよ!」
k君は、そう言うと、”お守りを強引に押し付けてきました。”」

「死にそうなんだけど」
「暑いと思うから暑いんです。」
「だって、暑いものは暑いの。真実は一つなのよ」
「そうですか。仕方ないですね」
「仕方ないっていい加減ね。
もっと真剣に部活動のことを考えてよね。
あ、そうだ!ほら、部活動の予算ってあったでしょ?
あれまだ使ってないよね」
「ええ。そのままですよ」
「あれで、クーラー買おうよ。
涼しかったらもっと活発な活動ができるでしょ?絶対いいと思うな」
「いいですな。でも残念ながら、部活動費は八千円なんです。
八千円じゃクーラーは買えませんよね」
「八千円?何よそれ。野球部やバレー部は何万ってもらっているのに」
「部活動費は人数に比例してるから仕方ないです。我慢しましょう」
何かいい方法ないかな。家の扇風機でも持ってこようかな。
でも、それも重いし面倒だしなあ。
k君そうやって死んだ人の事ばかり調べないで、詩とか書いたら?」
「詩ですか?」
「そう、詩!」
詩を書くこととクーラーとどう関係があるんですか?」
「詩を書いて売りにいくのよ。最近、都会では道端で普通の姉ちゃんや兄ちゃんが自分で書いた詩を売っているんだって。
k君もやればいいのよ。
それで、そのお金でクーラーを買うの。
元手は、ただなんだもの。すぐにお金が貯まるわ。ね。いい考えでしょ?」
「詩人でもない人が書いた詩が、簡単に売れるんですか?」
「それが売れるんだって。
ほら、”人生は厳しいけど、君は一人じゃなくて、誰だってみんな本当は弱くて僕はいつだって君の味方だよ。”みたいなことをしゃれて書いたら絶対ヒットするよ」
私が興奮気味に言うと、k君は笑ったのです。
「何よ」
「先生のそういうところ、僕は素敵だと思います。」
「へ?」
「国語教師としてセンスがあると思う」
「何それ」
「さあ」
その日の文芸部の活動ノートには、リクエストどおりk君の詩があったのです。
”雑草は、強いといいますが、どうしてでしょう。
彼らだって弱い部分があるはずです。
「踏んでもすぐ立ち直る」
「愛情をかけなくても強く生き抜く」
かわいそうです。見ていられません。聞いていられません。
僕は彼らの”弱い心”を見つけられるそんな大人になりたいです。”

味を占めた私は、翌日、国語の授業でみんなに文章を書かせることにしたのです。
「だって、、教科書ばっかりじゃ面白くないでしょ?」
「そんなこと言われたって、突然書けないって」
「絶対無理」
「適当でいいって。好き勝手に書いて。横書き縦書きどっちでもいいし、
英語でもカタカナでもなんでもOKだから」
私は景気よく言ったのでした。
一応、教材にこじつけて、テーマも設けました。

生徒の書いたものは、単純に面白かった。
もちろん、「こんなことをさせられてとてもイヤだ」という不満めいたものもあったし、どこかで聞いたようなありきたりの使い古された言葉で並べられているものもありました。
だけど、きっとどれも十代のこの瞬間にしか書けないものなんだと思うと
とても貴重に思えたのです。
うまい下手にかかわらず、知っている人の書く言葉はちゃんと心に響きます。
考えてみれば、親しい人が書く言葉はどんなものでも面白いのです。
川端康成と親しくなれば、「雪国」だってちょとは愉快になるかもしれません。もっともっと文学を面白くするために、k君はあんなに懸命に
川端康成の事を知ろうとしているのでしょう。
私は、そう思うのです。

クーラー購入作戦が失敗して、「暑い」と連呼することにも疲れた私は
黙々と作業をするk君をほっておいて、暑さを解消する方法ばかりを考えていました。風の通り道を考えて、窓の開け方を変えてみる。
濡れたぞうきんを窓にかけてみる。残念ながら、どれも効果をあげませんでした。
「まだ図書室はマシですよ。サッカー部も野球部もあの太陽の下、
グラウンドで走り回ってるんですから。」
「あれはいいのよ。動いて流す汗は爽快だけど、じっとして湧き出す汗って
じっとりとして気持ち悪いでしょう」
「確かにそれはありますね。だけど、雑巾は外してください。
僕は、暑さより、匂いの方が気になりますから。」
「はいはい」
私は、天井の窓を開けようとしました。
するとk君が
「やめてください」
「へ?」
「早く降りて!」
「何なの?」
「危ないじゃないですか!すぐに降りてください」
「だって、暑いんだもん。窓あけるくらいいいでしょう」
「窓なら僕が開けますから、いいから早く降りてください」
「大丈夫だって、わたし、バランス感覚には優れているから」
「とにかく降りてください」
「何なのよ。これくらいで騒がないでよ」
「わかりましたから、早く降りてください」
私が、無事に地上に降りたのを確認すると、代わりに椅子に乗って
窓を開けました。
「一体、何なのよ」
「別に」
「別にって、k君が開けるのと私が開けるのと変わらないでしょう?
これくらいの事いつもしているわ」
「先生がやるとパンツが見えそうだから僕がやろうとしただけです。」
「ズボンなのに?」
「そうでしたか。遠くから見るとわかりませんでした。」
k君は白々しいことを言うと、何事もなかったように机に向かったのです。

「人がけがしたり、病気したりすることにk君はすごく神経質になるんだ。
体育の授業でも、目に余るところがあります。
バスケでも、バレーでもk君と同じチームになった生徒は、やたら入念に
準備体操させられています。
「へえ。どうしてでしょうね」
「よくわかりませんが、k君、中学の時サッカー部のキャプテンで、
その時の部員が一人入院してしまったのです。
夏の部活の練習中に突然倒れて、半年近く入院したらしい。
k君は高校でもサッカー部に入るべきと思われていたのです。」
「倒れたのは、k君のせいじゃなかったのに。」
「文学(文芸部)は、いくらハードに調べても、ケガはありませんから」
「k君は、地域のバスケットボールに参加しています」
「同じ年代の仲間の中にいるのには、k君は少し成長しすぎているという感があります。それを抑えて、学校にいるk君もクールでよかったけど
いまのk君は開放的でずっとかっこいい!」
「みんなの声が体育館に響く。
ボールを落とせば、すぐに誰かの励ましの声が飛ぶ。
うまくシュートがきまれば拍手があふれる。楽しい。
そして、それはとても気持ちよかったのです。
この声が、この空気が昔から好きでした。
汗をぬぐいながら、私はそのことを思い出していたのです。

文芸部の朝練(あされん)
「で、今日はいったい何をするの?」
「本の整理です。」
「へ?」
「この図書室の本の整理をします。」
「どうして?」
「この図書室、本の並びが悪いと思いませんか?そもそも日本十進分類法なんて、今の高校生のニーズに合っていません。探しにくくて仕方ないでしょう。
教科別に並べ替えましょう」
「どうして、そんなことをしなきゃいけないのよ」
「野球部やサッカー部がトンボをひくのと一緒ですよ。
それに、分けているうちにいろんな本も覚えられるし。
一石二鳥でしょう。実は僕、ここに入学した時から図書室の本を整理したくてたまらなかったんです。」
私は、最後の本を一番端の棚に詰めると歓声を上げてしまいました。
「なにこの充実感は!」
「やりましたね」
「今だったら、私、署名言ってくれたらすぐに本を差し出すことできちゃう」
「本屋さんになれそうですね」
「どっちかって言うと司書でしょう」
私たちは、顔を見合わせて笑いました。
そして、「いっせいのー」っていって、ハイタッチをしました。
暖かい図書室に、パチンと手を合わせる音が響いたのでした。
「よくやったね」という気持ちが、ハイタッチにこもっていました。

卒業式の日、私とk君は、
「おめでとう」
「ありがとうございます」
「これからも頑張ってね」
「はい」
の四つの言葉しか交わしませんでした。
k君が走り寄ってきて、
「忘れてた。先生、一年間付き合ってくれて、ありがとうございました。」
と.....。
その後、私の勤務先は、実家にほど近い、工業高校に決まったのでした。



💎私(テニスプリンス)は、気づいたことがあります。
それは、これからの時代、つまりインターネット社会における男性像です。
昭和時代、スポーツ万能で頭がきれて優しくカッコよくなおかつ面白くて何か影のある男性と完璧オタクという二極化だった記憶があります。
オカマ感覚は、ちょっと外してですね!
インターネット時代には、
やはり、スポーツ万能で頭がきれて優しくカッコよくなおかつ面白くて
影の無いそれプラスオタク感覚を有し、さらに常に清らかな心を維持する感覚(常に穏やかな心の状態)を持っている男性必須の時代と感じている次第です。大変ですね~!男性!
しかし、女性には、子供を産むという大仕事があるのですから!
ナンチャッテ!!!💜
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